危機迫るチェダーチーズ山へ
いやぁ~!!
とうとう、アイツ等やってくれたみたいだなぁ~!!
本当にポンズ王国には苦労させられたよ~!!
まぁ、アイツ等に賭けたんだからそのまま“アルマンダイト”を仕留めてもらわないと困るわな~!!
そうしてくれれば、今までの苦労も少しばかりは報われるからな~。
~ソイ=ソース共和国軍歩兵隊、隊長~
「さて、ノンスタンスや“アルマンダイト”を同じく狙っているハンター達がチェダーチーズ山の裏に潜伏しているという事がほぼ明確になった。それで俺達もチェダーチーズ山から山脈へ向かう計画なのだが...」。
ゴリラ隊長はそう言うと、腕を組んだまま地面を見下ろしてしばらく考え込んだ。
「諸国軍の話を聞くとノンスタンスはしばらく山脈周囲を拠点としそうですねっ! そうなると迂闊にチェダーチーズ山やパルメザンチーズ山脈へ向かう事は危険ですねっ! 特に山脈付近を陣取っているハンターや賊団達は相当の手練れであると思いますしっ! 」。
険しい表情のヤマナカは、腰に手を当ててそびえ立つチェダチーズ山を見渡していた。
「しっかし、驚いたぁ~! まさか王国の友好国軍とは出くわすとはねぇ~! このまま射殺されるんじゃないかと思って内心は戦々恐々してたけど、なんだか和やかな感じだったっすね~! 現に、隊長やゴリラさんは王国と友好国から反逆者として指定されてしまってるわけだし...」。
パルスがハリガネ達にそう言いながら、姿が小さくなっていくソイ=ソース軍部隊を眺めていた。
「まぁ、ここら辺の地域は山脈含めて諸国の領域が及ばない無法地帯ですからね~。正直何されてもおかしくないだろうから、僕も内心殺されるんじゃないかと思ってましたが...。やっぱり同じ境遇だったから、何か感じるところがあったんですかね~? 」。
ハリガネはそう言いながらゴリラ隊員に話を振った。
「...まぁ、アイツ等とは最前線でやり合ってるわけだしな。戦場でお互い仕留め損なって、今度相見えた時は絶対に殺してやるってな。そんなのがずっと戦中期で続いていたんだが、戦争が無くなって諸国との合同練習を通じて話すようになってな。いつの間にか、たまに一緒に飲むような間柄になってたし、お互いの兵士として立場が似てるから通じる部分があったのかもな」。
「なんか賭けられてるみたいですしね~」。
ハリガネがニヤニヤしながらそう言うと、ゴリラ隊員は小さく頷いて苦笑した。
「さっきも言ってたけど、俺達をここで殺したら儲けが無くなるだろうからな。それに、俺達を殺しても懸賞金がかけられているわけじゃないから意味が無いだろうしな。それより、これから俺達はどうするんだ? そのままチェダーチーズ山方面に向かったら、ノンスタンスや他の賊団と鉢合わせになるかもしれんぞ? 」。
「いや、そのまま進行方向を変えずにブルーチーズ湖を目指しましょう。ここから進路を変えたら諸国の領土へ侵入する事になってしまい、そうなったら現地の兵士に殺されかねません。それに、ノンスタンスがチェダーチーズ山付近に潜伏している事を考えて、態勢が十分に整えられる環境ではないはずです。もし鉢合わせになっても疲労困憊な奴等を討伐できると考えます。ノンスタンスを倒せる力が無いと、“アルマンダイト”なんか討伐できないでしょうし、チェダーチーズ山の先にいる賊団も倒せないでしょう」。
ゴリラ隊員に問いかけられたハリガネは、チェダーチーズ山を睨みながらそう答えた。