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魄の際  作者: 神前 健人
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学校

私の心の中によくわからない音色を持ち込んだのはあなた。だから私は問いたいの。あなたは誰?明確な答えも何も返ってこないかもしれない。でも私は聞きたいのだ。あの日私に何かをもたらしてくれたあなたに。この答えはみんな恋だと言うのだけど私にはよくわからない。だから知りたい。あなたの言葉。聞きたいあなたの言葉。これは私の自己満足。ただ聞きたいだけ。本当にただそれだけ。

 だから私は彼をお話に誘った。


 俺は困惑していた。目の前の少女がお話をしたいと言ってきたことに対してだ。俺は目の前の少女のことについて考える。卜部鏡花。俺と同じ高校二年生の女子学生。見た目は大和撫子。日本の正当な美人系統から言ったらこの子はまさしく美人。可愛いというか美人だ。中性的な顔立ちに黒い髪。昔は長いきれいな黒髪であったが今では短くしている。そして、この学校ではかなりの有名人。ここらで有名な金持ちというか古くからある名家のお嬢さん。みんなの羨望と嫉妬、憧れを一身に受けている。男子の間では田中凛(俺の中ではゴリラ)と卜部鏡花(俺の憧れかつアイドル)のどちらが良いかという議論は鉄板だ。そしてそんな有名人が俺に上目使いにお話がしたいのだという。俺はどういう解釈をすればいいのだろうか?

「えっと・・・・・。それはどういう意味なのかな?卜部さん?」

「言葉の意味どおりですが・・・・。少し言葉が足りなかったですか?それならば申し訳ありません。」

なぜかたいそう申し訳なさそうにしている。確かに言葉足らずであるとは思う。しかし、そんな態度をされるとこっちが申し訳なくなる。自分が塩をかけられたナメクジになったような気分になる。ちなみに塩でなくとも砂糖でもオーケーだ。蛇足ではあるが。

「えっと・・・・・。なんで俺とお話がしたいんですか?」

俺は明らかにきょどっていた。少し悲しい。

「えっとお話がしたいからですよ?言いませんでしたか?」

確かにおっしゃられたのですが。まあ、いいや。俺はしょうがないからしばらくこの子の話とやらに付き合うことにしよう。

「そうですね。でもここでお話でもします?」

「いえ、もう少し落ち着いたところがいいです。」

「落ち着いたところですか。」

「そうだ。私の家なんてどうでしょう?」

「ぶっ・・・・・。何を言ってるんですか?ダメです!」

この子の頭のネジはやばいことになってる気がする。男を家に入れるってどういう神経なんだこの子。それに俺にとってもそれはハードルが高い。

「ダメですか。残念です。でもそうしたどこに行けば・・・・・。そうですね。では黒羽根さんの家にでもどうですか?」

「まあ確かに人もいないし落ち着いてるし条件はいいし、俺の家でいいのかな?ってもっとダメ!」

ほぼ男が一人暮らしのあの家に女の子を連れ込むなんてもってのほかだろう。さらに相手がこのことなるとなおさらだめだ。

「ではどこでお話すれば・・・。私には想像がつかないのですが。」

「どこかのファミレスにでも入りましょうか?」

最初からそうすればよかった。ただし他のクラスメイトたちにその場を見られるのは少々まずい気もするが。まあちょうどよいだろう。

「ファミレスとはどこのことを差すのでしょうか?」

あれ?本当にこんな子と俺は「お話」なんて高度なことができるのだろうか?てか、名家のお嬢さんとは聞いていたが世間知らずすぎだな・・・・。俺は少し苦労しそうだと思いながらも、とにかくファミレスに連れていくことにした。


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