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縁の理(えにしのことわり)上巻~ReTake.ZERO~MORSウイルスとAIアリシアの攻防  作者: 平瀬川神木
第11章 再起

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第91話 第11章 再起 第3節 米軍キャンプから素敵なバスが出る

【アリシアの初報366日目】

 共産主義国の会見が終わってから12時間後、日本時間で24時を回った段階で、すでに22ヶ国が世界一路構想に参加を表明。そのうち17ヶ国はすでに共産主義国を訪れて、調印を終わらせている。

 そんなタイミングで、国立感染症研究所の小曲博士のもとに電子メールが送られてきた。

「Dr. Komagari judges ProteoBlock effective. Patient prognosis is good. 14 cases confirmed. ~小曲博士、『プロテオブロック』は有効と判断。患者の予後は良好。14症例で確認~」

 国立感染症研究所の室内には、深夜にもかかわらずいつもの3人の他、厚生労働省の職員もいた。厚生労働省職員は、すぐにアリシアに情報伝達を依頼した。


 その1時間後、午前1時を回った南風の沖縄米軍キャンプ。嘉手納基地の2本の滑走路と、普天飛行場の滑走路から、米軍の輸送機が次々と飛び立っていた。


 日本人の多くが寝ている時間。日本時間の午前2時にホワイトハウスにて、アメリカ大統領が世界に向けて記者会見を行った。

 堂々とした表情で、紺色のスーツと青いネクタイを身に着けた、世界のリーダー然とした態度だった。

「世界の皆様へ。現在アメリカ軍の輸送機が世界の国々に向けて、MORSウイルスのデルタ株に対応できるウイルス無力化薬『プロテオブロック』を送っています。可能な限りの高速でMORSウイルスの治療薬を世界に向けて運んでいます。一番初めにデルタ株が発見されたスイスには、既にプロテオブロックが到着し、感染発症患者や医療職員を優先的に服用が開始されております。結果良好との報告を聞いています。焦らずにアメリカを信じてお待ちください」

 記者から手が上がった。

「大統領、これはどこからお尋ねしたらよいのかわからないのですが、まず、えーと、共産主義国の世界一路構想に参加を表明した国に対しても、ウイルス無力化薬『プロテオブロック』は届けるのですか?」

「共産主義国以外の全ての国に向けて配送を開始しています。受け入れぬ国はその国の自由です。当然我が合衆国との何らかの調印などは必要ありません。政府としての考え方は違えど、そこに生きる人間の重さは同じです」

「大統領、それにしても早すぎませんか?デルタ株が発生してまだ数日です。ワクチンであれば全く間に合わないタイミングです。ウイルスの無力化、分子治療。色々お聞きしたいのですが、そもそも、この薬を作った製薬会社はどこなのですか?」


「まず今回のプロテオブロックについてですが、アメリカ政府の感染症研究機関と複数の製薬会社や大学が共同作成したウイルス無効薬です。スイスには私がサインした大統領令により先行輸送を行いました。この会見の後、プロテオブロックの設計図を世界に公開して、どの製薬会社でもパテント料無しでプロテオブロックの製造ができるようになります。アメリカ合衆国は世界の平等を守り抜く世界の警察であります」

「大統領、ですから間に合わないでしょ?とお尋ねしています。何が起こっているのですか?」

「アメリカではスーパーワープスピード作戦を実施して、事前にウイルス変異を予測する技術を開発しました。このアメリカ合衆国がある限り、どの国であろうと、世界の人々を人質にした傀儡国(かいらいこく)を作る作戦などは実行できないのです」


 この時、あらゆる省庁では職員が残っており、多くの職員は喜んでいた。特にアリシアが富岳と極秘裏に設計し、極秘裏に国内11か所の製薬工場で生産し、極秘裏に沖縄米軍キャンプに輸送保存する任務にあたった人間は、涙を流して喜んだ。この数週間、働きづめで世界の人々の命を懸けたギャンブルで「勝ち」をもぎ取った瞬間だった。

 世界においても同様で、死への恐怖から解放された瞬間だった。


 そのころ深夜であったが、美咲と悠太は自宅でテレビを見ていた。冴子から電話があったからだ。

 時間を考えて、カフェインが入っていないルイボスティーを飲む悠太。

「なんかさあ、ここ数週間本当に苦労して、極秘で取り組んでアメリカが開発したように見せかけた茶番劇。本当に意味があったのかな?普通に日本がプロテオブロックを出せば、日本の立場が上昇したんじゃないのかな」

 同じようにルイボスティーを飲みながら美咲が言った。

「ははは。そうね。でも悠太君の親友の真理雄君が提案した案なんだから。慎重な思考の人なんでしょ?」

「美咲ちゃんとだって、もうずいぶん古い友達じゃん。美咲ちゃんが18歳の時、初めての萬珍本店の個室パーティーの時からだから」

「ごめんね、篤君のことや健治君のことは覚えているんだけれど、真理雄君のことはほとんど覚えていないのよ」

 悠太は自分のスマホで、初めての萬珍本店の個室パーティーで撮った写真や、その後、悠太と篤と真理雄の3人が、食べ歩きの焼き小籠包を口にくわえている写真を見せた。悠太の隣には美咲も写っている。

「花楓さんが撮ってくれたのを共有してくれた写真だよ。この後も何度も萬珍本店の個室パーティーはあったけれど、いつも楽しかったなぁ~」

 悠太は笑顔で言った。


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