三日目
天井(略天)「初めまして、天井久史です。生徒会では、副会長を務めてます。まぁ…宜しく」
浅「天井先輩は、此処に来るのって初めてですよね?」
天「まぁ…な(苦笑)あいつ(会長)は何処に行ったか知ってるか?」
浅「わからないですね(苦笑)」
天「…だろうな(苦笑)」
浅「直哉先輩に何か用ですか?」
天「あぁ…大有りだ。書類が山のようにあるのに、尾坂のヤツ…(怒)」
浅「まぁ…見つけたら、直哉先輩に言っときます(苦笑)」
天「おっ!!ありがとうな(微笑)」
「はい、会長さん」
僕は雑用みたいに…雑用なんですけど、お茶を会長に配る。生徒会に強制的に入って三日目が過ぎようとしている。未だ、残りの生徒会メンバーに会っていない。何人で切り盛りしているんだろうと僕は思った。
「おおきに」
ニコッ笑いながら会長…名前何だっけ?大阪…?違うなぁ…違いはしないが、何かが違う。
「尾坂、またこんな所でサボってるのか?」
あっ…そうそう、尾坂直哉だ。強ち間違っちゃいないと一人勝手に僕は考えていた。
「んー…君は?」
「浅倉明日香君や。あと、若菜と一緒に書類見てるのが高柳正平君やで」
「まさか、尾坂が無理矢理入れたんじゃねぇのか?」
正解です。何でわかるんだと、僕は内心目の前に居る先輩らしき人を尊敬の眼差しで見つめた。
「ちゃうわ、アホ!!彼らが快く承諾したんや」心外やと怒り笑う会長を先輩らしき人は会長を無視して僕は見る。
「悪いな、俺は天井久史だ。一応、副会長だ。宜しく、浅倉君」
差し出された手を僕は握りながら、あぁ…この人が会長だったら駄々をこねずに来たかもと思った。
「宜しくお願いします、副会長」
「浅倉君、副会長は止めて欲しい」
「わかりました。天井先輩で良いですか?」
「ちょっ…浅倉君、何で俺の時は嫌やって言うたくせに天井はええんか?」
子供のように口を尖らせながら会長はいじけた。
「そうなのか?」天井先輩は苦笑しながら僕に問い掛ける。
「まぁ…はい」
「…あいつ、面倒臭いから名前で呼んでやってくれないか?」
「はぁ…わかりました」
僕は、会長もとい尾坂先輩の席に近付いた。
「あの…」
「何やねん。お茶のおかわりやったらいらんで」
椅子の上で三角座りをしながら顔を埋める。あぁ…面倒臭い。
「…尾坂先輩」
「直哉や。直哉って呼んで欲しいんや」
……ウゼ。じゃなくて、チラッと天井先輩を見ると声を抑えながら笑っている。他人事だからって、ちょっと天井先輩!?
チラチラと尾坂先輩は僕を見る。面倒臭い。その言葉が脳裏に浮かぶ。内心、溜め息を吐きたいのを我慢した。
「直哉先輩…で良いですか?」
「うん!!それがえええわ」
尾坂先輩もとい直哉先輩はさっきのウジウジしたオーラとは違い、直哉先輩は眩しいくらいの満面の笑みを浮かべる。
「おおきに、浅倉君」
ドサッと直哉先輩の机に書類を若菜君は溜め息を吐きながら置く。
「会長、遊んでないで書類確認したんで見直し捺印お願いします」
「わっわかった。お疲れちゃん、お二人さん。天井、生徒会に来たんなら手伝ってな」
「……俺、自分の分は随分前に済ませるよう言った筈だが?」
「いや…明日からって決めてたんやで」
直哉先輩は天井先輩の目を反らしながら頭を掻く。
「へぇ…明日。尾坂、今すぐやれ」
僕が直哉先輩の立場だったら、怖すぎる。天井先輩は青筋立てながら笑みを浮かべ、命令口調で言う。
「うっ…はい」
怖っ。何て言ったら、自分にも振り掛かりそうなので敢えて言わない。僕は、空を見ていると天井先輩と目があった。
「浅倉君、どうした?」
「いえ、何でもないです」
言えるわけないでしょ。あなたが怖すぎですなんて。
「そうかぁ…?」
天井先輩は、苦笑しながら大量の書類に目を通している。
それにしても、僕って生徒会に必要か?何かできるかって言われても、大して何もないし…パソコンだってインターネットで調べることは出来ても、その他の訳のわからない何か…こうブラインドタッチ何て出来ないし、人差し指でポチポチ押すのがいっぱいいっぱいだ。
更に、勉強なんて好きじゃない。人並みだ。
正平は、勉強や運動が得意でしかも面も良い。更に、性格はすこぶる良い。
何で僕なんかを好きなのだろうか?
昔の約束に縛られているのだろうか?
……わからない。
「疲れた、明日香?」
正平は、僕の顔を覗き込む。僕は、首を横に振った。疲れるんだったら、正平の方じゃないのか?
僕は、お茶を淹れただけだ。
「そんなことないよ。正平は…?」
「俺は、平気だよ。ただ、明日香が辛そうな顔をしてたから」
苦笑しながら正平は言う。
「会長の相手してりゃあ…そういう面にもなりたくなるよな」
書類を片手に若菜君は言う。
「ちょっ…若菜!?敬えや」
直哉先輩は苦笑しながらも目は書類だ。
「喋ってないで、書類」
ピシャリと天井先輩は言う。
「へいへい」
これが、生徒会の一日の流れだ。殆ど僕は椅子に座ってお菓子を食べたり、たまに直哉先輩にお茶を淹れたり若菜君達にも淹れる。
他の生徒会のメンバーが居るのか聞きたいけど、まぁいっか。どうせ、嫌でも会えるだろうし。
会「ここまで逃げれば大丈夫やろう(汗)」
高「…何が大丈夫なんです?」
会「!?ビックリしたわ(汗)」
高「すみません(苦笑)…まさか、天井先輩からですか?」
会「まさかも糞もあるかいな。天井から逃げてんねん」
高「へぇ…(苦笑)」
会「アイツ、メッチャ怖いんやで。少し、休憩しただけですぐ怒るし」
天「怒らせる様なことをしなきゃ良いだろ?(怒)」
高「あっ…明日香と約束があったんで(逃げ)」
会「ちょっ…(汗)逃げんなや!!」
天「逃げてんのはあんただろうが!!(怒)」
会「うっ…すまんせんでした!!」