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自由気ままな短いお話  作者: ときる


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2/2

本当にあったちょっと怖い話

 それは、私がまだ物書きを始めたばかりの時でした。

 

 きっと他人事ではありません。

 決して逃げてはいけません。

 

 あの時逃げ出していたら、私はきっと――。


◆◆◆

 

 仕事帰り。

 

 先日から、自分の物語を形にしたくて「小説」を書き始めた私は、今もスマホの画面を見つめながら推敲を繰り返していた。


 会社から駐車場までは少し距離がある。

 ぶつぶつと独り言――は、言ってはいないが、画面から目を離さず、それでいてスタスタと歩く姿は少し怪しかったかもしれない。

 今思えば、歩きスマホだったのでよろしくなかったと思う。


 朝から夕方まで一日仕事をしたというのに、帰ったらまた家事という仕事が待っている。お腹も空いたな。

 ちょっとした息抜きと称して、私は近くのコンビニへ寄ることにした。

 車に乗り、エンジンをかける。


 近くとはいえここは田舎だ。車で10分ほど走ったところでやっとコンビニに到着した。相変わらずスマホを見ながら店内へと入る。

 

 自分の口と相談した結果、からあげと、値引きシールが貼られていたスイーツを購入することに。

 お肉の大きさマシマシのカツ丼が目に入ったが、心を鬼にして我慢した。

 

 多くの人が帰宅する時間帯だ。店内はそれなりに混んでいて、青い制服の店員たちがせかせかと客をさばいている。

 

 レジ待ちの列に並びながら、また私はスマホを開いた。

 少しでもレジ係が早く回せるようにと思い、事前にポイントカードと決済コードを表示しておき、その後は再び推敲に。

 

 順番が来たので、私はからあげを注文し、手に持っていたスイーツをカウンターに乗せた。

 店員は慣れた手つきでレジを操作すると、からあげを準備し始めた。すぐに食べたかったので、袋は不要と伝え、私も準備していたポイントカードを表示させる。

 店員はそれをハンディーでピッと読み込んだ。


 軽く礼を言うと、私は商品を手に持って店の外にでた。

 目線はまだスマホのまま。


 子どもの迎え時間(タイムリミット)まではまだ少し時間がある。

 

 つかの間のひとり時間を車の中で過ごそうと、からあげをかじっていた。

 

 その時だった。

 

 コンコン——


 不意に、車の窓が叩かれた。


 知らない男だった。

 でも、怪しさは見られない。


 背中が少しだけひやりとした。冷たさを感じつつ、何事かと思ってドアを開けた私に、青い制服を着たその男は言った。


「あの……。お会計がまだのようですが……」



 

 その時もし逃げ出していたのならば、私はきっとここにはいなかったことでしょう。


 決して逃げてはいけません。

 

 無視してもいけません。

 

 顔から火が出ようとも、口からからあげを吹きそうになろうとも。


 そして大きくハッキリした声で言うのです。


「すみませんでしたぁ!!!」

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