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縁の理(えにしのことわり)上巻~ReTake.ZERO~MORSウイルスとAIアリシアの攻防  作者: 平瀬川神木
第8章 原因

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第63話 第8章 原因 第3節 お隣さんが、ただのお隣さんではないことも時にはある

【アリシアの初報27日目】

 今日の日本国内では、昨日のワクチン開発スタートというハッピーなニュースから一転、複数の大型貨物船内で新型ウィルスに感染し、発症している船員がいることが確認されたこと一色となっていた。

 一般国民にはそれほど関係ないようなこのニュースが、なぜそこまで大騒ぎになっているのか?それは今後輸入が滞り、国内品不足に陥るのではないか?というSNSでの書き込みが頻発していたからだ。


 マスコミはマスコミの矜持(きょうじ)で、不安を解消しようと必死になってはいるのかもしれないが、やればやるほど国民の不安は煽られて、スーパーなどでは行列が出来ているという映像が映されていた。まさに以前アリシアが言っていた、価値のない情報が国家を転覆させる可能性を持つという良い例だ。


 テレビ画面では、アナウンサーと解説者が話していた。


「現在イギリス政府の追跡調査で判明している、パンデミックを起こしている貨物船は次の通りです。

大西洋を横断中でアメリカ、ニュージャージー港行きのリベリア船籍オーロラ号。オーロラ号は発症者が3名で、完全に孤立した状態のようです。

続いて現在地はアラビア海のインド付近を航海中のシンガポール行きパナマ船籍のエバーグローリー号。こちらは軽い発熱の船員が1名だけであり、現在隔離しているとの情報が入っています。

3隻目は目的地であるロシアのサンクトペテルブルク港付近に居るのですが、ロシア政府が着岸を拒否しており、行き場を失っているこの船はデンマーク船籍のニンバス号です。複数名の発熱者がいるとの情報が入っています。

4隻目がフランス船籍のオリオン号で、こちらは南アフリカに寄港して、ブラジルサントスに向かう船でした。現在南アフリカケープタウンに到着しています。上陸は許可されておらず、食糧不足に対して応援を求めているとの事です。

5隻目はパナマ船籍のオリエントスター号で、この船は横浜行きの船でした。現在地はベーリング海付近を航行しているようです。船員5名が発症しており、SOSを発信しているようです」


「日本に向かっているオリエントスター号ですが、最も近くにあるロシアは、自国に向かっていた貨物船に対しても着岸拒否をしていますので、ロシアに助けを求めるのは難しいと思いますね」


「その場合はどのようになるのでしょうか?また、到着予定国である、日本の責任問題はどのようになるのでしょうか?」


「おそらく米国領のアラスカを目指すことになるのではないでしょうか?そして日本の責任というお話しでしたが、日本には権利も責任もないですね。この船の船籍はパナマでありますし、日本の排他的経済水域でも領海でもありませんから。日本は口を出すことができないと言えますね」


「この貨物船が予定通り横浜に到着しないと、具体的にどのような影響が考えられるでしょうか?」


「まあ特に直接的な影響はないですよ。極一部の品が入荷にいつもより少しだけ、時間がかかる程度の話でして」


「テレビをご覧の皆様も、日本に向かう貨物船がこのようになっても、直接的な影響はありませんので、どうか必要以上の買い物をするなどはお控えになるように、私どもからもよろしくお願いします。CMの後はワクチンについての続報です」


 美咲と悠太が住むマンションの隣の部屋には、NSSの職員である響子と、その夫役である三橋。それぞれの兄弟役も合わせて合計6名が出入りしており、常に2名は室内に待機をして警護体制を取っていた。

 基本的には平和な時間が過ぎていくだけなので、響子としては退屈をしていた。


 テレビを見ていた夫役の三橋が言った。

「笑えるよな。もう何が言いたいんだかさっぱりわからねえよ。貨物船の情報なんて出したって、なんの意味もねえじゃねえか。ネガティブ因子しか見えねえけどな……」


 リビングに置いてあるスピンバイクに乗って、軽く汗をかきながらペダルを漕いでいる、妻役の響子が言った。

「あんたの言い分もわかるけれど、なにせ今はSNSで情報が伝播される時代だからね。平和なテレビ局が先に伝えた方がマシってところなんじゃないの?狙いとしては」

「そろそろ小学生の必須科目として『情報リテラシー』の授業をいれるべきじゃねぇの?」


「三橋、あんた子供小学生だっけ?」

「個人情報流すわけねえだろ。バカかよ」


「子供が小学生かどうかが、個人情報に当たると勘違いしているバカはどっちよ?プライベートとか公私を分けるとか言いなさいよ」


「冴子係長は何でこんな平和な家族に、トップクラスの警護当てているんだろうか?響子は聞いてないのかよ?」


「聞いていないわよ。ロシアンマフィアの銃器密輸の件で、札幌の裏カジノまで突き止めていたのに、いきなり呼び戻されてこれだもん。まあ知っていてもあんたには教えてあげないけどね」


「……妻のくせに生意気なんだよ」

「……チッ」


 響子は軽く舌打ちしてから、スピンバイクを漕ぐ速度を上げた。

 三橋はリモコンをテレビに向けて、音声を大きくした。


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