表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
縁の理(えにしのことわり)上巻~ReTake.ZERO~MORSウイルスとAIアリシアの攻防  作者: 平瀬川神木
第6章 奔流

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/103

第41話 第6章 奔流 第1節 奔流の起点

 内閣官房国家安全保障局外事課特殊戦術係介入班、通称NSS介入の一室で光也が大きな声を上げた。

「冴ちゃ〜ん。黒田美咲ちゃんに電話繋いだよ〜!」

 冴子は何の躊躇も確認もせずに、首にかけた骨伝導イヤホンのボタンを押した。

「……留守電よ?!」

「じゃあ夫の悠太に繋ぐよ~!」

 すぐに冴子はもう一度イヤホンのボタンを押した。

「もしもし」冴子の骨伝導イヤホンの左耳から悠太の声が聞こえた。

「もしもし?私は内閣官房の佐藤と申しま~す。奥さん、美咲ちゃんに替わってくれる?」

「え?いま美咲ちゃんは佐藤さんに電話を……」

「あら、偶然もあるものね。じゃあちょうど良かったわね。替わってくれると嬉しいわ?」


 冴子の右耳から光也の声で報告が入る。

「美咲ちゃんがネットで官房の検索をかけたのでアラート発生。実際に電話はじめたからキャッチホン狙いでつないだけれど、留守電になっちゃうタイプだったので夫の悠太君に繋いだよ」

 冴子は報告を聞いて、光也に向かって親指を立て「了解」の合図を送った。

「もしもし美咲です……」


「久しぶりね美咲ちゃん。私、佐藤冴子よ。覚えているかしら?あの日約束した通り、頑張って救急隊にもアリシアが使えるようにしたのよ」

 冴子の右耳には光也からの報告。「偶然同じタイミングで電話したでおすなら、厚労省のアリシアプロジェクトの緊急時手順書を見て悠太君の番号を知ったと」

 美咲は眉をひそめた「今ちょうど冴子さんと話したくて、内閣の総合受付に電話をしていたところなんですが……」

「え~?偶然ってあるものねぇ。私は久しぶりに時間の余裕がある午後だったから、美咲ちゃんに、約束通り消防庁で使えるようにしたことを伝えたいって思ったのよ」

 美咲はさらに眉をひそめて左手で持っていた自分のスマホを見ながら言った。

「ちょっと私のスマホの通話を切りますね……(もしもし、すみませんが一度切ります)……お待たせしました。ところで冴子さんはなぜ悠太君のスマホ番号を知っているのですか?悠太君は冴子さんに会ったことがないって言っていますけど」

「私はこう見えてね、ちょっとはエラい立場の内閣官房の職員なのよ。だから、厚労省のアリシアの非常時連絡一覧表を見るなんて簡単なのよ」

 美咲は腑に落ちないような表情のまま言った。「まあわかりました。それよりとても大至急ご相談したい事があります。どうしたら一刻も早く会ってお話しが出来ますか?」


 右耳に光也からの報告。「合同庁舎玄関前に公用車到着。自宅まで30分。住所は聞いたふりをしておいて」

「じゃあ、私が美咲ちゃんの家にお邪魔して良いかしら?一番安全だと思うのよね」

「わかりました。住所言いますね」

「うん、教えて」

 美咲は自分たちのマンションの住所を冴子に伝えた。


 話し終えた冴子はイヤホンのボタンを押して電話を切ると光也に言った。

「光也、トリガーレベル3で招集をかけておいて。最低2人、バックアップ要員を配置して」

「了解。動向をリアルタイムで共有。僕判断で必要ならエマージェンシーレベル4へ移行するからね」

「慎重にね。話の内容がなんだかわからないから、NSSの動きが目立たないように」


 冴子は首にかけていた骨伝導イヤホンを外し、イヤリングにしか見えない青く大きな耳飾り型イヤホンマイクと大きな蝶の形のペンダントタイプのカメラを身に着けて部屋を出た。

 光也はデスクに置いてある『ヤマザキの三角シベリア』に両手を合わせ「冴ちゃんが無事でありますように」とつぶやいた。


 そしてキーボードを高速で叩き始めた。「……レベル3だから、まず美咲ちゃんのマンションのあらゆる通信機器をハックして……室内のカメラはスマホくらいかな……同じフロアのインターホンカメラとマンション全体の防犯カメラのハック完了。んで、全職員にレベル3発動して……と。30分圏内に2名いるからその職員を向かわせてっ……と」

 光也はキーボードをたたく合間に、シベリアにかぶりついて、またキーボードをたたき、7分後には全ての準備を終わらせていた。


【16時】

 冴子が美咲たちの住むマンションに到着したときには、マンションの入り口の道路反対側に作業着にヘルメットをかぶったNSSの職員が、電信柱の脇に「緊急工事中」と書かれた赤いカラーコーンを置いて、電信柱に登っていた。さらにマンションの少し先には「三正運輸」と書いてある2トントラックがハザードランプを点滅させて停車しており、後部荷台の観音開きドアを開けて、段ボール箱を入れ替えている配送員がいる。こちらもNSSの職員だ。


 冴子は公用車を美咲が住む一つ先のマンションの前で降りた。公用車はすぐに走り去り、冴子は美咲のマンションに背にして歩き、次の角を左に曲がり、その後も同じように角を3回左に曲がり、四角形を描くように美咲が住むマンションの前に戻ってくると、電信柱の上の職員が左手で『C』の形の合図を送っていることを確認しエントランスに入った。

 ※Cの合図はクリア、異常なし、冴子が尾行されているような異常は見当たらないという意味を持つハンドサイン


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ