五日目
美浜(略美)「初めて、書記の美浜緑よ。宜しくね(ニコッ)」
会「おっ!!美浜、此処に来るの初めてやろ?」
美「そうねぇ…。初めてかしら。ふぅ…此処って何をするの?」
会「話やで。コミュニケーションやコミュニケーション(笑)」
美「へぇ…楽しそうじゃない。彼らも呼んだらいかがかしら?」
会「そうやな。二人より大勢の方が楽しいもんな(はにかむ)」
美「ええ(ニコッ)」
放課後は、嫌でもやって来る。
「沖田君、そろそろ行こっか?」
「わかった」
「正平、先生徒会行ってて」
「うん、わかった」
僕らは鞄を手にとって、教室を後にした。
………………………
どうも、こんにちは。沖田君こと沖田啓史です。
×○高校に転校して、今浅倉君に学校案内して貰っている。
俺は、彼らには言えない秘密がある。…知りたい?えっ!?興味ないって?まぁ…大した秘密でもないんで言っちゃいます。
俺、“腐男子”なんだ。小中と男子校で転校しなかったら、エスカレーター式で高校もそのまま上がっていたかも。
自分が腐男子だって気づいたのは、中学二年の時だった。じゃれあっている奴らを見て“萌”を感じてしまった。
まぁ…坂を降る石のように俺は、“萌”を堪能している。
敢えて言うが、腐男子ではあるが傍観者として野郎同士がイチャついてるのを見て楽しむだけで、自分は関わりたくない。…身勝手?すんません、事実なんで。
あぁ…見た目についてなんだけど、別にカツラでもなけりゃあオシャレで眼鏡をかけている訳ではない。本当に目が悪いのだ。コンタクトつければ良いと言うが、面倒臭いし痛いし面倒臭いし…大切なことなので二回言っとくね。
髪は切りに行くのが嫌なだけだ。
まぁ…顔が良いから、コスプ…変装している訳ではない。昔、ヤンチャなこと何てしてないしどこぞのヤンキーの総長何かしてない。寧ろ平々凡々な生活を送っていた。
それにしても、前髪が邪魔だなぁ。
「浅倉君、髪を束ねる何か持ってない?」
「んー…ちょっと待ってね」
浅倉君は制服のポケットに手を突っ込む。
浅倉君って受けだな。見た目も雰囲気も。相手は、高柳君か若菜君。もしくは、未だ会ったことのない会長。
「あった。輪ゴムで良いか?」
「おう!!ありがとう」
俺は、輪ゴムを受け取り前髪を束ねる。ふと、視線を感じると思ったら浅倉君が目を輝かせながら俺を見る。
「どうかしたか?」
「えっ!?あぁ…眼鏡って度入ってる?」
「まぁ…ね。かけてみるか?凄くキツいぜ」
そう言って、俺は眼鏡を外した。うわぁ…ボヤける。
「ありがとう。っ…視界が変だ。…ありがとう、返すね」
浅倉君はこめかみを押さえなから眼鏡を俺に渡した。
「…沖田君って眼鏡外すとカッコイイね。…勿体無い」
さらりと浅倉君は言う。
「お世辞言っても何も出ないぜ」
俺は、笑いながら言うと本当だってと浅倉君は強く言う。
「…無自覚」
「いやいや、俺普通だし」
笑いながら俺が言うと、イケメンは自分のこと普通って言って謙遜ばかりするのかと浅倉君は言う。
「何か…悪かった」
「いや、僕も何か熱くなっていた。…だいたい、案内したけどいきたい場所ってあるかな?」
「んー…ないかな。あっ…生徒会。行ってみたい(カオスかなぁ…。会長と誰かの絡み見てぇ!!)」
「良いけど…。はぁ…」
浅倉君は軽く溜め息をつく。生徒会室でナニかされてるのかな?だとしたら、美味しすぎる。
「そんなに楽しみか?…生徒会室。普通だよ」
物凄く顔に出ていたらしく、浅倉君は苦笑する。
「楽しみだぜ。…何て言うか、俺好奇心強い方だから会長さんどんな人か会ってみたくて(浅倉君と会長さんとの絡みでも良いけど、他の人との絡みも見たい。クラス以外の奴らとの)」
「へぇ…。ついたよ。あぁ…面倒臭い」
浅倉君は溜め息をまた吐いた。吐いた後に、三回ドアをノックして中に入った。…うん。大して、豪華でもなけゃあ派手ですらない。まぁ…質素としか言いようがない。
「遅いで。俺、めっちゃ寂しかったんや」
訛りのある先輩らしき人は浅倉君に抱きつく。
「はいはい。そんなことより、天井先輩に迷惑かけていないですか?」
浅倉君は手慣れた素振りで訛りのある先輩らしき人の背中を擦る。
「失敬な!?かけとらんわ!!んー…お宅誰や?」
「彼は、沖田啓史君です。生徒会に行きたいと言ったので一緒に連れてきたんです」
「宜しくお願いします」
俺は、ありきたりな台詞を言った。
「宜しゅうな。沖田君。取りあえず、君もこの書類に目通してくれへんか?」
「へっ…?」
俺は、するしない云々言う前に訛りのある先輩らしき人に書類を手渡された。2、3枚じゃない。5、6センチはありそうなくらい多い。
「僕、お茶淹れてきます」
「おおきに。冷蔵庫にプリンがあると思うんや。おやつに沖田君と一緒に食べ。沖田君、君は若菜達の机空いてるから使い」
「はぁ…」
曖昧に俺は、答えた後に若菜君がやる気のなさそうに手を振る。
「何時もこんな感じなのか?」
俺は、分厚い書類を机に置いた。
「まぁ…ね。慣れたら楽だと思うよ」
若菜君は笑いながら言うけど隣の高柳君は手を横に振った。
「いやいや、若菜君の言うことを間に受けたらダメだからな。無理だから」
そう言っている割には順調に枚数は減らしていっている。
「俺、生徒会室来たかっただけなのに」
「ドンマイ、沖田君。プリンでも食べて気を、我慢して?」
ニコッ笑いながら浅倉君はプリンとコーヒーを机に置く。
「そうやで。世の中、理不尽な事ばかりや。今のうちに慣れとき」
訛りのある先輩らしき人はコーヒーをすすりながら俺に言う。
「はぁ…それにしても、会長さんって未だ来てないのか?」
俺は、溜め息を吐きながら呟くと高柳君と若菜君は顔を見合わせ笑う。
「“会長さん”だったら、沖田君に書類渡した人が沖田君が会いたがっていた“会長さん”」
「嘘だろ!!もっとこう…会長らしい人が会長していると期待したのに…」
正直、残念だ。もっと、豪快な人とか物腰が柔らかそうな人が会長かと期待したのに。
「ほぅ…。自分、会長が俺で悪かったなぁ」
にこやかに訛りのある先輩らしき人もとい会長の背後から何とも言えない威圧感があった。
「あの…その、言葉の綾と言うか何と言うか…」
俺は、その場を何とか取り次ごうと必死に言葉を探すが思うように浮かばない。
「わかっとるわ。…会長らしくないことも。天井の方が会長っぽいことも。でもなぁ…言うたらアカンことはあるわ!!罰として、その暑苦しい前髪切り!!」
えっ!?ちょっ…最後の言葉が本音だろと言いたかったが、俺自身言える立場ではないので渋々頷いた。
「あらあら、此処は会長の部屋にでもなったのかしら?」
高くはないが低くもない“男性”の声が聞こえた。
見た目は女子より女子みたいなくらい綺麗だ。まとう雰囲気や容姿全てが完璧だ。だか、残念なことに制服は男子用の学ランだ。まぁ…似合ってますけどね。
「美浜。久しぶりやないか。今まで何処に居ったんや?」
「お久しぶりね…会長。今日はね、あなたのお気に入りに会いに来たのよ」
美浜と会長は言っていたような…。美浜先輩は優雅に腰を下ろす。
「…コーヒーと紅茶どちらが良いですか?」
浅倉君はお盆を両手に持ちながら美浜先輩に聞く。
「そうねぇ…コーヒー頂こうかしら」
「わかりました」
あぁ…今ので、俺の中の腐男子君が叫ぶ。美浜×浅倉ありだ!!…って。
それにしても、減らないなぁ。…書類。
「沖田君」
若菜君は書類を片手に俺を呼ぶ。
「なに?」
「順調だね。俺の分もやる?」
冗談半分若菜君は言う。
「やらないよ。ただでさえ、生徒会のメンバーですらない俺がやってるのに」
苦笑しながら、俺は若菜君に言うと高柳君も若菜君と一緒なことを考えていたのか知らないが、手を止めて俺を見る。
「…残念」
ニコッと笑いながら高柳君は言う。仮に俺が女子だったら落ちたね。うん、そのくらい威力の強い笑顔だった。
「作業中、堪忍やけど沖田君ちょっとええか?」
「…はい。何でしょう?」
「そんなに固くならんくてええよ」
会長は笑いながら俺に言う。
「まぁ…前髪邪魔やさかい、美浜に切って貰い」
「…はい?」
まぁ…前髪邪魔やから切れと?いやいや、会長何言ってんの!?
「良いわよ。あら、本当長いわね」
何暢気に言ってんの、美浜先輩!?
「やろ?ほな美浜、宜しゅうな」
「わかったわ」
ニコッと美浜先輩は笑いながら俺に近づく。
「んー…切っちゃって良いかしら?」
「……お願いします」
「任せなさい」
こうして俺の前髪は美浜先輩によって短くされた。
まぁ…何時か切ろうと考えてたし無料……じゃなかった。うん、世の中タダより怖いものはない。何故か、俺は強制的に生徒会メンバーになってしまった。多分、髪を切って貰った時点で俺は気付くべきだった。
序でに、眼鏡もダサいという理由だけで新しい眼鏡を勝手頂いてしまった。
あぁ…丁重に断ったけど、買って貰っちゃった。
まぁ………ネ、ネタの為に頑張りますか!!
浅「(直哉先輩に)呼ばれたのは良いけど、此処って僕らの場所じゃあ…」
高「しょうがないよ(苦笑)」
若菜「そうそう。それより、ハイチュー食うか?」
浅&沖「食べる!!」
浅「アレ…沖田君、さっぱりして…男前になっちゃって。…羨ましい(笑)生徒会メンバーに選ばれておめでとう(笑)」
沖「アハハ(笑)ありがとう(ニコッ)生徒会は嬉しくないけどね(苦笑)」
高「(苦笑)…似合ってるよ(ニコッ)」
沖「ありがとう(ニコッ)高柳君もカッコイイよ(いっそうこのまま浅倉君とイチャついてくれ)」
若「何か…時間が来たので若菜幸政と」
浅「浅倉明日香と」
高「高柳正平と」
沖「沖田啓史が…会「ちょっ…待ちぃ!!会長の沖田啓史と」
美「書記の美浜緑が伝えました。またね(ニコッ)」