サバイバル農業
嫌いなタイプでっか?
自分の生い立ちもあるけど、中身を評価せずに偏見で人を決めつける人間ですな~。
ワイもノンスタンスのみんなもずっと差別されて生きてきましたからね~。
堂々と生きていたいもんですわ~。
~ノンスタンス副頭領、白装束のホワイト~
ハリガネ達はウェーブによって作られた洞穴の中に入っていた。
「ウォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオリャァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!! 」。
ドガガガガガガガガガガ...ッッ!!
「...」。
「チェストォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!?!? 」。
ガガガガガガガガガガ...ッッ!!
「アチョォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!?!? 」。
「...」。
ヤマナカはその洞穴の入口を基地と同様に大岩で塞いだ後、叫び声を上げながら洞穴内の地面を己の素手のみで掘り起こしていた。
「...」。
ハリガネとゴリラ隊員は、そんなハッスルするヤマナカを困惑した様子で見守っていた。
「この洞穴も岩で塞いでパルスさんが魔法で気配を隠してくれたとはいえ、本気で田んぼ作るつもりなのか? まぁ、この環境下なら敵や魔獣に気配を感じ取られる危険性は無いと思うんだが...」。
ゴリラ隊員は怪訝な面持ちでハリガネにそう声をかけた。
「まぁ、本気なんでしょうね...」。
ハリガネがゴリラ隊員にそう答えた時...。
「いやぁ~! あった! あった! 良かったわ~! 」。
洞穴の壁に設置されていた魔法陣から、パルスとオシイチが黒い長方形の平たいトレーの様な容器を何個か抱きかかえて再び姿を現した。
「おっ! ヤマナカさんっ! 大分田んぼの形状も出来てきたね~! 」。
パルスは上機嫌な様子でヤマナカにそう声をかけた。
「はいっ! あとは外に掘り起こされた土を運ぶだけですっ! 」。
「よっしゃっ! よっしゃっ! 楽しくなってきたぜぇ~! 」。
パルスはウキウキした様子でそう言いながら、オシイチと隅の方に容器を地面に並べ始めた。
「あの、パルスさん。その容器は何です? 」。
ハリガネはその並べている黒い容器を指差しながらパルスに問いかけた。
「これは稲の苗を育てるための育苗箱ですよ~。苗を育てるためにはこういう容器が必要だって、オシイチ君から教えてもらいましてね~。こんな環境下だし、基地に戻ってなんか代わりになる物はないかなって探してたんですよ~。それで、荷車の中を見ていたら育苗箱が何個か入ってたんですよ~。多分、お米と種もみを届けてくれた隊員が育苗箱も一緒につけてくれたんじゃないですかね~? いやぁ~! ありがたやっ! ありがたやぁ~! 」。
パルスは育苗箱に手を合わせてケチャップ軍の隊員に感謝の意を示していた。
「あぁ~! 思い出した! これって苗育てのために使う物だったんだ~! てっきり、ただのトレーか何かの容器かと思ってた~! 」。
ハリガネは目を見開いて大きく頷きながら育苗箱を見つめていた。
「ほう~、種もみといい随分と律儀な事をしてくれたもんだな~。きっと、その兵士は農家の出身だったのかもな」。
ゴリラ隊員も神妙な面持ちで育苗箱を見つめながらそう言った。
「これ、ケチャップ軍の歩兵部隊...。隊長以外もみんな俺達が“アルマンダイト”の討伐に成功する方に賭けてるかもしれませんね」。
「...かもな」。
ハリガネが微笑を浮かべて言った言葉に、ゴリラ隊員は苦笑いを浮かべてそう相槌を打った。




