五発目
好きなタイプですかっ!?
そうですねっ!
一緒にトレーニングしたり修行をこなせて、更なる高みを共に目指せる志を持った方ですかねっ!
~討伐部隊“勇者”ヤマナカ=マッスル隊員~
ドゴォンッッ!!
「ぐぉぉぉぉおおおおおおおおおおお…っっ!? 」。
ハリガネはゴリラ隊員から鉄拳を食らって倒れ込み、その場にのたうち回った。
今日、これでハリガネはゴリラ隊員に五回しばかれている事になる。
「ここからは俺のターンじゃぁぁぁぁああああああああああああああああああッッッ!!! コラァァァァアアアアアアアアアアッッッ!!! 」。
激高したゴリラ隊員はそう叫びながらハリガネの胸倉を強引に掴み、その身体を高々と持ち上げた。
「イタタタタタタタ...ッッ!! ク、クルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイクルシイ...ッッ!! 」。
身体を吊るされたハリガネは苦悶の表情を浮かべた。
「テンメェェェェエエエエエエエエエエエエエエエエエエッッッ!!! さっきは好き放題ベチャクチャ勝手にほざき垂らしやがってぇぇぇぇええええええええええええええええッッッ!!! このチビグソ太郎がぁぁぁぁああああああああああああああああああああッッッ!!! コラァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!! 」。
「イ、イタイイタイタイタイイタイタイ...ッッ!! 」。
「だいたいテメエは危機感が無さすぎんだコラァァァアアアアアアアアアアアアアッッッ!?!? 偵察なのに何時の間にか商魂に誠を尽くしやがってぇぇぇぇええええええええええええええええええッッッ!!! しかも、戦場で語り合った勇士の弱みに付け込んで諸国の部隊を巻き込むとは何事かぁぁぁぁああああああああああああああああああああッッッ!!! そんな極悪かつ卑怯かつ非礼で外道な所業は戦士のやる事じゃねぇぞぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!?!? 貴様ぁぁぁぁああああああああああああああああああッッッ!!! 」。
「む、無法地帯で卑怯も千万もないでしょ...」。
「口答えすんなぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああッッッ!!! コラァァァアアアアアアアアアアアアアッッッ!?!? 」。
(クッソォ~!! 面倒クセーなッ!! 何かこの脳筋の頭を一気に冷やす話題は...)。
ゴリラ隊員から鬼詰めを受けるハリガネは懸命に周りを見回した。
「...」。
周囲の人間はすっかり怯えた様子で激高するゴリラ隊員と詰められているハリガネを静観していた。
(...おっ!! )。
そんな最中、ローと目が合ったハリガネの頭上に突如閃きが降りてきた。
「イタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ...ッッ!! ち、ちょっと! 待ってくださいよっ!! 」。
「ああぁぁぁぁぁあああああああああああああッッッ!?!? 」。
「も、もっと大切な事がありますよっっ!! 」。
「大切な事だぁッッ!? 」。
ハリガネは自身の胸倉を掴んでいるゴリラ隊員の両手を半ば強引に振り解き、ようやく解放された。
「ゲホッ...! ゴホッ! ゴホッ...! ほ、捕虜のローですよっっ!! 」。
ハリガネが咳き込みながらそう答えると、周囲の人間はローに注目した。
「...? 僕ですか? 」。
ローはキョトンとした表情で自身を指差した。
「ああ、確かローはノンスタンスに入る前は、山脈に拠点を構えた賊団のメンバーだったと言っていたな? 」。
ハリガネは息を整えながらローに視線を向けてそう問いかけた。
「はいっ! そうですっ! 」。
ローは声を張り上げてハリガネにそう答えた。
「...その賊団名を俺達に教えてくれるか? 」。
「自分は“エミール”という賊団に属していましたっ! 」。
「“エミール”...んっ!? 」。
ローが間髪入れずにそう答えた時、ハリガネはキッチンの方向に気配を感じ取った。
「賊団“エミール”...。ソルト国方面寄りの山脈に拠点を構える賊団だね...」。
キッチンに設置された魔法陣から声の主であるジューンとヤマナカが姿を現した。
「...っっ!? 」。
皆はジューンの負傷した姿を見て驚愕した。
ヤマナカに身体を預けているジューンの頭部からは、何者かに襲われたのか大量の血が流れていた。




