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破離刃離☆勇者ハリガネⅢ~俺達は“炎の守護神”と恐れられている魔獣を討伐しないと王国へ帰れま1000!! ~  作者: 田宮 謙二


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生死の駆け引き


好きなタイプ...ですか?


強くて、頼れる人...ですかね...。


私、ちょっと優柔不断な所があるから...。




~ノンスタンスのメンバー、キュン~






「プハァ~ッ!! 怖かったぁ~!! 」。


シアターは疲れた表情でドカッと崩れるように岩へ腰を下ろした。


「まずは、良し...」。


ハリガネはそう呟きながら自身も岩に座り直した。


「え...? どういう事ですか? 」。


シアターは怪訝な表情を浮かべてハリガネに問いかけた。


「しばらくは商人になりすまして山脈付近にいる人間達から聞き込みをしていく予定です。“アルマンダイト”討伐のためには戦力が圧倒的に足りませんからね~。まずは生息地である山脈の現状...主にそこを占領している賊団の活動や組織事情を把握しておかないと」。


「偵察...ですね? 」。


シアターがそう言うと、ハリガネは小さく頷いた。


「ええ...。それにさっきの傭兵達は山脈へ向かって、そのまま賊団に迎えられる後のメンバーになるはずですからね~。今のうちに賊団の関係者とコンタクトをとって知り合いになっておけば、この先やりやすくなるはずですからね~。まぁ、関係者への接近はなかなか危険な行動なんですけどね~」。


「ま、まさに生死を懸けた綱渡りですね...」。


「まぁ、偵察なんてだいたいそんな感じですよ」。


ハリガネは両腕を組んでシアターに素っ気なくそう答えた。


(...とはいえ、俺の首も賊団やハンターに狙われているわけだけどな...。俺の顔も山脈付近にいる奴等に知れ渡っている事だろうし、しっかりと顔は隠しておかないとな...ん? )。


しばらくすると、先程通りかかった傭兵達とは異なる迷彩の戦闘服を着用した十数人の集団が、銃口をハリガネ達に向けながら姿を現した。


「動くなッ!! 手を挙げろッ!! 何処の賊団だッ!? 」。


一人の男が怒声を上げ、ハリガネ達に銃口を突き付けたまま接近してきた。


「“アルマンダイト”討伐部隊のハリガネで~す! 」。


ハリガネは椅子に座ったまま男の言われた通りに両手を上げると、そう答えながら顔を上げて不敵な笑みを浮かべた。


男はフードを被ったハリガネの顔を確認すると構えているライフルを下げ、険しい表情を緩ませて驚いた様子を見せた。


「な、何だよ~! この前会った時とは格好が全然違うから気づかなかったぞ? どうしたんだよ? それ? 山賊にでも転身したのか? 」。


男はハリガネとシアターが羽織っている毛皮のコートを指差した。


「いえいえ、山中でサバイバル生活してたら、いつの間にかこんな格好になってました~」。


「何だよ、そりゃ。...それより、何でここにいるんだよ? 」。


「いや、ちょ~っと山菜収集とか魔獣狩りしてる最中でして...。ほら、俺達もう諸国入れないから買い物もできないでしょ? 」。


ハリガネが男にそう説明している時、後方にいる集団の中にいた小太りの男が足早に近づいてきた。


「一体、何してんだよ? 」。


「いや、隊長...。それがですね...」。


隊長と呼ばれている小太りの男は、ハリガネの顔を見て目を丸くした。


「おっ!? “恐戦士”のせがれじゃないかぁ!! こんな所で何してんだ? 」。


「どもども、巡回お疲れ様です! 僕等は魔獣とか山菜とか食材探しですよ。飯も自分達で何とかしなきゃならないんですから、大変ですよぉ~! 」。


その集団とは以前に山中で鉢合せしたケチャップ共和国軍の部隊であり、小太りの男はその隊長であった。


「まぁ、生活のためだってのは分かるが...。お前にここら辺をうろつかれると困るんだよな~。この周辺は俺達の国の領土付近だからよ~。反逆者のお前と頻繁に接触してたなんて国家にバレたら、国家の兵士である俺達が賊団を含めた反社会的勢力集団の活動を助長しているという反逆行為を疑われかねないからな~。こっちまで処罰食らっちまうからよ~」。


「いやぁ~、すいませ~ん! こっちも配慮が足りませんでしたわ~! 以後、気を付けま~す! 」。


「おう、頼むぞ~。...ところで、お前等やけに上等そうな毛皮の服なんか着てんじゃねぇか」。


ケチャップ共和国軍隊長はそう言いながら、ハリガネ達の着ているコートを興味深しげに眺めていた。


「さすがは隊長っ!! 実にお目が高いっ!! 」。


「な、何だよ...。急に...」。


困惑するケチャップ共和国軍隊長を余所に、ハリガネはニヤニヤと怪しい笑みを浮かべながら話を切り出した。


「“タンザナイト”の毛皮と“アンデシン”の牙とか興味とかあったりします? 他にバラした魔獣の部位とか結構あるんですけどぉ~。いやぁ~、魔獣狩りしても諸国の方には行けないから素材が売れなくて困ってるんですよねぇ~! 」。


「...」。


今までひょうきんな表情で接していたケチャップ共和国軍隊長の表情が、段々と険しくなっていった。


「売ったら結構な値段になるんじゃないかなぁ~? たくさんあって荷物になっちゃってて、どうしようかなって悩んでたんですよねぇ~! 余計なお世話かもしれないですけど、お金の方は大丈夫なんですかぁ? 結構ギャンブルをされるとは聞いてたんですけど、王国の知人からも借金してるって聞いてはいたんでねぇ~。ほらぁ~! 隊長は家庭があるからちょっと心配...」。


ガァァァアア...ッッ!!


ハリガネがそうまくし立てていた時、ケチャップ共和国軍隊長に両肩を強く掴まれた。


そして、そのままお互いの鼻がくっつく所まで顔を強引に引き寄せられた。


「おい...その話...。本当なんだろうな? 」。


「...もちろん! 」。


目が血走るケチャップ共和国軍隊長によるドスの利いた問いかけにも動じず、そう答えたハリガネの瞳の奥は好機と言わんばかりにキラキラと輝いていた。



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