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破離刃離☆勇者ハリガネⅢ~俺達は“炎の守護神”と恐れられている魔獣を討伐しないと王国へ帰れま1000!! ~  作者: 田宮 謙二


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まずは、良し


どうもっ!! 皆さんっ!!


己の肉体っ! 鍛えてますかっ!?


私の好きな物ですかっ?


トレーニング,修行,プロテイン,格闘研究,薬の調合,薬草探索等ですかねっ!


特に薬の調合に関してはパルスさんに学んでおり、非常に参考になりますっ!






~討伐部隊“勇者”ヤマナカ=マッスル隊員~




「...? どうかしたのか? 」。


しばらくその場で考え込んでいるハリガネの様子を、男達は怪訝な面持ちで見つめていた。


「あ、いや...。その、軍の関係者と接触したのは聞いてなくて...。パブに携わっていた賊団関係者は現地の住民からサポート受けていたのは知っていたでやんすが...」。


ハリガネがそう答えると、男達は一層不思議そうな表情を浮かべた。


「...そうか? 王国軍の兵士達には利益を一部を上納するように話をつけて、軍の本部や現地兵士の監視を外してもらったりしていたらしいぜ? ついでに王国へ侵入する時も前段階で協力してもらってたとか、王国内に潜伏していた先輩達からはそう聞いたな~」。


(あの場所は現地の国民だけじゃなくて軍も絡んでやがったのか...。しかも、賊団やノンスタンスと金のやり取りって...ズブズブじゃねぇか。救いようがねぇくらい腐れ切ってやがる...。むしろ、ここまでくると王国から出て行けて良かったとも思えてしまう)。


男達の話を聞いたハリガネは軍と賊団の癒着に心底から呆れていた。


「あれ? 知らなかったのか? パブに出入りしてた奴だったら、とっくに知ってる事だと思ったんだが...」。


「いやぁ~! あっし達はパブから発注を受けただけなので、そこまでパブの内部事情には詳しくないでござんす~。ただ...」。


「ん...ただ? 」。


ハリガネの含みのある最後の言葉に男達は食い付いた。


「ノンスタンスのリーダーのデイって奴だけは本当にぶっ殺したいでやんすね~! アイツが全ての原因みたいじゃないでゲスか~! 」。


ハリガネが不満そうにそう言うと、男達はお互い顔を見合わせながら小さく頷いた。


「まぁ、全てとは言い切れないが...。騒動を起こした原因を作ったのは、そのリーダーのデイである事は間違いないらしいがな~。もう、お前等も関係者だから言っちゃうけど、ウチのボスも手取りが徴収できなくてカンカンでさぁ~! ノンスタンスが山脈に入ってきたら全員殺せって息巻いてたんだけど、実際に縄張り入り込まれて結構手こずってんだよなぁ~! 」。


「まぁ、アイツ等は山脈の情勢も知らず身の程もわきまえねぇで他人様の縄張りにヅカヅカと入ってきては、なりふり構わず自分とこの組織に入れようと道中で見つけた人間達をスカウトしてたって話じゃねぇか。そりゃあ、ウチのボスだけじゃなくて他の組織の連中もガチキレするわなぁ~。しかも、アイツ等知らねぇでエミールの縄張りにも潜んでたんだろう? ここまでくると激怒を越えて感心するわ。随分と肝が据わってるというか、命知らずっていうかよぉ~」。


「でもよぉ~、エミールの部隊からも逃げ切ったんだろ? 王国の中にいた先輩達から話は聞いていたが、やっぱり赤髪のデイってのは頭が相当キレるみてぇだな~。赤髪のデイも王国の出身だと聞いてたから、噂では裏で親交のある反国王派の政治家や、軍の幹部に軍隊の出動を遅延させるよう要請してたなんて話もあるからな~」。


(賊団の下っ端だから何とも言えないが、一応デイを評価する声が山脈賊団にもあるという事か...。しかし、デイが政治活動家であったバックボーンも考えると、その人脈を利用すれば確かに軍の突撃も一時的に停止させる事ができるかもしれん。ノンスタンスにユズポン市区域を占領された時に俺みたいな傭兵や王国の歩兵部隊を前線に並べて盾代わりに特攻させ、後方から魔法部隊を逃げられぬよう配置していればノンスタンスを一人たりとも逃がす事無く滅殺できたはずだ。やけに時間をかけて慎重的だなとは思っていたが、行動派のゴリラ隊員が本部と揉めて前線から外された事も考えると辻褄が合うぞ。もしかしたら、デイは軍の関係者と組んであの騒動を起こしたのかもしれんな...)。


男達が会話に花を咲かせている時、ハリガネは神妙な面持ちで過去の話を頭の中で整理していた。


「おっと! さすがにそろそろ行かねぇとな! 」。


「あ~、もうこんな時間かよぉ~! 」。


「うわっ! 相手に待たせちまうなぁ~! 」。


地べたに座っていた男達はそう言いながらゆっくりと立ち上がった。


「いやぁ~! 貴重なお時間を頂きましてありがとうございや~す! これは魔力薬でごわす! お冷代わりに飲んでくださいでごじゃる~! 」。


ハリガネはそう言いながら青い液体の入った三本の透明な小瓶を男達に差し出した。


「おお~! 何から何まで悪いな~! 」。


「こんな炎天下で酒飲んでたから、すっかり喉がカラカラだぜ~」。


「魔力薬か~! 俺達は魔法使えねぇが、栄養ドリンクには持って来いだな~! 」。


男達は受け取った魔力薬を一気に飲み干した。


「くぅ~! スースーして美味ぇなぁ~! 」。


「一気に酔いが覚めたぜ~! 」。


「ありがとな~! 」。


「へへへ~! ありがとうございや~す! また、どうぞ御贔屓に~! 」。


ハリガネがそう言いながら男達から空き瓶を受け取った時...。


「...っ!? 」。


「な、何か一気に眠気が...」。


「の、飲み過ぎたか...? 」。


男達は身体をふらつかせて地面に倒れ込み、そのままいびきをかき始めた。


「...え? ええ?? 」。


その様子を見て困惑しているシアターを余所に、ハリガネは黙ったまま爆睡している男達の下へ近づいた。


「...」。


ハリガネは片膝をついて男達の頬を何度か強めに叩いたが起きる気配が無い。


「...まずは、良し」。


そして、ハリガネは小さく頷きながらそう呟いて微笑を浮かべた。


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