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最強を目指す者  作者: 鈴神楽
世界編
13/45

船上密室殺人的戦闘

豪華客船の密室のVIPルームで次々と襲う襲撃者。第二部夏休み、世界巡り編開始

 太平洋を行く、豪華客船

「わー、あたし、こんな豪華客船って初めて!」

 プールサイドで水着姿の良美の言葉に、ウォータベットをサービスマンに持ってこさせている較が言う。

「まー庶民には一生縁が無い場所だよね」

「そうなの?」

 今にもプールに飛び込みそうな良美がたずね返す。

「一航海で一人五百万、因みにファーストクラスでだよ」

 たいして気にした様子も無く、良美は飛び込み泳ぎだす。

 較はウォータベットに寝転び、新作ぬいぐるみのカタログを捲る。

「さすが、五百万払うと待遇は違うね」

 較のウォータベットによっかかりながら良美が言うが、較は首を横に振る。

「あちき達が泊まってるのはVIPルームだから、一航海で一人当たり二千万だよ」

 さすがに目を向く良美。

「五百万でも凄いなーと思ったけど、二千万ってどうしたらそうなるの?」

 較は、プールを指差して言う。

「VIP特典その一、申請すれば、こーゆー風にプールを貸しきれる」

 その言葉に良美は初めて誰も居ないことに気付く。

「その二、専用のサービスマンが付いてくる」

 そういって、さっきウォータベットを持ってきた男を指差す。

「他にも色々あるけど、よーは贅沢を追求すると天井知らずになるんだよ。それでも、この船って格付けで行けばAランク、上級に入るレベルで、Sランクの船だったら一航海で何億とるって馬鹿げた船があるからね」

 事前に用意させて、プールの上に浮かべさせといた、りんごジュースを飲みながら良美が感心する。

「でも、ヤヤそんな所をどうやって抑えたの?」

 それに対して、較は一枚のカードを見せる。

「今度の対戦相手、B級闘士、ノーフェイスのデッドがこの船のオーナーだから、予約したらあっさり取れたよ」

「そーいえば、来る前に言ってたよね、夏休み中はバトルする為に、世界中を回るって」

 較は頷き答える。

「そうだよ、普段は学校があるから、あまり遠出が出来ないから組まれないようなバトルも、夏休み中は何処にでも行くって言って有るから、世界中の強敵と組まれるの」

 較はカードをしまいながら続ける。

「特にノーフェイスのデッドはこの船をテリトリーにし、この船に相手を連れ込んだ後は負け知らず、A級闘士を何人も餌食にしてるよ」

 良美はウォータベットに上がり言う。

「それで、ヤヤは正面からそんな相手と渡り合うわけ?」

「多分正面からやりあうことは無いよ。相手は暗殺者あがりの闘士だから、こっちの隙をついて、殺しに来る。あちき達が泊まっている部屋にも、致死性の毒薬を含んだ物が山ほどあったもん。まー全部取り替えてもらったけどね」

 良美は眉を顰める。

「そーゆーことは、先に言ってよ!」

 較が諦めきった顔で言う。

「言ったら来なかった?」

「そんな訳ないじゃん」

 胸をはってそう言う良美に較は遠い目をして言う。

「あちきどうして、勝率下がるまねしてるんだろう」

「当然、あたしを騙していたペナルティーでに決まってるでしょ」

 自信満々言われて、諦めの溜め息を吐く較であった。



 良美が自分達の部屋の扉を開けた時、較が良美の服を引っ張る。

 そして良美の目の前をナイフが通り過ぎる。

 相手は、そのまま較に切りかかるが、較は平然と半歩前に出て、そのナイフを腕で受けて言う。

「まさかと思うけど部屋あらしてないでしょうね」

 その言葉に男は慌てて、間合いを開ける。

『ガルーダ』

 較の腕から敵を吹き飛ばす風が発生して、男はそのまま壁に激突して気を失う。

「サービスマンさん、この男を片付けてくれる?」

「了解しました」

 そしてサービスマンは平然と伸びている男を引っ張っていく。

 その途中良美が言う。

「ヤヤ、この男ってさっきのカードに書かれていた人と……」

 良美が言い終わる前に較は言う。

「別人、闘志でわかるよ、とてもB級闘士のそれじゃないよ」

「あっそう、偶然ってあるもんだね」

 本気の言葉に、較は、呆れた顔をして答える。

「偶然な訳無いよ。多分わざわざ整形したんだよ、こいつを倒して油断した所を本物がって手段なんだろーけど、A級を舐めすぎだね」

 サービスマンはそんな会話を平然と聞き流しながら作業を続ける。



 較はシャワーを浴びて、部屋に備え付けの冷蔵庫からアイスを取り出し、食べていると、後のクローゼットから先程と同じ顔をした男が出てきて、ナイフを振り下ろして居た。

 較は振り下ろされきる前に、較の肘が跳ね上がり、男の腕をへし折る。

「うーんヨシが風呂上がって服着るまでサービスマン呼べないなー」

 気にするのはそんな事だけらしい。



「へー何時から隠れてたんだろうね?」

 良美の言葉に較が無視をする。

「ねーねー、ヤヤ答えてよ!」

 それに対して、較は机の上のドリルを指差して言う。

「今日の分まで終らせたら、幾らでも聞くよ。あちき、ヨシのお母さんから泣いて頼まれてるの、旅行に連れて行くのは良いから、夏休みの宿題だけはやらせておいてって」

「気になって宿題が手がつかないよ」

 良美の言葉に較はあっさりという。

「そーゆー台詞は、腕折って呻いてる男の横で、平然とアイスを三つ食べる人間には相応しくないよ。さー、やってやって」

 良美は渋々続ける。



 そしてその夜、案の定、同じ顔をした襲撃者が、較のベットにショットガンを向けた。

「因みに、賠償金はそっち持ち?」

 男は冷や汗を垂らしながらも自分の後に立っている較を見る。

「本気でどっから入ってきてるの。あたし、一応全部調べたよ?」

 良美の言葉に、較はあさり壁を指差して言う。

「お約束の抜け穴だよ。多分この部屋には無数の抜け穴があるんでしょから」

 男はショットガンを向け発砲する。

『トルネイド』

 較がアッパー気味のパンチを誰も居ない所に撃つと、それが竜巻となり、あっさりショットガンの弾丸を防ぐ。

 竜巻が収まる時、較の男の腕を掴んでいた。

『オートドール』

 較が腕を捻っただけで、男は全身を回転させ、体中の骨を骨折しながら地面に倒れ落ちる。

「サービスマンの人、来てくれる!」

 その声に答える様に、サービスマンが直ぐに来る。

「夜遅く悪いけど、この男片付けて」

「かしこまりました」

 そしてその男を担ぎ上げた所で、較が言う。

「いい加減飽きてきたんだけど、変り種の手が無いんだったら、終らせたいんだけどいい?」

 良美が担がれた男を指差し不思議そうに言う。

「ヤヤ、その人は対戦相手じゃ無いんじゃないの?」

 較はあっさり頷く。

「違うよ、あちきはそこのサービスマンにふんした、デッドさんに言ってるの」

 サービスマンの動きが止まる。

「普通考えれば、同じ人間が二十四時間体制でつく訳無いよ。まー決定打は、呼んで直ぐ来たから、近くで休憩しながらじゃないことが、確信できたからだけどね」

 サービスマンは、冷や汗を垂らす。

「ちなみに、このタイミングで声かけたのはわざとだよ。その男持った状態で、逃げられると思う?」

 サービスマンは男を較の方に突き飛ばす。

 較は平然と来た方向に弾き返す。

 その時、下からナイフを構えたサービスマン、デッドが現れた。

 しかし、その目前には較は居なかった。

「上だよ!」

 デッドは、声に反応し、即座に体を捻る。

 それが、天井に着地して、チャンスを窺っていた較の技を回避させた。

「さすがにB級、今の一撃をよけますかー」

 しかし、デッドには余裕が無かった。

 その時、良美を視界に捕らえ、ラストチャンスとばかりに良美に駆け出す。

 それがデッドの運命を決めた。

 較は髪を数本抜きふる

『メディーサ』

 髪は複雑に絡み合い、蛇の様にデッドを縛り付け、骨を砕いていく。

「バトル終了だね」



「えー、もう降りるの!」

 良美が不服そうに言う。

「当たり前だよ。バトルも終ったのにこんな豪華客船で旅できるほど、あちきは暇じゃないの」

 較はどんどん荷物をしまっていく。

「でもでも、二千万なんだよ、そんなチャンスなんてそーないよ」

 良美が詰め寄る。

「こんど、夏休みの宿題を期日までに全部終ったら、Sランクの豪華客船のVIPルームに泊まらせてあげるよ」

「って、何億もする所に泊まれる訳ないじゃん!」

「あちき、連勝中のA級闘士の上、そんな大きな出費ないの。隠し口座に五十億位貯まってるよ」

 その一言に、良美が驚く。

「うっそー」

「本当だって、ここの料金だって自分で払ったんだから」

 較の答えを聞いて、良美は不敵な笑みを浮かべる。

「それじゃあ約束したからね」

 片づけはじめる。

「うん約束したよ」

 そーいう較だが、間違っても良美が宿題を期日までに終らせられるとは思っていない。

「億が一にも成功したら、数億円位安いもんだね」

 そんな較の呟きを知らず、数億円の部屋に泊まれると呑気な良美であった。

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