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心が復活したら、愛しさが爆発!

心が元に戻って、ちゃんと愛し合えればハッピーエンド。

な~んて簡単な話はなく。



一週間後。

小さな家に四人でいたが、私は一人でクリームチーズを作っていた。

そうじゃないと精神が不安定すぎて、おかしくなりそうだったからだ。


「ミューがおかしい。前よりイチャイチャしてくれるのに、不安定すぎる」

「僕達が好きすぎて、こんな状態なことが時々耐えられなくなるらしい」

「なんか神聖力で自分の脳内をどうにかしようとしてるけど、危ないから止めてほしいな」


三人は各自好きなことをしながら、私に聞こえるような声で話す。

この一週間で今までの少し冷めた感情が消え、ふわふわとした好きという感情のあとに、強い執着と愛情を自覚した。

そういう行為をしても、前は好きかも! とかいいかも程度だったのが、メロメロ~幸せ新感覚~となり、それが三人もいたら、何この状態!となってしまった。

まず平等に好きになるのが難しいし、会話もなんか気持ちがふわつくし、よく相手のことを考えてしまうようになった。

と思うと、私がこんな状態のせいで三人はどんなにキツイだろう、私は悪い女だと、お話の主人公のような気持ちになり涙を流す不安定さだった。

前もこんなことはあったけど、キツさの質も種類も違う。心は難しいと思った。

けれども、今更ひとりにします! なんてことは言えず、以前足した恋愛強化の神聖力を無効にしたり対策をしている。


(どうにかしないと辛すぎるけど、どうしたらいいんだろう)


「でも、ユキは辛いだろうけど、自分には甘々イチャイチャしてくれるし、満足度高そうだし、好きで泣いてくれるなんて可愛いから、このままでもいいな」

「まぁ、僕もそういうところはある。泣いてる時にギュッとすると、もっと泣くから、いけない楽しい気持ちになる」

「変態だなお前ら。俺はミューが泣くのに心を痛めてたけど、大した案が出なかった」


心配していると思ってたのに、ただの変態だったなんて酷い。

酷いのは私なんだから、しょうがないけど。


「こっちも二年くらいは泣いて悩んで受け入れたんだから、ミユも頑張ってもらわないと。僕らレベルの人間なんてもう集まらないからね」


書類を整理しながら話すアンリの言葉に、そうだよねと思いながら、改良したクリームチーズを食べる。

チーズケーキにしても大丈夫そうな味だったので、地下貯蔵庫に氷と一緒に入れておこうと思った。


リツキはせっせと瓶に虫みたいなものを詰めていたし、ゾーイは最近、科学実験のように色々なものをお湯に溶かしている。

アンリは不機嫌そうにその様子を見ていた。


「この前からゾーイは何やってるの? 聞いても教えてくれないけど」

「そろそろ言うか。自分さー、お風呂の入浴剤をユキに手伝ってもらって作ってるんだけど、ウィリアムソンの店に置いてくれない?」

「入浴剤なんだ」

「ユキとお風呂に入ったのがあまりに良かったから、売りたいなって言ったら手伝ってくれるって言うからさ」


そうなのだ。

ゾーイは最近、入浴剤づくりにハマっている。神聖力で効能が高いのと、神聖力の力は弱いけど子どもも使える薬草を溶かした安価なものを試作中だ。


「最近、私の神聖力の味にみんな飽きてきたし……神聖力がもったいないって話してたら、ゾーイが一緒に入浴剤作ろうって言うから」

「飽きてなんてないよ。でもミユが関わるなら僕の管轄がいいな。じゃあゾーイはうちの会社の一部になれば。爵位とったら完全に別れてもいいし」

「そんな簡単に決めていいんだ。ありがとう。話がまとまったら契約書書こう」


なんだかんだアンリは私にもゾーイにも甘い。

アンリはゾーイからどういう形態で売るのかなどを聞きながら、メモを取るなどをしていた。

なんか三人とも好きだなぁと思いながら、気持ちをちゃんと落ち着かせないとと心に決めた。




その夜は、アンリと一緒に寝る日だった。

今日こそは情緒不安定はやめて、泣かないようにしようと心に誓う。


(前みたいに神聖力で、意識をうまいこといい方向にもっていけばいいよね)


ムムっと考えて、神聖力を自分にかける。


(悪いことは考えず、心に従順に、みんな同じくらい素直に好きになれ!)


頭の中が、ほわわ、と明るい気持ちになった。

三人のことを考えると、なんだかすごく幸せな気持ちになる。


(いい調子かも? なんか同じくらい好きな気がするし! 悪いことも今のところ思い浮かばない)


「ミユ、寝た?」


アンリが疲れきって現れた。

可哀想という気持ちで心がいっぱいになってしまう。


「寝てないよ。回復かけるね」

「ありがとう」


アンリに回復をかける。

服を着替えながら浄化をかけているアンリはかわいいし、かっこいい。


(キス、したいな)


ゾク、と欲が湧く。


「アンリ。キスしていい?」

「ミユから言うなんて珍しい」


へら、と笑ってベッドに入る。

なんて可愛い。最高と思いながら、ぴょんと跳ねながらベッドに入った。


アンリとキスをする。ちゅっちゅとしながら首筋とかまでキスをしてしまう。

最近ずっと精神が不安定だったから、妙に楽しくて仕方ない。

アンリの長いまつ毛が困ったように揺れるのを見ながら、嬉しくなってしまった。


「ミユ、なんかちょっと積極的だね?」

「悪いことは考えないで素直になるようにって神聖力を自分にかけたら、今すごく楽しい」

「楽しいならいいけど、さ」


言いながら、アンリは首にキスする私を離して、そのまま口づけると舌を絡める。

いつもの数倍も頭がほわほわしてしまって、足を絡めながら受け入れてしまって。


罪悪感が無くて素直になるという効果は凄くて、いつもより強く快楽を教えられた。

バカみたいになっているという自覚はあったけど、それより欲が強い。

実はけっこう、こういうことが好きなのかなと思ってしまった。


「楽しいけど、不安すぎる」


くてくてになっている私を見て、アンリは不安そうな顔をして呟く。

さっきまでアンリもすごく楽しそうだったのに、なんでだろうと思いながら眠った。





次の朝、起きると世界は明るかった。

隣を見るとアンリが眠っていて、かっこいいしかわいくて胸が苦しい。

限界オタクのような気持ちになりながら、服を着て、寝るアンリにキスをする。


「ん、ぅ……あ、おはよ」

「おはよ~」


へらっと笑うアンリにもう一度キスをする。

朝はアンリの髪がキラキラと光って綺麗で見とれてしまう。


「なんか、ミユ。どうしたの?」

「髪がきれいだし、生まれてきてくれてありがとうと思って」

「……熱でもあるのかな」


アンリは伸びをすると、のろのろと起き上がった。

ジュディが迎えに来て、アンリと離ればなれになる。


「寂しい」

「可愛いけど、昨日かけた神聖力は解いた方がいいかもしれない」


アンリは私の髪を撫でながらため息をついた。





身支度を整えて、ダイニングに行く。

なぜかジュディもちょっと心配そうな顔をしていた。


ダイニングには三人とモーリスがいた。

モーリスは普通のままだったけど、三人はすごく見た目が良く見えて困る。


(なんか、いつもよりすごくよく見える)


「ミュー、おはよ~」

「リツキ、すごくかっこいいね」

「ユキ、おはよう」

「ゾーイ、美人すぎるね」


ムズ、と欲が出る胸をおさえながら、挨拶をする。

二人はエェという顔をした後、少し照れた顔をしていた。

なんだかハッピーエブリディという気分だったので、モーリスにも元気に挨拶した。


「ミユ、やっぱり、やっぱりそれはやめた方がいいかも」

「でも三人とも同じくらい好きだし、泣くような辛い気持ちにはならないよ?」

「そう……」

「え、昨日ミューが何かしたの?」

「自分に神聖力をかけたんだけど、ちょっと様子がおかしいし、スキンシップが好きっぽくて」

「そうかな? よく分からない」

「最高過ぎない? 辛い気持ちにはならないみたいだし、好きな相手だけならいいと思う」

「自分もいいと思う。明るいし、今日一日様子を見ようよ」


心配そうなアンリとは真逆に、リツキとゾーイは楽しそうな顔をしている。

やっぱり悪いことじゃないよねぇと思いながら、食事をした。





手術は無事終わりました!! 現代医療最高!! ブクマやご評価していただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

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