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七話:ぶっ飛んだ1日目

 校長から爆弾発言が飛び出した。魔法限定大乱闘?意味がわからない。それで何が見極められるというのか。新入生が何人いると思ってんだ。


 しかし、流石に逆らうわけにも行かないので杖を持って広場に行ったのだが……広い。いや、広場だから広いのは当たり前なのだが、野球場くらいあるぞこれ。


「オッホン。諸君に告ぐ!これより実力計測の為の大乱闘を行う!ルールは2つ!一つは攻撃手段は魔法のみ、もう一つは戦闘不能になり次第脱落とする、以上だ!制限時間は1時間とする!それでは始め!」


 狂騒の火蓋は切って落とされた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 地獄絵図である。空を飛ぶ奴が現れたり、広範囲にでかいのをぶっ放す奴がいたり、視界に魔法しか見えず、目の前がチカチカしすぎて、はっきり言って頭がおかしくなりそうだ。


 ちなみに俺はというとかなり悲惨な結果に終わった。もはやあのゴブリンとの戦いとは言えない児戯からわかると思うが、とりあえず解説しよう。


 他の入学者をどっか魔法が振ってきそうなところに誘導したりして凌いでいたら不意打ちを食らって早期ノックアウト。


 気を失って、20分後に起きたベッドの上でこの惨状を見ているというわけだ。我ながら不甲斐なさすぎる。乱闘自体は50分強で終わった。


 そしてまた招集がかけられる。入学者をランクごとに振り分けるらしい。マジで言ってる?あの惨状から何がわかるっていうのさ。惨状ってこと位だろ。


 そうして、サクサクと人が振り分けられていく。まあ、母数が多すぎて時間はかかったが。そんな俺のランクは1のD。


 ランクは1から5まで存在しており、その中でもAからEクラスに分けられるらしい。つまり俺は下から2番目。最低ランクは回避した、と思ったら新入生の中では最低の位のようだ。俺は本当にヌシを倒した男なのだろうか?


 ちなみに新入生最高は2のEらしい。これでも例年より低い方らしいが、羨ましい限りだ。


 入学から半年ごとにランク昇格試験が行われ、合格すれば上に上がれるようなので頑張らなければならない。俺は1から始まったので最短3年で卒業できる見込みだ。あくまで最短。


「これを以て実力計測試験を終了とする。各々のクラスに向かうように」


 いきなり大乱闘なんて、大波乱の入学式だった。自分がここまで弱いとは、非常に悔しい。それに、社会的立場が危うい俺は強さを持っていないとろくに人生を選択するなんてできない。俺は絶対に、この学校で駆け上がってやるからな!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 指定された教室に入ったが、個性的な面々が揃っている。なんか呟いてたり、爆睡してたり、女子に絡んでたり……アズサいるんだけど。え、何で?あいつ大分魔法使えるよね?それが何で最底辺に?


「あの?アズサ?何でここにいんの?」


 隣でアズサに話しかけていた男が不機嫌そうにこっちを見る。間違いなくこれは、地雷踏んだ。


「ちょっと、今僕が彼女と話してるんだけど?邪魔しないでくれる?」


 キレ気味にそう言ってくる。これはこのタイミングで話しかけた俺も悪いな。ここは素直に……


「ああ、私あまりにも対人戦ができなくてここに来ちゃったみたい。テンリ君はどうして?」


 ガン無視?もしかしてうんざりしてたのかもしれない。助かったと言わんばかりにこちらに話かけてくる。

この言い振りだと自分が振り分けられた理由を知っているようだが、俺も聞けるのかな?


「えっ、そんな?無視はあんまりだよ……」


 ごもっともだとおもうが、これが一番の対処法なのだ。ウザ絡みは無視に限る。昔これで幾度となくピンチを乗り切って来たから間違いない。


「くっ、こうなったら決闘を……」


「お断りします!」


 だってそうだろう。問題は起こしたくないし、同じクラスってことは実力も似たりよったりのはずだから多分いたちごっこになる。


「あ、ああそうかい……」


 予想外の行動、言動に弱そうだ。これかなりいじりがいがあるのでは?


「静かに」

 

 そんなことを思ったときに扉が開き、男の人が入ってくる。ゆっくりと歩き、教卓に立つ。


「私がこのクラスの担任を務めるマレム・ナラージャだ。一つ言わせてもらおう。お前らは劣等生だ。よってお前らにはまず基礎を叩きに叩きこむ。覚悟しておけ」


 ガチで厳しいタイプの人来ちゃった。いや、ここで嫌というほど厳しくされないと、サボり癖ついたりするからかえっていいのかもしれない。そう思うことにしよう。


「まあ、まずは事務的なことから始めなくてはな。まず、奨学金制度を利用するものは書類を提出しろ」


 俺か。いや、俺だけではないようで、他にも金銭的に悩んでいる人がいるということだ。彼らとは仲良くなれそうだ。


「次に適正測定を行う。この水晶玉に手をかざせ。色によって火、水、風、雷、土、氷に分かれている。」


 そうして、クラス全員が順番に手をかざしていく。何かしらの単一属性、または二種の複合属性が多いようだ。


 俺も手をかざす。水晶は真っ黄色に、いや少しだけ緑と、何だこの色、桃色?。これは……


「風、雷の複合だな。特に雷の適正がずば抜けているな。あとお前、治癒にも適正あるな」


 周りがざわつく。なにか珍しかったのだろうか?


「ねえ、何でこんなざわついてんの?」


 気になったのでアズサに聞いた。


「治癒属性って割と適正が少なくて、貴重なんだよ」


 なるほど。俺は珍しい才能があるということか。なら磨けばすごいことになるのでは?すごくワクワクする。


「だがまあ、治癒はお預けだな。まずは基礎から叩き込まなければならないからな」


 ショック。だが基礎は大事だと思う。かの有名な諦めたら終了のバスケマンガでも基礎は大事だと言っていた。基礎を固めずいきなり使おうとしても使えないオチが見える。


 他に気になる適性は、アズサのまさかの全属性適正。ただし、その利点が別のことに相殺されると悩んでいるらしい。対人戦の弱さとやらに帰結しているのだろうか。


「初日はこの位でいいだろう。これで今日の授業を終了とする。まあ、授業らしきものはしていないが。それでは各自寮に入るように。」


 この学校は基本寮制らしい。だがしかし、俺達は寮についてまだ情報がない。どういうことだ?


「しかし、まだ寮についての情報がありません。一体どういうことでしょうか」


 真面目そうな生徒が気持ちを代弁してくれた。しかし、帰ってきたのは二度目の爆弾発言であった。


「先着順だ。急いで各自探すように。全員分あるので定員漏れは心配するな。場所は教えん。これは新入生恒例の試練だ。寮探しレース」


 気が遠くなる。だって寮森の中だよ?まだ体が痛いのに何でこんなことしなくちゃならないんだよ。


 もうこの学校が何を目的にしてるのかわかんなくなってきた……。

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