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ケチャップ共和国軍隊長、討伐成功に五百万ゴールド


私は番組制作会社“株式会社セイイタイショウグン”の社員として、主にカメラマンを担当しています。


魔法でその場の映像を収録する事ができるんですね~。


そして、その収録した映像をディレクターに編集してもらって、国民に視聴してもらうわけなんですね~。





~番組制作カメラマン、フユカワ~





(パルメザンチーズ山脈に...? そうか、パルメザンチーズ山脈に侵入すると凶悪な魔獣に襲われる恐れはあるが、諸国の追跡部隊が迂闊に山脈に侵入できないのを良い事に山脈の方まで逃げ込んだのか...。チッ!! よりによって俺達の標的地に逃亡しなくてもいいだろうがよぉ~。面倒だなぁ~、そのまま“アルマンダイト”とかに食われちまえよぉ~)。


ハリガネが眉間にしわを寄せて心底から嫌そうな表情を浮かべると、その様子を察したケチャップ共和国軍隊長が腹を抱えて大笑いした。


「ガッハッハッハッハ~!! ただでさえ、魔獣に気を配らないといけないのに蛮族が山脈にうろついてるなんて、まさに地獄だなぁ~!! 」。


「...奴等がもう魔獣達に食われている事を心から願いますよ」。


ハリガネはうんざりとした表情を浮かべながら、ぶっきぼうにそう言い放った。


「ちなみに、この事は国家間における軍内部の機密情報だから世間にもまだ知られていない。ポンズ王国でも限られた機関の中でしか知られていないはずだ。まぁ、ノンスタンスの件に関する情報はソイ=ソース国から最近得たものであって、王国に捕らわれていたお前等が知らないのも無理はないわな~」。


「そうだったんですか...」。


「それと、奴等は侵入したソイ=ソース国の領域内に仮拠点を置いて潜伏していた事も発覚した。ポンズ王国の侵攻に参加せず仮拠点で身を隠していた残りのメンバーは、後に仮拠点の存在に気づいた現地の兵士に追われる形でパルメザンチーズ山脈奥まで逃亡していったらしい。恐らく、ポンズ王国を襲撃した“赤髪のデイ”達も山脈の奥で合流したんじゃないかと推測されている。まぁ、それは生きていれば...の話だがな」。


神妙な眼差しでチェダーチーズ山を眺め、腕を組みながらそう話すケチャップ共和国軍隊長にゴリラ隊員は納得した様子で小さく頷いていた。


「...フンッ! 逆に好都合だな。もともと、俺達は奴等のせいで檻の中へぶち込まれて処刑されるところだったんだ。魔獣に食われてなければ俺達が奴等をぶち殺せば良いだけの話だ。魔獣の首もノンスタンスの首も狩る事ができて一石二鳥じゃねぇか。それに、王国兵士としての大義も果たせるしな」。


(...いや、元はと言えばアンタが軍に無断で部隊を編成して暴走したのが原因だし、むしろ大義名分じゃなくて汚名返上の間違いでしょうが。...てか、国王はこの事を知ってたから俺に“アルマンダイト”の討伐を依頼したのか...? まぁ、それでも処刑されずに済んだわけだし、いずれにしても俺が文句を言える立場ではないしな~)。


瞳をギラつかせて執念を燃やしているゴリラ隊員に対し、ハリガネは神妙な表情を浮かべながらそう考えを巡らせていた。


「ハッハッハッハッハ~!! まぁ、何はともあれ国を追い出されてもお前等は相変わらずの能天気ぶりで安心したわい!! すっかり気落ちして青ざめた顔しとると思ってたからの~!! 」。


「おいおい、まさか俺達の顔を拝みにわざわざこの辺を巡回してたっていうのか? フンッ! 今に見ていろ、狩り獲った“アルマンダイト”をお前等の目の前に必ず見せつけてやるさ」。


ゴリラ隊員はフンッと鼻を鳴らしながら素っ気なくそう言葉を返した。


「ハッハッハッハッハ~!! 頼むぞ~? 俺はお前等が魔獣の討伐に成功する方に賭けてるんだからな~!! 」。


「呆れた奴だ...。まだ懲りずにギャンブル続けてんのか? 」。


ゴリラ隊員は呆れた表情を浮かべながら肩をすくめた。


「ハッハッハッハッハ~!! 戦争が無くなったこのご時世での楽しみは酒に賭博、そして女子おなごよのぉ~!! 」。


「...フンッ! すっかり浮世にうつつを抜かしやがって、羨ましい御身分なこったな。自分とこの嫁に愛想尽かされるなよ? 」。


ゴリラ隊員はケチャップ共和国軍隊長に対し、やれやれといった感じで首を横に振って溜息をつきた。


「おっと、俺達はそろそろ戻らんとな~!! それと、ケチャップ国の領土には跨いでくれるなよ~? お前等を殺さなきゃいけなくなるからよぉ~!! そしたら俺は賭けに負けた事になっちまってスッカラカンになるからよぉ~!! それじゃあ、お前等達者でなぁ~!! 」。


「了解! そっちも元気でな~! 」。


「どうもで~す! 」。


「おう!! もし、“アルマンダイト”討伐して帰還したら一報くれやぁ~!! 久々に酒でも飲もうやぁ~!! 」。


「おう!! 」。


「楽しみにしてま~す! 」。


ハリガネ達と別れの挨拶を交わし、ケチャップ共和国軍隊長は軍を率いてその場から離れていった。


(ノンスタンスがパルメザンチーズ山脈に潜伏してるのか...。とはいえ、奴等も諸国から追われる身だし、俺達との戦闘で大幅に戦力は下がっているはずだ。しかし、俺達はメディアの人間を除いて五人しかいない。より神経を使って行動していかないとな...)。


ハリガネは去っていくケチャップ軍を隊員と共に見送りながら気を引き締めていた。





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