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最強を目指す者  作者: 鈴神楽
激闘編
6/45

パジャマパーティーの夜に太陽が昇る

較と良美のパジャマパーティに邪魔者が・・・

 私用の道場付きの白風家

「前から疑問に思っていたんだが、ヤヤの家の道場に門下生居るのか?」

 良美の素直の質問に較は平然と首を横に振る。

「居ないよ」

「でも道場なんだろう?」

「建前だけね。98%お父さんの趣味だもん」

 畳の上でごろごろしながら聞く良美に料理をしながら答える較。

「お父さんって本業は、武道を研究して、その本を出す事だよ」

 そう言って本棚を指差す。

 本棚の本の著者を見て良美は驚いた顔をする。

白風焔ホムラってヤヤの親父だったの?」

「知らなかった……」

 意外だったのか較が振り返ると目の前に良美が居た。

「あたしこの人のファンなんだよ!」

 舞い上がる良美。

「武道を科学的そして精神的に解析したすごい本なんだよねー」

「因みに言っておくけど、あちきがお父さんにあったの半年前だからね」

 信じられない物を見る目で較を見る良美。

「つまり、ヤヤって独り暮しなの?」

「食事以外の家事は、ハウスキーパーの人に大半は任せて有るけどね」

 料理を居間に運びながら較が答える。

「寂しくないの?」

「良美が居るからね」

 真面目な顔をして言われて照れる良美。



「大体、白風流戦闘撃術ってお父さんが作った流派なんだよ」

 自分で作った焼餃子を食べながら較が言う。

「でも道場はかなり古そうだよ」

 較が作った水餃子の汁を飲みながら良美が聞く。

「おじいちゃんの代までは真面目に町の人に護身術を教えていたんだよ」

 較は蒸餃子を蒸し器から出しながら皿に乗せながら答える。

 皿に乗せられた蒸餃子を平然と平らげてから良美が言う。

「そー言えば近頃一人暮らしの家を狙う泥棒が出るらしいけど大丈夫?」

 その言葉に首を傾げる較、自分が危険だという事が理解出来ないのだ。

「何だったら暫くあたしが泊り込もうか?」

 良美の言葉に初めて自分が事を心配されている事を気付き較が言う。

「うちって結構セキュリティーしっかりしているから大丈夫」

 デザートの黒蜜入りの餃子を食べながら良美が言う。

「因みに何で今日は餃子だけなの?」

「ニンニクたっぷりの餃子なんて明日休みで、一緒に買い物に行く良美が一緒じゃないと食べれないから」

「なるほど」

 そして食器を片付ける較に居間でテレビを見ている良美であった。



「フフフ、ここだな、女子中学生の一人で暮しているって家は」

 そう言ってハウスキーパー協会のシステムからハッキングした情報を確認する。

 家を軽く一周してセキュリティーの有無を確認する。

「セキュリティー会社と契約していないようだな。良いぞ良いぞ」

 そしてその男は白風家に忍び込んだ。



「こーしてみると本当に小学生だね」

 シンプルな青と黄色のストライプのパジャマを着ているが、中学生なのにきっちり出るところは出ている良美が言う。

 お菓子の用意をしながら、子猫柄のパジャマにしっかり似合った幼児体型較の頬を膨らませる。

「そーゆー事言う人にはお菓子あげません」

「ごめんごめん嘘よ」

 そう呑気で他愛の無い会話をしている時、較が他人の気配を察知する。

「どうしたの?」

「火の元の確認忘れてたから、ちょっといって来る」

 そういって部屋を出る。



「意外と金目の物は無いな」

 箪笥の中を引っ掻き回す。

「セキュリティーが無いのは良いんだが、こうも金目の物がないなんてな」

「色々事情があって、当座の現金以外は別のところに隠して有るんだよ」

 男が振り返ると、較が立っていた。

「情報にあやまりがあったか、小学生の小娘だなんてな」

 男は幾つかの間違いを犯したしかし、最大の間違いは今の一言だろう。

『ガルーダ』

 男は問答無用に庭に弾き出される。

「何なんだ!」

 較はゆっくり近づきながら言う。

「手の動きで発生させた風を意思の力で増幅させて弾き飛ばしたんだよ」

 目を白黒させる男は這って逃げようとした。

 本能的に気付いていたんだろう、人外と相対しているって事を。

「最初に言って置くけどこれからやる技はお父さんの得意技だけど、あちきにはまだ手に負えるものじゃないんだよね」

 両手を広げる較。

「拳を超高速で打ち出すことで、大気との摩擦で高い熱を発生させ」

 男は必死にはいずるが目の前に大きな庭石が立ち塞がる。

「意志力でそれを収束倍増化する」

 男は意を決して振り返る。

「両手で同時に行い、敵に当たると同時に掛け合わせる事で威力を数倍まであげる」

 男は確かに見た高熱のあまりプラズマを発生させる拳が左右から迫ってくる事を。

『アポロン』



「なんか凄い音しなかった?」

 良美はヤヤが用意したお菓子を食べながら戻ってきた較に聞く。

「知らない!」

 お菓子の皿を見ながら口を膨らませる較が居た。

「ヤヤが遅いのが悪いんだからねー」

「だからって全部食べる事無いじゃない!」

 にらみ合うが直ぐにじゃれ合いに変わり、そのまま二人は寝てしまう。



「うわー昨日の夜、例の泥棒が捕まったみたいだよ!」

 相変わらず、朝ごはんを作る較を他所に一人平然と居間でテレビを見る良美。

「ハウスキーパー協会って所の顧客情報をハッキングで盗んで悪用してたみたいだよ」

 おかずを並べに来た較の方を向き良美が言う。

「ハウスキーパー協会って何?」

「あちきの家みたいに家事が出来る人が居ない人の所に有料で家事を手伝う人たちの協会。簡単に言えば、家政婦の斡旋所」

 良美は少し考えてから言う。

「それってこの家も危なかったって事?」

「セキュリティーは万全だから大丈夫だよ」

 毎度の事なので、もう専用がある良美のお茶碗にご飯をよそる較。

「そうみたいだね、中学生の一人住まいだったらとっくに襲われていてもおかしくないもんね」

『犯人が捕まった場所ではまるで太陽が昇ったような光が発生してる事もあり、全身大火傷を負った犯人は、何らかの理由で持っていた火薬を爆発させたものと思われています』

「それより今日は何処に行く」

 そんな呑気な良美を見ながら、例え食事の支度一つ手伝わなくても、直ぐ側でテレビになる大事が起こっても気がつかない良美の性格は大いに助かると思いながら、較は感心の出来である味噌汁を飲むのであった。

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