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ツキイチ  作者: なやざ海
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登校

 何事も、やってみないとわからない。


 私は通学用のバッグをつかむと席を立ち、同じ高校の生徒たちと共にバスを降りた。

バス停から5分ほど道なりに歩き、坂を登ったところが私の通う高校だ。猛烈な暑さの夏が終わったとはいえ、まだ日差しが強い。「いつまで夏なんだ・・」「なんで坂の上に学校なんか建てるんだ・・・」と思いつつみんなダラダラと歩き出す。私もいつもはダラダラと歩くが今日はいつもと違う。キッと学校に目を向けて通学路を歩き出した。月に一度の勝負の日なのだ。


「はよー、・・・て気合入ってんね〜」

 と声をかけられ振り向いた私に友人の高橋が半ばあきれながら言った。

「はよ、てか気合入るに決まってるっしょ!」とニヤっと笑って返す。

「松田、普段はヤル気、元気、ゼロなのにな〜」

 隣に並んでツインテールを揺らしながら高橋が笑った。高橋は割りと髪型を変えるのが好きなのだが最近はツインテールに落ち着いているらしい。私は万年代わり映えのしないボブだ。

「うーん、まぁ否定はしないけどさ〜、普段はこの月一のイベントのために溜めているとお考えください」

「いやいや、溜めすぎだろ!?」

 アハハと笑う。笑いながら坂道をずんずん登っていく。朝から元気なやつだ。感心しつつ私も横に並んで他の生徒を抜かしていく。一歩一歩学校に近づくたびいつになく気合が入っていると自分でも感じる。速度が速まり、半ば競争みたいな感じで私と高橋は校門に着いた。


 ふうふうと息を切らしながら昇降口へ向かっていると、グラウンド方向から歩いてくる一団が見える。

どうやらサッカー部が朝練を終えて更衣室へ行くらしい。そのうち頭一つ出ている一人が目についた。

サッカー部ニ年の本田だ。ショートカットの頭にタオルをかけて歩いている。日焼け対策だろうか?もう十分に焼けているので無意味だと脳内でつっこみをいれる。

「あ、本田来てるね」

 ボソッと高橋が呟く。

「うん・・・」

「今日は負けないようにね!」

 バシンと肩をたたかれ、ちょっとよろめく。

そんな私たちを本田がちらっと見て通り過ぎていく。その視線はお前なんか、はなから相手じゃねーよと言わんばかりだ。

 ちょっとイラっとしたが受け流そうと思っていたら

「松田、負けんじゃねーよ?」

 と本田の背中をにらみながら私に低い声で高橋が言う。お前が気合入ってどうする。

「言われるまでもないよ」と返し、視線を彷徨わせる。

 目的の看板が見当たらない。いつもは一階の植え込み当たりにあるのに。まさか今日は中止なのか?と不安になっていたら、白い割烹着を着た学食のおばちゃんが看板を持ってきた。看板といってもよくカフェとかで見かける小さな黒板だ。小さな木の椅子に立てかけるのを見届けると看板に駆け寄っていった。


看板にはこう書かれていた。


聖ヘラクレス学園名物!月に一度の学食タダの日!!

当学園のシェフが腕によりをかけてつくった日替わり定食(ごはんおかわり可)を

無料で提供いたします。ただし限定五食のみ、先着順


今日のメニューは

特選ブタのやわらかジューシーとんかつ

有機野菜のサラダ

とれたてしじみの味噌汁

ほろほろおいもの煮物

たきたてご飯

手作りバニラアイス


みなさまの参加を心よりお待ちしております。なお、怪我のなきよう配慮しての行動、お願いいたします。


学食スタッフ一同



 私はごくっとつばを飲んだ。と・・・とんかつだと・・!私の好物ベスト3に入るメニューじゃないか!!今日は絶対に負けるわけにはいかない。毎月連敗だが今日こそは!やわらかジューシーとんかつ・・・うっとりしてしまう。

「松田・・・よだれ・・・」

「ふへっ?」

 高橋の指摘に我に返り口元をぬぐう。そんな私を見ながら高橋はあきれたように

「松田、ほんっと〜〜に食い物に関しては、表情が生き生きとするよね」

「そんなにほめられると照れるなぁ〜〜」

「うん、ほめてないから」

 ばっさりと切られてしまった。続けて

「ずっと思ってたんだけどこんな男子高校生が喜びそうな企画、なんで女子高でやるのかねぇ?」

 と看板を見ながら呟く。高橋は弁当派なので参加したことはない。

「ごはんおかわり自由とかさ、男子なら喜びそうじゃん?でも女子高だよ?そんな量食べないしみんなダイエット〜とか言って昼抜いたりしてんのにさ」

「えー、でもさ、共学とか男子校だったらきっとケガ人でてすぐ中止になってたと思うよ?それに私、ここの学食で学校決めたからそれなりに宣伝にもなってると思うよ」

 学校説明会で来た時に食べた学食を思いうかべる。あの時食べたカレーはおいしかった・・・。

うっとりと思い出していると高橋がため息混じりに

「・・・普通の女子高生は制服可愛いからとか将来性とかさ、ちょっとヤル気ない子だと家から近いから~、とかだよ?学食理由って初めて聞いたよ」

「そんなにほめられると照れるなぁ〜」

「うん、全っ然ほめてないから!」

・・・力いっぱい否定されてしまった。



はじめまして!

小説を書くのは初めてで読みにくいところも沢山あると思いますが

感想とかアドバイスとかあれば是非是非お願いします。


少しでも面白いと思っていただける小説をかけるように頑張ります


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