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職場でイチャイチャ初体験。

自分に神聖力をかけたその日。

仕事はとても捗った。


(なんか、好きな二人が見守ってくれてるって思えるから頑張れる!)


アンリは心配していたけど、人と会っても問題なかった。

午前中は、学園計画の都市計画で貴族から出された資料を見ながら、専門家なども招いて全員でああでもないこうでもないと話しあう。

リルカの花の苗もたくさん届いたので、話しあって決めた場所に埋めるために、リツキが地図を持って自分が昔働いていたところに依頼をしにいった。


リツキがいないまま、向かい合わせに座りながらゾーイと昼ご飯を食べる。


「いや、朝から働いた」

「そうだね~。でもちゃんとまとまりそうで良かった」


お茶を入れて渡すと、ゾーイがこちらをジッと見る。

ちょっとドキリとした。


「ウィリアムソンは変になったって言ってたけど、普通だよね」

「うん。好きだって気持ちは強くなってるけど、別にそういうの表に出す人っていないでしょ?」

「強くなってるんだ」

「うん。会議もかっこいいところ見せようと思って頑張ったし、二人がかっこよく見えてる」

「なるほどぉ……」


二人でもぐもぐとサンドイッチを食べながら話す。

いつもは昼なのになんて会話をしているんだと思うところだけど、やましい気持ちがあるのでドキドキして顔を見てしまった。


「すごい見られてる……」


指摘されてあわてて目を外した。

今の私は欲の女! 欲の女の再来だ!!

恥ずかしいと思いながら、一生懸命サンドイッチを食べ終えて、お茶を飲む。


「じゃあ、キスしよっか」


ゾーイも食べ終わったのか、あっけらかんとそう言った。


「え、えぇ?」

「早くしないと昼休み終わっちゃうし」


そう言いながら、隣に座られてそのままキスをされる。


(まぁ、昼休みだし……いいよね?)


職場でそんなことはしたことなかったし、絶対だめだと思ってたのに、欲が強い。

口の中を浄化しながらそのまま受け入れてしまった。


舌を絡めて口内を貪られたと思ったら、感覚同期をかけられて、身体が跳ねる。

フフと間近で笑う声が聞こえた。

それ以上はなにもしてこなかったことに、意地悪だなぁと思って、自分からもしてしまう。

頭が背徳感とか欲とかでおかしくなってしまって、ぼんやりしていた。


「あ、やばい。時間……」


ぼぅっとしていると、上に乗っていた身体がどいて、ゾーイが自分のハンカチで口元を拭いているのが見えた。


「大丈夫? やりすぎたかも」

「だいじょうぶ」


口元を拭かれて、ほわほわとアホになったまま色々世話をやいてもらう。

なんか、いつもより欲がすごすぎると思った。


「ただいまぁ」


恰好が普通になった頃、リツキが戻ってきた。

そして私をみると、ギョッとした顔をする。


「職場でなにやってんだよ」

「昼休み中にキスだけ。それ以上するとユキが色々困るだろうし……でも今日はすごく積極的でいいよ」


ゾーイの言葉に顔を隠してソファに転がる。

今日の私はやっぱりちょっとおかしいんだろうなと思った。


「くそ、人が仕事してる時に。俺だってミューと仕事場でしたい! そういう夢があったし!! でも普段のミューはそんなこと絶対無理なのに」


騒ぐリツキを見ながら、そんなのが夢だったんだと思う。

確かに、いつもの私ならしないけど、今ならキスとかなら全然問題ないというか歓迎くらいの気持ちかもしれない。


「……仕事終わりならキスいいよ」

「え?」


私の言葉にリツキが止まり、ゾーイも止まる。


「やっぱり変になってるな」

「でも凄く反応がかわいいから、このままでも自分はいいかも」


二人が話すのを、そんなに違うのかなと思いながら聞く。


午後は、やっと神聖国とアカタイトのポータルが開いたので、チハラサと久しぶりに会って色々な決めごとをした。

ジュディから、アーロンさんが一度アカタイトに行ってどのような設備が必要か話をききたいと言っていたと聞いていたので伝えると、チハラサは前のめりにぜひ一度いつでも来てくださいと言った。

よほど衛生状態が悪いことに嫌気がさしているのだろう。アーロンさんに限ってはいつでもポータルを使えるようにしておこうと思う。


午後の仕事も同じくらい捗ったので、気分は上々だ。

ちょっと二人を見て相手を見てドキッとしてしまうことはあるけど、それもスパイスだと思えば楽しめる。そんな感じだった。



仕事終わり。

ゾーイはサッサと帰らされて、リツキに手をひかれる。


「机の下とかで隠れてキスをするとかって、一回やってみたかったんだよ」


リツキが椅子を引き出して、机の下にあるスペースに入った。

身体が大きいのでキツイ感じだったけど、机自体が大きめだから二人とも入れるし、確かになんか背徳感がある感じだ。

頭をぶつけないようにリツキの上にのりながら、机の下に潜る。


「キスだけだよ。私、今おかしくなってるみたいだから」


言いながら、リツキにキスをした。

リツキは身体が厚いのがいいなと思いながら、頭が欲に溶ける。

狭いから暑くて、互いが感じる息の距離が、いけないことをしている気持ちになる。

流されるままに深くキスをしていたら、脱がされかかっていたことに気付いた。


(仕事するところで、これ以上は……)


ぼやけた頭で考えるが、頭が欲に駆られていいんじゃないかと思ってしまっていた。


「帰ってこないと思ったら、何してんの」


後ろから声をかけられて、思わずビクッとする。

振りかえると、しゃがんで睨んでいるアンリがいた。


「邪魔すんなよ」

「お前もゾーイも死ね。ミユが僕たちを想って自分をどうにかしようとしてる優しさをスケベ心に利用するな」


アンリは真剣な顔で怒っていた。


「ミユ。早くこっちに来な」


言われて、やっぱり仕事場はまずかったかなと机の下から出る。

外されたボタンをはめていると、無性に恥ずかしい気持ちになってきた。


「ミユ。頼むから、もう昨日の神聖力は解いて元に戻して。辛いのはわかったから考えるけど、これはダメだよ」

「……うん」


確かに、三人ともキスしてるのはおかしい。

どちらかというと発情している状態に近いかもしれないし、やめたほうがいい。


昨日かけた神聖力を解く。

途端に、自分の服装が乱れている状態が恥ずかしくなってしまった。


「私、ちょっと……おかしかったかも」


服を直しながら言うと、リツキが少し不服そうな顔をしながら机の下から出てきた。


「別に女の子だってちょっと発情期があってもいいだろ。俺は積極的で可愛くて好きだったけどな」

「自然にそうならいいけど今回は違う。しかも目的が優しさ由来だからつけこむのは許せない」


アンリが私を連れて、シュッと家に瞬間移動をする。


「あ、リツキが帰ってこれない」

「徒歩で帰れる距離だから。それにしても、ミユは力が強いしコントロールも苦手だから仕方ないけど、できるだけ精神は緩く薄くかけて」

「うん。ごめん……」


思い返すと、わりと罪悪感なく自分からキスしてたし、職場でも休み時間だからとか緩い感じで考えちゃってたけど、本当によくない。

特別な理由もないのに一日で三人とキスするなんて、ちょっとやっぱりおかしかった。

それにリツキの時なんて止められなかったら本当に危なかった。


(恥ずかしい。穴があったら入りたい)


「ご飯いらないから、今日はひとりで寝るね……」

「別に僕らはキスとかそれ以上もしてる関係なんだし、落ちこまないで大丈夫だから」


心配しているアンリに手を振って、しょぼしょぼとしながら自分の部屋に行く。


(確かに、恥ずかしいことをしたけど本心な気もするし……。理性で保ってるけど、私の本心は実は欲まみれなんだ)


なんてこと。心を取り戻して愛を知った本心がムッツリスケベな人間だったなんて辛すぎる。

もっと愛って崇高で美しいものだと思ってたし、それが違っていてショックを受けたのに、結局私も同じなんだ。

心を取り戻した私は、たぶん一日で全員と深く愛し合っても大丈夫な人間になってしまったのかも!


なんて恥ずかしい。しょうもない欲の女。理性に閉じこめないと大変なことになる。

ただでさえ好きだと相手の要求をのみがちなのに、私も歯止めがきかなくなったらとんでもないことになる。

ベッドの中で思い返すと恥ずかしくなって、一人で悶絶しながら眠った。






沢山の人に読んでいただきたいので、ブクマやご評価していただけると嬉しいです。

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