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初めてのブラと天才的なひらめき

貴族裁判前日。

みんなで衣装を合わせる。


「ゾーイ。これ私のブラ。服はこれをつけて合わせるようになってるからつけてね」

「なにこれ。つけたことないんだけど」


ゾーイの言葉に驚いてしまう。

確かに、ゾーイの胸部はちょっとストーンとしていた。

でもたぶんちょっとはある。ブラをつけないと垂れてしまう。

もういい年齢なのに大変なことですよ。


「ちょっとつけ方を教えるから、アンリのお家に行こう」

「なんか形状でわかってきたから嫌なんだけど」

「人生勉強だから! 二人は付いてこないでね。ゾーイの裸を見たいスケベだと思うからね」


言われたアンリとリツキはめちゃくちゃ嫌そうな顔をしていた。


衣装一式を持ってゾーイとアンリの一人暮らしの家に行く。

ゾーイはなんとなく理解しているのか、エェという顔をしていた。

一応ガードをかけておく。


こういうのは見せた方が早いって相場が決まってるんだ。

プチプチとボタンを外してシャツを脱ぐ。


「なんで脱ぐんだよ」

「見た方が早いからに決まってるでしょ。このようにつけるの。やって」


シャツをバッと開いて見せる。


「コルセットの胸当て部分だけって感じだな。後ろでとめるのか」


ゾーイは流石にちょっと恥ずかしいのか、少し目をそらして照れていた。

わかるよ。初めてのブラは誰だって恥ずかしい。登竜門を済ませると、私のように恥もなにもない人間になる。


「ちょっと変身してつけてみる。こっち見るなよ」

「はーい」


背を向けて配慮する。

見たところで私だから、なんの恥もないんだけど、そこは気遣いだ。


「もし胸がそんなになかったとしても、つけないと垂れるからブラ付けないとダメだよ」

「こういう商品があるってことも知らなかったからな」

「聖女のお泊り会の時とかどうしてたの? ゾーイは恥ずかしがり屋っぽいから裸じゃ無理だと思うし」

「ん? なに言ってんの?」

「ドロテアとお泊りした時、聖女はお泊り会の時、下着姿で寝るって言ってたよ」

「……ん? で、そうやって寝たの」

「うん」

「……。そうか。人によるんじゃないかな。自分はそもそも人の部屋に泊まるとかしたことないからな」

「そうなんだ。でもドロテアの結婚式の近くにお泊りするけど、ゾーイも来るならブラ買っとかないと恥ずかしいよ」

「いや、泊まらない方がいいと思うよ。自分は呼ばれない気もするし。なんていうか変、え~欲を感じる気がするな」

「ゾーイも主要メンバーだから呼ばれるよ」

「あ~。ミユキって賢いんだかバカなんだかわかんないな。はいとりあえず、ブラつけたよ」


言われて振り返る。

私の姿をして、ブラをつけたゾーイがいた。

首には私と同じ変身を固定するネックレスが飾られていた。


「そしたらブラに納まってない肉を、こうかきあげてカップの中に納めます」


ブラの中に手をつっこんで、脇肉をカップに入れる。少しかがむのがポイントだ。

ゾーイは恥ずかしいという感じで目を細めていた。


「色々こっちから見えちゃってるけど」

「細かいことを気にしてたら説明なんてできないよ」


こっちは覗き見されたり大変な目にあってるので、ブラの説明ごときで恥ずかしがる繊細さはもうない。

ゾーイは私の真似をして、脇肉をかき集めていた。

私のブラをつけてる姿って傍から見るとこう見えてるんだなと思ってちょっと面白い。


「本当だ。おさまりが良くなった」

「これで服を着ればぴったりだと思う」

「なるほど。自分のを買った時もこれでつけられる」


ゾーイはそう言いながら明日の服を着た。

白いドレスで、とても可愛らしい。サイズもピッタリだった。


「かわいいね~」

「うん。かわいい。ミユキに似合うね。でもネックレスが合わないな」


そう言うと、ネックレスになにかをかける。

パッとネックレスが見えなくなった。


「透明化、ネックレスだけでも効いた」

「便利。私も明日やろう」


ゾーイは服を脱ぎ始める。


「家に戻って見せなくていいの?」

「嫌だよ。あの二人ミユキに惚れてるんだから。もう着替えるからミユキも服を着なよ」


それもそうかと思いながら、文句をいうゾーイに背を向けて、シャツを着た。


「そんなことより、泊まった時にドロテアに他になんかされてない?」

「そもそも何もされてないよ」

「あんまり……下着で一緒に寝るのは一般的ではないと思うけどなぁ」

「そうなの?! でもたぶんドロテアはなんかつけるのが嫌だからそう言っただけだと思うよ」

「ドロテアは着てなかったのかよ」

「そもそも普段も露出気味だしね。下着は私のを見た後に特注で作ったらしいから、ゾーイが来たら下着はつけてるかもね」

「いやぁ。自分は数に入ってないと思うけどね。あと単純に恥ずかしいから嫌だ」

「断るのは大事だよ。言っておくね」

「うん。じゃあ自分はもう帰るから。明日また来るから食事の用意してくれると嬉しい」

「わかった。お休み~」


ゾーイは衣装を持って消えてしまった。

新しい家を決めたようで、今は引っ越しの際中らしい。

いつのまにか毎日、朝食に加わるようになっているけど、これはいつまでなんだろう。

このまえお金をくれたし別にかまわないけど、アンリの時と似たことになってるなぁと思う。



家に戻る。

二人は衣装を合わせ終わったのか、普通の服に着替えていた。


「ただいま~。ゾーイは帰ったよ」

「ミユ。良かった遅かったから心配した」

「外を出歩いているわけでもないし、何も心配するようなことないから」

「ミューの場合は全てに注意していかないと」


心配性もここまでいくと病気かなと思う。

明日は貴族裁判なので、明日の確認をする。とはいっても、今日まで散々魔王とドロテアと打ち合わせもしたし、もうやることもない。

ほとんど魔王が話すことになっていたし、私が話すことも少ししかない。


「あ~、ちょっと家に戻らないと。ミユは寝てていいよ」


明日仕事ができないアンリは、一番大変そうだった。

早めに寝ようと思って布団に入ると、リツキも入ってきた。


「明日に備えて早く寝ようね」


今日はエッチなことはしないよという気持ちをオブラートに包んで話す。

リツキはなにも言わずに近づくと、身体を寄せた。


「うん。でもミューと結婚したいのに大聖女と結婚することになるなと思うと眠れない」

「この前すぐ引いたのに?」

「だって、ミューは姿が違っても努力してくれたんだからって思って。でも本当はやだ……」

「……そうだよね」


魔王とドロテアが配慮してくれたけど、嫌なものは嫌だよねと思ってしまう。

明日、私達が四人で出ていって紹介されれば、自ずとそういう目で見られるだろう。

なんか、他の上手い方法がないだろうか。

どうせ国王になるんだし、国王っぽい何かで三人を繋げれば結婚しなくても大丈夫な気がするけど。


「俺が昔の姿になったら、違う未来もあったのかな」

「……今のままで十分だよ」


マリッジブルーみたいになっているなと思いながらリツキを撫でる。

私が大聖女であるかぎり、これが一番いい現実なのだと思う。

リツキがなりたい二人きりの生活は大聖女の時点で無理だし、別に今のこの状態はリツキの見た目のせいじゃない。


(どちらも幸せにするには平等にしないといけないけど、大聖女と結婚は違うんだろうな)


うーん。サインひとつの問題だし、王宮でリツキが大聖女にくっついてるのは見られてるから、別に問題ないと思うけど、やっぱりダメなのか。

明日、国王が変わるのだから国が一新されるような感じだというのに、どうしたものか。


国が一新……。


「そうだ!」


ガバッと起き上がる。


「どうした?」

「ちょっと魔王城に行ってくる!」


ネグリジェのまま、靴を履いて駆け出す。


「着替えろ着替えろ! そのネグリジェちょっと透けてるから」


リツキに手を掴まれて、しぶしぶ服を着替える。


いつのまにか着替えてついてきたリツキと一緒に魔王城に行って、いちゃついてるドロテアと魔王に突撃した。


「ちょっと! アンタたち時間を考えなさいよ時間を」

「ごめん。今日じゃないと間に合わないから」


文句を言うドロテアに考えている話したら、ドロテアと魔王はなるほどという顔をした。

リツキはというと、大聖女と結婚よりはアリだなという顔をしている。


「明日は、新たな夜明けになれるように頑張ろう!」


それがどんな結果を生むとしても、一歩進むことに意味がある。

手をグッと握って言う私を、三人は幼児をみるような目で見ていた。






本日二本更新の、こちらは二本目です。

ミユキのネグリジェは、アンリが高級なものを用意してるので薄いものが多いです。なんか薄いけど喜ぶし、薄いと他の人がいるところでは着られないので、勿体ないし可愛いので着ています。

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