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破離刃離☆勇者ハリガネⅢ~俺達は“炎の守護神”と恐れられている魔獣を討伐しないと王国へ帰れま1000!! ~  作者: 田宮 謙二


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賊団を欲で誘惑する悪魔


え? なんで前作の『破離刃離☆勇者ハリガネⅡ~王国に仕える兵士として生きてきた戦士の俺、何故か王国の反逆者に...~』で読んだけど、何で王国を去る時にハッカキャンディを支給してもらったんだって?


いや、そりゃ好きだからでしょ?


え、何で好きかって?


う~ん、清涼感があるっつーか...。


スースーする物を好むからかな。


ハッカキャンディだけじゃなくてミントガムも好きだぜ。



~討伐部隊“勇者”ハリガネ=ポップ隊長~



「それじゃあ、俺達はもう行くから。ここで商売してぇんだったら俺達のボスに挨拶しとくんだな」。


「あっ! ちょいと御待ちになってっ! 」。


「...あ? 」。


ハリガネは背を向けた三人組の男達を呼び止めると、荷車から数本の酒瓶を掴んで戻ってきた。


「いやぁ~! ゴクアクボンドさんのテリトリーだったとは知らず、非礼の御詫びとして受け取ってくださいまし~! 」。


ハリガネはそう言いながら酒瓶を男達に向けて差し出した。


その酒瓶はもちろん、ジューンから没収した物である。


「何だこれ? 」。


「お酒でやんす。まずは御近づきの印という事で、どうぞ受け取ってくださいまし~! 」。


「それ酒瓶だったのか...随分と洒落たガラス細工瓶だから魔法薬か何かと見間違えたぞ」。


男の一人がそう言いながらまじまじと酒瓶を眺めた。


「しっかし、なんか高そうな酒だな~。そういや、俺達は山脈で生活しててまだ下っ端の方だし、酒とは随分と御無沙汰だったな~」。


「おいっ! これからソイ=ソース国の人間と取引しなきゃなんねーのにっ! こんなとこでずっと油を売ってる場合じゃねぇだろっ! 」。


「そうだぞ! 今日は女達を持ち帰ってボスの下にちゃんと届けるっていう大事な任務があるんだからよぉ~! 」。


「馬鹿野郎ぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!! だからぁぁぁぁああああああああああああああああッッッ!!! 外部の人間の前で俺達の組織事情をべらべら喋んじゃねぇっつってんだろぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!?!? 」。


その場で揉めている三人組を余所に、ハリガネは自身の大きく開けた口に少量の酒を流し込んだ。


「う~んっ! 美味いっ! ソイ=ソース国の上等な洋酒でやんすね~! あっしはソルト国の人間と親交がありやしてね~! 結構高級な酒や物資を横流ししてもらってたんでやんすよ~! 他にもポンズ王国の上等な赤ワインもありやっせ~! もちろん、毒や薬はこの通り入ってないでゲスすよ~! 」。


「...」。


別の酒を続けて試飲するハリガネに三人組はすっかり釘付けとなっていた。


「でも、お酒にはやっぱりさかなが無いと始まらないザマスね~! 」。


ハリガネはそう言うと、荷車に積んであった干し肉やケチャップ軍から手に入れたソーセージを抱きかかえて戻ってきた。


「我々はハンターでやんすが、こうして魔獣の肉を保存食にして販売しているんでおじゃる~! これはあっし達自慢の自家製干し肉でしてね~! 食感もボリューミーで食べ応え抜群でっせ~! 肴には持って来いでやんす~! んん~! 美味いっ! 」。


ハリガネはちぎった干し肉の欠片を口の中に放り込み、ゆっくりと咀嚼しながら干し肉の美味さをじっくりと噛みしめていた。


「ソーセージも最高でやんすっ! うんまぁ~!! 酒と合うなぁ~!! こりゃあ~!! 」。


「...」。


ハリガネは続けてソーセージをその場で頬張り始めると、三人組の表情が一層険しくなっていった。


「ささっ! どうぞっ! 御受け取りくださいましっ! 良かったら御試飲なさいます? あ、でもこれから御仕事でしたっけ? じゃあ、また次の機会に...」。


「...」。


目を血走らせているその三人組は、ハリガネが持っている酒瓶を睨んだまま自身の喉を鳴らしていた。




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