プロローグ
暗い、暗い森の中、2人の女性が歩いていた。
「ねぇくらいよ〜。」
背丈は幼女に近い女性は口が開く度に愚痴がこぼれている。
「⋯」
もう一人の女性は成人女性と変わらない背丈で、無口でいた。
「ねぇー。」
「⋯」
「ねぇ聞いてよ。」
「⋯」
「ねぇてっば!!」
「全くなんでアンタはそう無口なのよ。」
暗い夜道二人はある場所に向かって歩み続けている。
「ホントーにこの道で合ってんの?」
問いかけても一向に返事がない、会話のキャッチボールが成立していない。
「あんたの占いホントに大丈夫?」
「⋯着いた。」
無口の女性は、口を開き、幼女の姿の女性にそう告げた。
「え?」
目の前には祠があった。
「ここに目当ての物があるの?って何も無いじゃん!」
「⋯」
ドガッ無口の女性は力いっぱい足に力を入れ、祠を木っ端微塵に吹き飛ばした。
「⋯っちょ、ちょっと待ってよ罰当たりにも程があるよ。」
「⋯あった。」
「え?」
祠のあった場所にひとつの木箱があった。
「これ?」
幼女は木箱を持ち不思議そうに見ている。
「ん〜」
力いっぱい木箱に力を入れ、中身のものが露わになった。木箱の中にはひとつのカードがあった。
「⋯見つけた、見つけたよ、【愚者】。」
余り喋らなかった女性はカードを見るやいなや、どこか嬉しそうな、悲しそうな声ではっきり言った。