表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
破離刃離☆勇者ハリガネⅢ~俺達は“炎の守護神”と恐れられている魔獣を討伐しないと王国へ帰れま1000!! ~  作者: 田宮 謙二


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/104

謎の魔法陣


好きな事と好きな物?


...。


そんなことよりも君。


宿題や課題は終わったんか?


提出期限は明日やぞ?




~白いローブを纏った謎の男~



「あの時もそうだったな...」。


「...え? 」。


神妙な面持ちでそう静かに呟いたパルスにハリガネは聞き返した。


「何故か隊長の身体だけ上手く魔法陣の刻印ができないんですよ~! ほら、前に基地の入口を塞いだ岩をすり抜けられるようにするために、同じよう身体に魔法陣を描いたじゃないですか~。あの時も自分が思ったように陣形が描けなくて、何度もやり直したりして苦戦しながらも何とか描いたんですけど...。どうも、オイラの調子が悪かったわけじゃないみたいだ。その時はあまり気にしてなかったけど、やっぱり変だわ~」。


パルスはそう言って顔をしかめながら小首をかしげた。


「そ、そんなに変なんですか...? 」。


「隊長の身体だけオイラの魔力を受け付けない感じになってる気がするんだよなぁ~! どうしてだろぉ~? 」。


「あ、でも...。僕は生まれながらに魔力を受け付けない身体みたいなんですよ~」。


パルスは怪訝な表情を浮かべ、そう答えたハリガネを見つめた。


「えぇ~? そんな話聞いた事ないけどなぁ~! 」。


「過去にも魔力を注いでもらっても身体が受け付けず、その魔力を跳ね返した事がありましたからね~」。


「う~ん、魔力を受け付けない身体...ねぇ」。


「あ、あの~」。


パルスが険しい表情を浮かべて唸り声を上げていた時、ハリガネの後ろにいたシアターがおどおどした様子で口を開いた。


「さっき、後ろから見てたんですけど...。パルス様が魔法陣を刻印していた時、隊長の首の後ろに小さな魔法陣が赤く点灯していたのが見えたんですよ~」。


「後ろの首...? そういえば、さっきチクって何かが刺さった様な感覚があったな~」。


シアターの言葉を聞いたハリガネは、首の後ろを摩りながらそう言った。


「えぇ~!? な、何だってぇ~!? 」。


パルスは目を見開いて素っ頓狂な声を上げると、すかさずハリガネの後方に回り込んだ。


「パ、パルスさん...? い、一体どうしたんです? 」。


ハリガネは後ろを振り向きながらパルスにそう問いかけた。


「よっしゃぁ~! 試しにオイラが魔力を注いでみましょう~! 隊長~、ちょっとじっとしててくださいね~! 」。


「は、はぁ...」。


パルスはハリガネの身体に自身の掌をかざし、青白く輝く魔力をハリガネの体内に向けて放出した。 


シュォォォォオオオオオオオオオオオオオオ...ッッ!!


パルスの魔力がハリガネの身体に衝突した時...。


パァァァァアアアアアアアアアアアアンッッ!!


乾いた破裂音が辺りに響くと、パルスの青白い魔力が火花の様に四方八方へ飛び散った。


「うわぁっっ!? 」。


ハリガネの身体が魔力を弾き返した時に巻き起こった風圧に驚いたパルスは、バランスを大きく崩して尻餅をついた。


「パ、パルス様っ!! だ、大丈夫ですかぁっ!? 」。


シアターがうろたえながらパルスにそう声をかけた。


「いや、オイラは大丈夫。あと、首の後ろの魔法陣は確認できた...って事で。隊長~、もう一度いいっすか~? それと、首の後ろが良く見えるように襟足ちょっとどけてもらっていいですか~? 」。


「は、はぁ...」。


ハリガネは困惑しながらもパルスにそう答えて襟足を掻き分けた。


そして、パルスはハリガネの首の後ろに自身の掌をかざすと、赤く光る小さな円形の魔法陣が浮かび上がってきた。


「この魔法陣が隊長の身体に...? 」。


ヤマナカはそう呟きながら険しい表情で光り輝く魔法陣を見つめていた。


「これが魔力の注入を拒んでいるという事なのかね~? てか、これ消せるのかな...? 」


パルスはそう言いながら赤い魔法陣の上に自身の青白い魔力でバツ印を書いたが、パルスが描いたバツ印がスッと消えていったのみで肝心の魔法陣はキラキラとした赤い輝きを放ち続けていた。


「う~ん、駄目か...」。


パルスは険しい表情を浮かべたまま、その赤い魔法陣を睨んでいた。


「駄目...ですか」。


「ポンズ王国でもその周辺国の魔法陣でもない...。かなり特殊な魔法が掛けられているみたいだ...。ところで、隊長さんはこの魔法陣の存在知ってました~? 」。


ミツカは興味深しげにその魔法陣を眺めながらハリガネにそう問いかけた。


「いえ、ちょっと首の後ろの方まではさすがに見えないので気づきませんでした。それに、その魔法陣がどんな理由で何時自分に刻まれたのかも...分からないですね。てか、どんな感じ何だろう? 僕、その魔法陣すら見た事ないんですけど...」。


ハリガネが懐疑的な様子でそう答えると、パルスはシアターの方に視線を向けた。


「シアター! お前、手鏡持ってる? 」。


「も、持ってますっ! 」。


「俺、正面に向けるから、それで隊長の首の後ろよく見えるようにしておいて」。


「は、はいっ! 」。


シアターが懐から手のひらサイズの鏡を取り出すと、パルスもほぼ同じサイズの鏡を取り出してハリガネの正面にそれを向けた。


「今、隊長に刻印されているのはこの魔法陣です。この魔法陣に見覚えはやっぱり無い感じっすか~? 」。


ハリガネはパルスの鏡に映る自身の後ろに差し出されたシアターの鏡を注視すると、首の後ろに赤く光る魔法陣が浮かび上がっている事に気が付いた。


「はい...見覚え無いです...。これが俺の身体に...? こんなのいつの間に刻印されてたんだろう? 」。


怪訝な表情を浮かべて自身の首に刻印された赤い魔法陣を見つめるハリガネ。


やがて、その魔法陣は時間が経つと光と共に姿を消していった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ