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エピローグ『いつかは。』

 俺はさっき美波の時のように、皆とはちょっと離れたところに行って和奏と2人きりになる。

「美波さんと……何を話していたんですか?」

 さっきの美波との様子を見てずっと気になっていたのかな。

「昨日のことだよ。ほら、俺が意識を失っている間に、美波は光や栞ちゃんと一緒に連れられて帰ったからさ。昨日のことを謝ってくれたよ」

 そう言うと、和奏はほっとした表情になる。美波が俺にもちゃんと謝ったってことが分かったからなのかな。

「そう……ですか。ならいいんですけど。てっきり、椎葉さんが雅紀さんに告白したのだと思いました。ほら、昨日だって……雅紀さんのことが好きだって言っていたじゃないですか」

 あれ、もしかしてほっとした理由って告白の方なのかな? もし、そうだったらここは包み隠さずに事実を伝えた方がいいだろう。昨日、美波は皆の前で俺のことが好きだと言っていたし。

「いや、告白されたけど」

「えっ……」

 露骨に悲しそうな表情を見せてくるなんて。まさか、美波と恋人同士になって盟約が果たされなくなると思っているのか?

「和奏。美波は友達から始めたいって言っていたし、それに……和奏のことを俺にずっと守ってほしいって言われたから。だから、安心しろ」

「……本当ですか?」

「本当だよ」

「それなら、その……何か、言葉ではない方法で伝えてくれると嬉しいです。図々しいかもしれませんけど……」

「えっ?」

 言葉でない形で盟約を果たすと約束すると伝える方法か。盟約ってことは約束。それって誓いとも言えるから。

 ――ちゅっ。

 俺は和奏の額に軽くキスをした。

「和奏の側にいるっていう盟約を俺は一生かけて守るよ」

 言葉ではない方法で、と和奏は言ったけれど、言葉でも伝えたかったので。

 すると、額にキスされたことが恥ずかしかったのか、和奏は顔を真っ赤にする。

「……分かりました。でも、おでこにキスされるとは思いませんでした。今、凄くドキドキしています」

「嫌だったら謝る。俺も額にキスしていいのかどうか分からなかったし」

「嫌だなんてとんでもない! むしろ、嬉しかったというか。昨日の盟約では何かあったら私の側にいるという内容でしたけど、それに一生かけて守る、ということも加えていいんですね?」

「ああ、男に二言はない」

 昨日もそういうつもりで、盟約を改正したわけなんだけど。俺にとっては。


「……いつか、盟約は関係なしに私の側にいてくださるようになると嬉しいです。私はいつでもそのつもりですから」


 和奏は今までの中で一番可愛らしい笑みを浮かべながらそう言うと、

 ――ちゅっ。

 俺の頬にそっとキスをしてきた。

「ま、雅紀さんがキスをしてくれたので、私からも……です」

 和奏ははにかんでいる。ただ、恥ずかしいからか視線をちらつかせて俺と眼をなかなか合わせてくれないけれど。

「……そっか」

 律儀な女の子だなぁ。もしかして、俺の頬にキスをしたくて言葉ではない方法で伝えてほしいって言ったのかな。

「今は頬にしましたけれど、盟約関係なしに守ってくださると伝えてくれたら、そのときには……ここにしますね」

 和奏はそう言うと、右手の人差し指で俺の唇に触れた。その指を自分の唇にも当てているんだけど……何も言わないでおこう。とても嬉しそうにしているし、今はそんな笑顔を見ていたいから。

 盟約関係なしに、か。もしかして、美波がさっき言っていた壁ってこういうことを言っているのかな。

 何はともあれ、ひとまずこれで一件落着か。

 でも、この可愛いらしい隣人たちとの物語はまだ始まったばかりだ。そして、和奏のことを一生かけて守っていく物語も。

 これからどのようなことが待ち受けているか分からないけれど、今までよりも楽しくなることは間違いないだろう。




『Girlish Neighbors』  おわり

これで完結となります。最後まで読んでいただきありがとうございました。

また、次話は小説家になろう×スターツ出版文庫大賞用の本作のあらすじとなります。宜しくお願いします。

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