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【完結】制限付きの大聖女 ~弟に溺愛されて困っています!~  作者: 花摘猫
大聖女は聖女を助けたい編

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攻撃力が高い幽閉の聖女

ガラレオに行く日になった。

三人でドロテアと魔王に挨拶をしたあと、ポータルに向かう。

姿を消してから、ポータルに乗ると、ガラレオに着いた。



ポータルの向こうは臭かった。


「くっさ。虫もいる」

「フォーウッドが腐ってるのかも」


嫌そうなリツキとは正反対に、楽しそうにアンリが洞窟の奥に歩いて行った。


「腐ってた」


なんでもない顔をして戻ってきた。


「聖女を助けたら腐った姿を見たいかもしれないから、ほっとこう。行くよ」


二人でアンリの身体に触ると、景色が反転する。




次の瞬間、目の前には大きな塔があった。

まわりは森に囲まれている。

扉の前には兵士すら立っていなかった。

ガードを押すと、フォーウッドの家に行った時と同じような少し柔らかい感触がする。


「フォーウッドと同じようなガードだ」

「じゃあ俺が壊す。待ってて」


リツキの目が真っ黒になって、ガードに両手をつけてグッと押す。

手が奥に入ると、両手を広げるように力を広げていった。


「穴みたいのあけてるの?」

「うん。けっこうあけないと瞬間移動できないみたいだから」


額に汗をかきながらあけている。

ゴム板に穴をあけている感じだと思うと、大変だろうなと思った。


「そろそろいけそう」


アンリが言うと、リツキがアンリの肩を掴む。

私も手を掴むと、瞬間移動をした。



次の瞬間には、石造りの塔の階段に着いた。

そこにあるガードも、ゴム板のようなものだった。


「私、先に行っていい? 男の子がいきなり入ってきたら怖いだろうし、女の子なら私も危なくないでしょ?」

「まぁ、穴あけるのにそんなに時間かからないし、いいよ」

「すぐに扉から入れるようにして」


二人の意見を聞きながら、ガードを押すと、にゅるんと奥に入ってしまった。

リツキは穴をあけられるけど、私は穴をあけられないらしい。


「じゃ行ってきます!」


後ろの二人に声をかけて瞬間移動をする。

と思ったら、扉の前で止まった。たぶん、中にいる聖女のガードだろう。

ガードを壊してから、ドアを叩いた。


よし! 怖がらせない言い方を心がけよう!


「こんにちは~助けに来ました~!」


作り笑いをしながら大声で話す。

怪しい。怪しすぎるけど、勝手に室内に入ったら怖がらせるから、やるしかなかった。


透明化を解いて待ってみるけど、返事はなにもない。

下から、リツキとアンリが階段を登ってきた。


(どうしよう。もしかしたら、私達が貴族を殺したから、ご飯を貰えなくなって倒れてるのかも)


「大丈夫ですか~? 入りますよ~」


当然ながら鍵はかかっていたので、瞬間移動で室内に入る。


次の瞬間、後ろから何かに押されてつんのめって床に倒れた。

背中の上に、何かが乗ってる感覚がする。


「なに、いきなり暴力……」


ググっと持ち上げるように神聖力を使うと、顔の横にある床にナイフが突き立てられた。

下手に動かない方がいいかもと思って、ペチャンと床に倒れる。

身体が動かないから顔は見えないが、黒い靴と長いスカートの裾が目の前にあった。


「誰の差し金でここに来た」

「え……私の意思で来たから私の差し金?」


顎がもたれて、顔が上に持ち上げられる。

くせ毛のグレーの髪色で、少したれ目のキリリとした顔がこちらを見ていた。

長めのショートをかき上げて、私を見降ろしている。

この人がゾーイだろうけど、なんか色気ある人だな……。


「なんて間抜けな顔をしているんだ」

「……えぇ」


助けにきたのに、なんて失礼な人なんだ。

ドアがドンドンと叩かれる。

さっきの倒れる音でリツキが耐えられなくなったのかもしれない。


「ガラレオに攫われたっぽいから助けに来たんだけど、助けられたくないの?」

「帰りたいが、君等が味方か敵か計りかねる」

「フォーウッドも殺したから味方だよ~……早くしないと私の彼氏が入ってきて喧嘩になるよ」

「は? フォーウッドを殺した? あと、ここはデートコースじゃないんだぞ?!」

「聖女に酷いことしてたから殺したの。死体もあるから見たかったら見ていいよ」


「待て」


私の言葉を遮って、突然ゾーイがドアの方を見る。

そして、ドアに向けて何かを撃った。

攻撃を弾いて、アンリが姿を現す。


「ウィリアムソン!」

「お前に気を遣って一人で入っていった子に酷いことするなよ。可哀想だろ」


(二人が入ってきちゃった)


亀のように慌てて手足を動かす。

次の瞬間、背後から身体が持ち上げられた。


「ミュー……だから他人なんて信用するなって言ってるのに」


リツキだ。

ギュウギュウと抱きしめられているので、なんとなく目が真っ黒なんだろうなと思う。


「ああ、そっちが彼氏か」

「僕も彼氏だけど」

「は?」


不満そうなアンリがリツキの姿を現す。

後ろを振り返って確認すると、予想通り目が真っ黒だった。


「その変態が勇者のリツキ。お前を助けようとしたのが大聖女のミユキ。ミユは僕の彼女」

「俺も彼氏だけど」

「こんなふしだらに見える自己紹介は嫌なんだけど!」


リツキに抱きつかれたまま叫ぶ。

そんな私を、ゾーイは呆れた目で見降ろしていた。


「二人も彼氏がいるのはふしだらでは?」

「深い事情があるの~!!!!!!」


嘆きながら腕から抜け出そうともがくが、がっちり掴まれていて無理だった。

これはしばらく離してくれなそう。


「で、国に戻りたいなら案内するけど帰る?」

「本当に帰れるのか?」

「ポータルがあるからね。早く決めろ。ミユを危ない目に合わせたくない」


アンリは心底どうでもいいという感じでゾーイと話している。

ゾーイは、少し考えて、部屋の奥に行って、大きなバッグを肩にかけて、紙箱に色々書いた紙を詰めて持ってきた。


「帰る」


ゾーイは素っ気なく言った。


「あ、もっと持って帰りたいものがあったら私も持つよ。リツキはもう離しなよ。恥ずかしい!」


手足をバタバタしながら言う。

だけどリツキは私を降ろそうとはしなかった。

本当に今日のリツキは離れなくて困る。

そんな私を見ながら、ゾーイは苦笑した。


「いいよ。頭に大体入ってるから」

「じゃあ行くよ。触って」


アンリの言葉で、リツキは私を抱えたままアンリの肩を触る。

ゾーイも反対側の肩を触っていた。



景色が反転して、ポータルがある洞窟に着いた。


「酷い匂い」

「あっちの奥でフォーウッドが腐ってるんだ。憎い聖女は見るだろうと思って処理してない」


アンリの言葉を聞いて、ゾーイは奥に歩いて行った。

そして、ニコニコとしながら戻ってくる。


「いい気味だ」


嬉しそうな声に、やっぱりゾーイも被害者なんだなと思う。

ポータルに四人で乗って、魔王城に移動する。


魔王城に着くと、やっとリツキが床に降ろしてくれた。

ドロテアに報告するために瞬間移動をする。


早々に帰ってきた私達に、ドロテアは目を丸くした。


「もう帰ってきたの?! ゾーイもいるなんて!」

「誰もいなかったから、危ないことなかったよ!」

「ドロテア。久しぶり」


ゾーイが後ろから来て、爽やかに挨拶する。

何気にアンリと同じくらい背があると気づいた。


「久しぶり。あなた聖女宮に帰るの?」

「とりあえず一人で帰るのは目立つから避けたい」


確かに、どのくらい監禁されていたかはしらないけど、一人で帰ると目立つよね。


「今から他の聖女を助けに行くから、それからにする?」

「ああ、じゃあこっちも手伝うよ。聖女の顔は覚えてるし」


提案すると、すぐにゾーイは話にのってくれた。


「ずっと監禁されてたのに、いきなりそんなに動いて大丈夫なの?」

「暇すぎて勉強と筋トレしかしてないから、動きたかったところ」


ゾーイは監禁されていたわりに普通に話せるし、落ちこんでいる様子もない。

そのうえ、塔の上という環境でも勉強と筋トレをするなんて、王の素質があるかもしれない。


「一日なら、ここに泊まってもいいわよ。それに聖女宮のわたくしの部屋も使って」

「ありがとう。じゃあ、とりあえず荷物だけ置かせて」


さらりと笑うゾーイに、ドロテアが部屋に案内する。

聖女達は、簡単に連れ戻せる予感がした。



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