追われる身であったのか、追われた身であったのか...
恋愛かいっ!?
フフフ...。
よくぞ聞いてくれたね~!!
色々、積もった話があるんだよ~!
そうだね~! まずはオリーブオイル国での禁断の恋が...。
あっ!!
ちょっとぉっ!!
待ってよぉ~!!
~さすらいの遊び人、ジューン~
「それで、逮捕されたデイはどうなったんだい? 」。
ジューンにそう問いかけられたホワイトは、暗い表情を保ったままゆっくりと口を開いた。
「管轄の警察署にある留置場に勾留されていたんですけど、会社の人間や取引先の業者さんの奔走もあって短期間で釈放されました。デイには傷害や複数の容疑をかけられていたのですが、それも最終的には不起訴処分になりました」。
「まぁ、その事件に関しては教団側が会社に押しかけて起こった事だからね。デイも被害側の立場だったという判断をしたという事だね~。しかし、今考えてみるとよく不起訴処分に持って行けたね~。それも職場仲間や会社の社長さんを含めた周囲の人達が、デイや他に逮捕された仲間達の無実のために奔走していたおかげかもしれないね~」。
ジューンがそう言うと、ホワイトは大きく頷いた。
「はい、その通りだと思います。あと、暴走した一部の集団の非を認めたという事で教団側が会社側に後日謝罪をして、僕等が支払い続けなければいけなかった賠償金も大分減額されました。あまり事を荒立てたくないとの事みたいで」。
「そうだね~、あの事件は教団側が加害者だからかなりのイメージダウンになっちゃったもんね~。この時からだったかな? 信徒が減ったり教派が分裂し始めて教団内が一時は混沌状態に陥ってたんだよね~」。
「ああ、その頃からか。国王がメディアの前で堂々と教団をカルト呼ばわりし始めるようになったのは」。
ゴリラ隊長がそう相槌を打つと、ジューンが何度も頷いて応えた。
「そうそう! それで、デイや他の職場仲間達も晴れて無罪となったわけなんだけど、この教団との間に起こった暴動がノンスタンスを結成するきっかけになったと。ここからデイやホワイト君達はノンスタンスの原型を作っていくわけだね? 」。
「はい...。あの事件後、分裂していく教団の過激派や王国民主化運動を妨害する王政支持派団体に対抗すべく、会社はその武力に対抗して反王国統制の運動を続けていくために防衛対策に着手していきます。デイも不起訴処分後は積極的に会社内の組織強化に奔走しました。アイツの凄い所はすぐに人と溶け込めるところと人並み外れた行動力ですから、どんどんと人脈を幅広く築き上げていくんですよ。取引先のお客さんから、こっそり王国へ潜り込んできた国賊まで手当たり次第で関係を築いていきました」。
「既に君達がノンスタンスとして活動していた時、デイは親交関係にあった賊人から“人たらし”のデイなんて呼ばれていたらしいね~」。
ジューンが手帳を見つめながらそう言うと、ホワイトは苦笑しながら自身の頭を掻いた。
「まぁ~、人をたぶらかすのは上手かったですからね~。そして、教団との事件で先頭に立って対抗したという事もあって、デイは会社全体の信頼を掴み取りました。あと、口が達者ですからね~。デイはその長所を活かして階級社会の撤廃や社会困窮者の救済等と庶民の社会的地位向上運動、他にも社会的困窮者の支援活動を自ら率先して指揮を執っていく事になります。その頃には、デイもちょっとした庶民のヒーローみたいな扱いになってました」。
「俺はしばらく敵地にいたからあまり王国に留まってなくて知らなかったけど、アイツ王国内ではそんな扱いだったんか〜。しかし、庶民のヒーローが殺人罪の前科者っていうのもアレだけどな」。
ハリガネがテーブルの上で頬杖を突きながら呆れ気味にそう言った。
「まぁ...。どんなに周りがヒーローと持ち上げても、僕等が殺人を犯したという事実は永遠に消えません。そして、僕等が反社会的勢力のグループに属しているという事も...。その時はまだノンスタンスという名前は生まれていなかったのですが、ある出来事が起こった事で事態が急変しました」。
「ある出来事...? 」。
ハリガネが眉をひそめてそう聞き返すと、ホワイトは話を続けた。
「僕等が会社を通じて民主化運動を続けていた事に不快感を持っていた王政支持派や保守派の政治団体がデイの暗殺を目論んでいたんです」。
「デイの暗殺を...? 」。
ジューンは両腕を組み、怪訝な面持ちでホワイトを見つめた。
「はい、その頃のデイは行動と言動を駆使し会社という垣根を超えて庶民を巻き込み、革新派政治活動家の一人として世間から注目されていました。このままデイが大衆を飲み込んでしまえば革命を起こされる可能性もあると危惧し、彼等はデイの暗殺を計画していたそうです」。
「へぇ~! リアルタイムでよくそんな情報を手に入れる事ができたね~! 」。
ジューンは感心した様子でホワイトにそう言った。
「仲間達が反革新派の政治活動家の動向を偵察していた時に発覚したみたいです」。
「なるほど、偵察隊も社内で組んでいたのか~」。
ジューンは再び感心した様子で何度も頷いた。
「はい、組織内において各々の役割はしっかりと決められていましたからね。ただ、そのデイの暗殺計画はかなり過激的なものだったんです」。
「過激的...? 」。
ハリガネは神妙な面持ちでホワイトを見つめた。
「はい、計画の内容としては籠城で長期戦に持ち込ませないよう会社をミサイルや兵器で破壊し、社内にいる僕等を外から待ち構えて殺害するものだったらしいです」。
「まぁ、あれだな...。明日を見ない奴のやる事だな...」。
ホワイトの話を聞いていたハリガネは呆れ気味に首を横に振った。
「まぁ、特に王政第一主義の団体は過激だからね~。相当デイが邪魔だったという事だね~」。
ジューンも苦笑してハリガネに相槌を打った。
「はい...。しかも、複数の団体が関わっていて人数的にも太刀打ち出来ないと判断した僕等は身を隠す事を考えましたが、その時には保守派の人間に僕等は監視されていたので難しい状況でした。そこで社長さんやデイと親交があった王国議員,周囲の協力でデイや僕は国外へ避難する事ができました」。
「そして、社長さんや会社に残っていた社員達は保守派によって殺害され、君達のいた会社も彼等によって爆破された。そして、帰る場所を失った君達は数人と共に諸国を転々としていくわけだね」。
ジューンが手帳を見返しながらそう言うと、ホワイトは小さく頷いた。
「会社に籠っていたみんなが殺されてしまった事は後々知りましたが、国外から出た時点でもう戻れないと僕等も腹を括っていました。それから僕等はノンスタンスとして残された仲間達と共に生きていく事になります」。
「当初もやはりデイが中心だったという事かな? 」。
「デイと...もう一人、ハードという男がノンスタンスを引っ張っていました」。
ホワイトは神妙な面持ちでジューンにそう答えた。
「...」。
キュンは暗い表情でうつむいたまま、身体を縮こませていた。




