放課後
俺はこの子とどういった話をすればいいのだろうか?
俺は卜部さんをファミレスに連れてきたが、会話がどうも長続きしない。まあ接点もないし、この展開は見えていた。
今卜部さんと俺は沈黙の中にいる。注文を決めたまではよかった。だが、そこからは本当に会話が何もない。もともと俺は口下手ではあるがここまで会話が続かないのも珍しい。
いつの間にか時計の長い方の針がてっぺんから一番下に動いていた。もうこんなに時間が経ったのか俺はこの無駄な時間に溜息がつきたい。まあ目の前に人がいるので溜息はつかないのだけど。
お話がしたいという話だったのに卜部さんも何も話さない。どうにもこうにも困ったものだ。目の前には学校一の美人だというのになんてもったいないのだろうか。鬼屋敷辺りが聞いたら、ガチギレされそうだ。
「あの?」
何やら美人さんが俺に話しかけてきた。
「何ですか?」
「あなたのことが知りたいのですが?」
ふむ、相手の意図が全くつかめない。
「具体的に俺の何が知りたいの?」
「そうですね。過去の話とか?ご家族の話だとか?」
「俺は一人っ子。母さんの仕事も父さんの仕事もよく知らない。過去の話はあまりしたくない。」
話がしたくないというか正確には「できない」というのが正しい。
「そうですか。」
この子俺の話が聞きたいと言いながら全然食いついてこない。本当に意味が分からない。俺にどうしろというのだろうか?
またもしばしの沈黙。もうこの間が面倒くさい。はやく帰りたいがどうにも言い出せない。この目の前の少女話をしたいと言っていたくせに、帰るなよオーラが半端ないのだ。
「あの・・・・ではなぜあなたは強いのですか?」
「強い?俺が?そんなわけないだろう。俺はただの一般人だよ。平平凡凡の生まれて平平凡凡に死ぬのが俺だと思うよ。だから君が俺が強いと思ったのは勘違いだろうし、もしかしたら別人を誰かと間違えているのかもしれない。」
「いいえそんなことは無いわ。だってあなただもの。」
「それってどういう意味だ?」
「わからないの?」
「わからないよ。」
「わからないの?」
「わからないよ。」
「そう。」
何だろうこの無駄な会話は。
「俺もう帰っていいのかな?」
俺はもうこのうんざりとした時間から逃げ出したくなっていた。
「どうぞ。すみません。こんなことに付き合わせてしまって。」
俺は今日のこの時間は何だったのだろうか?と頭をひねりながらファミレスを出た。彼女よりも先に出た。
「忘れてしまったのかしら?」
残された彼女はただ一言でけそう呟き、彼が出ていったのを確認してレジで勘定しに行った。