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破離刃離☆勇者ハリガネⅢ~俺達は“炎の守護神”と恐れられている魔獣を討伐しないと王国へ帰れま1000!! ~  作者: 田宮 謙二


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ヤマナカの涙


好きな事と好きな物~?


面白い事を考える事かな~。


だから、悪戯とか結構好きかも~。




~ノンスタンスのメンバー、マーシュ~




「一体、どうなるんでしょう」。


その場に居合わせているシアターは不安げな表情を浮かべ、ハリガネとミツカの顔を交互に見つめていた。


「さて...どうなるか...」。


神妙な面持ちのハリガネもそう呟きながら岩陰を見つめていた。


「でも、どうだろう~? 僕が一方的に知っているだけだからな~! ヤマナカ君はどうなのかは分からないな~! 」。


ミツカは依然としてボディビルのポージングを取りながらそう難色を示していた。


「いやぁ~、ヤマナカも兵士の時からボディビルダーとして熱心に活動してますからね~。ソイ=ソース国の生ける伝説であるミツカさんの事も知っているはずですよ~」。


「そうだといいなぁ~! 」。


ハリガネとミツカがそう言葉を交わしていた時...。


ドゴォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!


ゴリラ隊員が姿を消していった岩陰の方から凄まじい爆発音がハリガネ達の耳に届いた。


「なっ!? 何だっ!? 」。


顔を強張らせるハリガネ達は身構えながら岩陰の方に視線を向けると、ヤマナカが大砲から発射される砲丸のごとく岩陰から勢い良く飛び出して高々と宙を舞っていた。


「何してんのっ!? アイツ!! 」。


唖然とするハリガネは空を舞いながらこっちの方へ向かってくるヤマナカを見上げていた。


「おお~! 確かに映像で見たヤマナカ選手だ~! 」。


ミツカもそう言って手をかざしながら空に浮かぶヤマナカを眺めていた。


そして、驚異の跳躍力を披露したヤマナカはそのままハリガネ達の目の前に着地した。


「お、おい...お前。外なんだからあまり大きな音...お前泣いてんのっ!? 」。


険しい表情とは裏腹に、ハリガネ達に向き直ったヤマナカの目には一滴の涙が流れていた。


「御会いできて光栄ですっ!! ソイ=ソース共和国の英雄っ!! そして戦士の鑑であり戦士の誇りっ!! ミツカ=サウスタウン勇士っ!! 私はポンズ王国の元王国兵士でありますっ!! ヤマナカ=マッスルと申しますっ!! 」。


涙を流すヤマナカは直立不動でミツカに敬礼をしながら挨拶をした。


「僕もヤマナカ君に会えて嬉しいよ~! よろしくね~! 」。


「こちらこそっ!! 」。


ミツカが手を差し出すと、ヤマナカは両手で受け止めて両者は固く握手を交わした。


「一応、基地に戻った時にヤマナカには簡単に事情を説明しておいたぞ」。


ヤマナカの後方からゴリラ隊員が再び姿を現した。


「あっ! ありがとうございます! 」。


ハリガネが礼を言うと、ゴリラ隊員は手を挙げてそれに応えた。


「それで、ヤマナカ。この男はあのミツカ=サウスタウンで間違いないのか? 」。


ゴリラ隊員がミツカの顔を見つめながらそう問いかけると、ヤマナカは流れている涙を拭いながら力強く頷いた。


「間違いありませんっ! この方はソイ=ソース共和国のミツカ=サウスタウンですっ! 髪型も顔立ちも御変わりない様子でっ! 私は映像で十二年前のソイ=ソース国ボディビル選手権大会に出場していたミツカ勇士の姿を拝見しておりましたっ! 脂肪の全くついていない鍛え抜かれた鋼の様な肉体が何よりの証拠ですっ! 」。


「う~ん、収監される前と比べると大分筋肉量も体重も減っちゃったけどね~! 刑務所ってウェイトトレーニングの設備も備わってないし、食事の時間や内容も決められちゃってるから思うような栄養摂取もできなかったんだ~! なんか、背中も小さくなっちゃったなぁ~! 」。


ミツカは不満げな様子で再びポージングを取り始め、自身の身体を見渡していた。


「ミツカ勇士っ! 部隊でのサバイバル生活を経験していけば、全盛期の様な肉体を取り戻す事は可能なはずですっ! 魔獣の肉といったタンパク質重視の食事も基地で摂取できますのでっ! 肉体を鍛えるには最適な環境ですよっ! 」。


ヤマナカもそう答えながらミツカと共にポージングを取り始めた。


「そうかぁ~! 戦中期は開催されてなかったけど、今度は僕もミスター=オリンピアの大会に出場できるよう身体を鍛え直さないとな~! 」。


「ミスター=オリンピアっ! 良いですねっ! その際は御一緒に参戦しましょうぞっ! 」。


「うん! 一緒に出ようよぉ~! 」。


こうして、ヤマナカとミツカは言葉とポージングを通じ、二人にしか分かり合えない絆を築き上げていた。


「工兵ミツカもヤマナカと同じ部類の人間みたいだな...」。


ゴリラ隊員はすっかり呆れた様子でそんな二人を見つめながらハリガネにそう言った。


「そうみたいですね...」。


ハリガネも呆れた表情を浮かべ、ゴリラ隊員達と共に二人のパフォーマンスをしばらく眺めていた。





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