ドロテアに攫われた聖女の話を聞く
ガラレオに連れていかれた聖女を取り戻すため、個人用ポータルに乗って、ドロテアに相談しに行く。
久しぶりにドロテアに会いに行くお知らせタグを押したけど、これは役に立つんだろうか。
瞬間移動をすると、大広間に移動した。
ドロテアが誰かと話しあって指示をとばしている。
(私と話す時間はなさそう)
どうしようと思いながら大広間に立ち尽くす。
「あら、ミユキ! 来たのね」
こちらに気付いたドロテアは、嬉しそうに笑った。
「忙しい中ごめん。話す時間とかないよね?」
「あるわよ。さっきアーロンが持ってきたケーキもあるから、一緒に食べましょ」
ドロテアはまわりの人間にテキパキと指示を出してから、私を連れて別の部屋に移動する。
着いた場所は、聖女宮のドロテアの部屋に似た部屋だった。
「ドロテアの部屋だ!」
「そうなの。いいでしょ。ガードもかかってるから好きなこと話していいわよ」
どこからかケーキの箱を取り出して、テーブルの上に置く。
中にはたくさんケーキが入っていた。
「好きなのどうぞ」
「じゃあ、このチーズケーキみたいなの」
「わたくしは、じゃあ紫のケーキにする」
お皿によそって二人で食べる。
チーズケーキみたいなものは、見た目はチーズケーキに似ていたけど、クリームケーキみたいな感じでちょっとガッカリした。
ドロテアの紫のケーキは、ブルーベリーのムースみたいなものが半分乗ったケーキだ。
(なんか、聖女宮で話してたことを思い出す)
そんなに昔のことじゃないのに、色々ありすぎてなつかしい。
なんとなくジンとしてしまった。
「ちょっと前のことなのに、こういうのが懐かしく感じてきちゃった」
「わたくしもよ。毎日が忙しすぎて。で、なんのために来たの?」
「ドロテアに会いたかった! あと聖女宮からガラレオに連れていかれた聖女がどのくらいいるのかって思って」
私の言葉に、ドロテアは手を止める。
少しだけ照れた顔をしていた。
「恥ずかしいこと言うわね。聖女ねぇ……ガラレオに連れていかれても分からないけど、一級とか二級が消えたのもあったわね」
「ドロテアとアンリと同じくらい神聖力がある子もいたらしいけど、ガラレオにいる可能性ある?」
「ああ、ゾーイね。あの子は勉強の名目で海外に行くって聞いたけど、確かにガラレオにいる可能性はあるわね」
ゾーイさんっていうんだ。
勉強が好きそうだし、王の素質がありそう!
「私達が壊した兵器あるでしょ? ミサイルっていう奴、あれ、魔王は神聖力で動かすって言ってたよね」
「あ~……確かに。神聖力を使うつもりだったのなら、ガラレオにかなり神聖力がある人間がいるわね」
「フォーウッドの可能性もあるけど、一人だけで作るとは思えないし。助けに行きたいから今度ポータル使って良い?」
「使ってもいいけど、あの二人にはもう話してあるの? わたくし、今は手伝えるほど暇がないわよ」
「もう話してある。付いてきてくれるって。日付も一応、二日後に行こうって話はしてあるよ」
「ずいぶん物分かりがいいわね。絶対止めると思ったのに」
もっともな言い分に、思わず照れながら紅茶を飲む。
ちょっと身体が熱くなってきた。
「私からイチャイチャするって、こう、交渉した……」
「へぇ、どんなことするつもり?」
「まだ決めてないけど、男の人ってどういうのが喜ばれるのかな? ドロテアってそういう知識持ってる?」
身体を乗り出して聞くと、ドロテアは紅茶をこぼしそうになった。
「アンタ相手には、言いにくすぎるわよ」
「確かに私もいいにくい」
照れながら二人でケーキを食べる。
リツキが言ってきた、こんなことを大人はやるのか……って思ったやつとかをやればいいか。
やっぱり友達がいるといいなと思いながら、午前中はドロテアと話した。
午後。
ドロテアと会った後にアンリの家に行く。
マナーや勉強をしたり、料理を習っていたら、あっという間に時間が過ぎた。
夕方、家に帰る前に、アンリに奥まった部屋に連れていかれる。
厳重な鍵を開けて向かった先には、魔王城と同じ乗ると神聖力をポーションに変える装置ができていた。
黒い石がある隣には魔王城にあったどでかい水槽と同じものが置いてある。
「二日数字が見えてないからポーションにしたい。ここに立って」
「いいけど、本格的に牛みたいな気分」
照れながら石に乗る。
この世界に来る前に、牛が乳を搾る時間になったら自分で機械があるところに来て乳を搾るシステムがあったのを思い出す。
神聖力も自分で作らない方が楽だから、このシステムの方が楽だけど、なんか恥ずかしい。
水槽に赤い液体が溜まっていった。
「薬の開発には困らないけど、たまる量が異常すぎない?」
「四級聖女とか、神聖力のコントロールが上手いけど神聖力が低い人に飲んでもらえば、いろんなことを楽しんでやってもらえるんじゃないかな」
「ミユが生きてる間しかできないだろ」
「文明なんてそのうち発展するから大丈夫だよ」
この文明の人には分からないかもしれないけど、案外歴史って早く進むものなんだ。
水槽のポーションはどんどんたまっていって、半分を越す。
「もういいよ。これ以上ポーションはいらないし、ミユを利用されたくない」
「アンリなら私を利用してもいいよ」
アンリは無言で私のほっぺたを手のひらで包んで潰す。
呆れられたみたいと思いながら、一緒に家に帰った。
三人で食事をして、聖女救出の計画を練っていく。
「僕がゾーイの顔を知ってるから、ガラレオ内にいるなら瞬間移動できる。あと、聖女の場所の目安も実はついてる」
「聖女がいる場所を知ってるの?」
「エリオットを殺した時に、頭を潰した女性がいたって言ったろ? あれは多分聖女だった」
「あ……だからあんなに頭がぐしゃっとできたんだ」
女性が骨もある頭を潰せるのはおかしいと思っていたけど、神聖力を使ったのなら理解もできる。
それに、エリオットに被害をうけた聖女なら、間違いなく殺すだろう。
「うん。エリオットに色々してたら物陰から見てたから、どうなるだろうと置いていったら、潰してた」
「そうなんだ。復讐できて良かったね」
「ミユに言ったら助けたくなるだろうから隠してたんだけどな」
「ミューは優しいから言わなくても気付くよ」
二人の話を聞きながら、まずゾーイさんを助けたあとに、他の聖女を助けようと思う。
でも人数を把握しないと、助けきれないな。
「モーリスさんに頼んだら、ガラレオに連れていかれた聖女リストみたいなの貰えるのかな? 神官も被害者にいたらしいけど」
「神官も被害者にいたのか」
アンリが嫌そうな顔をする。
「フォーウッドが神官は聖女より丈夫みたいなこと言ってたから、多分あったんだと思う。アンリも危ないとこだった」
「最悪だ。本当に殺しておいてよかった」
「神殿って名前のくせに性欲に支配されすぎだろ」
リツキが吐き捨てるように言って食事を終える。
上が汚い人間だと下は酷いめにあうから、まともな人間性の人にあたらないと地獄だ。
怖いなと思いながら、私も食事を終えた。




