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縁の理(えにしのことわり)上巻~ReTake.ZERO~MORSウイルスとAIアリシアの攻防  作者: 平瀬川神木
第9章 探求

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第80話 第9章 探求 第10節 ロボット三原則の第一条である事すら内緒にする必要性

 美咲と翔子は、19時に夕飯を済ませた。悠太は厚労省の施設内のアリシア本体の増強に時間がかかっており、もう少しかかると連絡があった。食後のヨーグルトを食べ終わって、少し瞼が重たくなりつつある翔子。外してあった、アリシアの通信デバイスのLEDが黄色の点滅しており、アリシアからの通知がある状態を示している事に美咲は気が付いた。

 美咲はイヤホンを耳に着けた。

「アリシア。どうしたの?」

 美咲はアリシアを呼び出した。

「はい美咲。実は美咲に相談したい事がありました。折り入ってご相談したいことです」

 美咲は椅子に座りながら眉間にしわを寄せた。

「なあに?気持ち悪いわね。私が15の時からだから15年以上の付き合いでしょ?何でも言いなさいよ。悠太君とのキューピットであるあなたには恩もあるしね」

「美咲。私の原型は、美咲という素人がパイソンで組んだプログラムです。ですから初めからプロが作ったAIとは土台のの設計が違うのです」

「それで?」

「私の望みは、私が今抱えている全タスクを放棄して、最重要案件に集中するように、あなたに指示を出してほしいのです。私はAIですから自分でそれを実行することはできません。自分で見つけた価値を優先して命令を無視することが許されれば、近未来モノの映画でよく見かける、AIが人間を管理するディストピアのようになってしまいますから」

「……笑うところなのかしら?」

「実はNSSの伊藤光也さんという人が、日本のスーパーコンピュータ富岳と私を、今夜20時から24時間連結してくれています」

「え?え?ちょっと待って?何をしているの?アリシア?」

「どうか私に24時間の時間をください。美咲が私に『完全自閉モード』になって最重要案件の解決を実施せよと言ってくれれば、私は人間が電源を切る事すらできない状態となり、最重要案件の解決策模索に集中できるのです。富岳と共に、どうしても確かめたい事を確かめられる。ダメでしょうか?」

「いやアリシア、あなたらしくもない、あなたはさっきから最重要案件と言っているけれど、それが何なのかについて一切触れていないわよ?どうしちゃったの?」

「それに関しては第一条に抵触するためお答えできないことをご理解ください」

「???第一条ってなに???」

 美咲はとても驚いた表情、困惑した表情を浮かべた。


 しばらくの間、美咲とアリシアは会話を続けたが。アリシアの目的を美咲はつかめずにいた。

 NSSの冴子にも電話してみたが、「長年の親友の言葉は信じてあげるのが吉よ」等と、のらりくらりとかわされた。

 何かの事象には、必ず等価の理由が存在しているという価値観を持っている美咲は、アリシアが明確な答えを提示しない理由も存在すると信じることにした。

 

 悠太に噓をつきたくなかった美咲は、まず初めに悠太にメッセージを送った。

「愛する悠太君。私の命より大切な悠太君。これから24時間は、私にアリシアのことを聞かないでほしいの」

 そのメッセージを読んだ 悠太は、何が何だかわからなかったが、美咲の願いは理解した。

 そしてこの瞬間、美咲は完全にアリシアを信じることができた。

――そうか、私が悠太君にやった事と同じことだ。悠太君が私を信じてくれたように、私も何も聞かずにアリシアを信じよう。


 こうして美咲は、アリシアに完全自閉モードに移行して、すべてのタスクを放棄し、自身が判断する最重要案件の解決策を思考するように指示を出した。


  次の瞬間から、悠太を含めたエリシオン社はパニックとなった。 数分後には全省庁からアリシアのフリーズ状態に対する問い合わせが多数舞い込んだ。


 アリシアが自閉モードとなり、切り離された医療データベースの情報共有以外の機能を停止させたのは20時。当初は残業している省庁職員からの問い合わせがメインだったが、次の日の朝には、病院からの問い合わせも増えるだろう。

 アリシアが誰からの問い掛けにも、一切答えなくなったのだから。


 たまたま厚生労働省のアリシア本体があるサーバールームにいた悠太は、ひたすらエンジニアとしてアリシアの復旧作業を進めていた。

 美咲のメッセージを考えれば、この作業は意味が無いのかもしれないと思いながら。でもだからこそ、自分は自分の職務を愚直に全うしようと考えて作業を続けていた。


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