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破離刃離☆勇者ハリガネⅢ~俺達は“炎の守護神”と恐れられている魔獣を討伐しないと王国へ帰れま1000!! ~  作者: 田宮 謙二


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隊長、酒は飲まない


やぁ! 困った時の僕だよ!


これはネタバレ...っていうか、一応現時点では設定外の話なんで言っちゃうんだけど...。


この物語の主人公にして僕の友人であるハリガネ=ポップは...。


片想いしていた女の子にプロポーズしてフラれた悲しい過去があったんだよ!




~某道具屋の従業員~




「この基地の地下に水が溜まった湖があったんだって~! しばらく生活水には困らないっぽいから良かったね~! これで外に出るリスクも大分減ったと思うよ~! 」。


「基地周辺に存在するブルーチーズ川の水流の音かと思ったけど、まさかここの真下にあんな場所があったなんて...」。


討伐部隊“勇者”の基地内。


その部隊を率いる隊長のハリガネは、不機嫌な様子でジューンと共に地下の地底湖に通じる穴から姿を現した。


「...」。


捕虜であるノンスタンスを入口付近で監視するゴリラ隊員を仏頂面で見つめるハリガネ。


「...」。


一方でリスクを冒させてまでブルーチーズ川へ直行させたゴリラ隊員は、我関せずといった様子であからさまにハリガネから顔を背けた。


「偉大なる父ハリボテ=ポップの正当な後継者であらせらせる救世主! ハリガネ=ポップ勇士! ささっ! どうぞこちらへ! 御食事の用意ができましたっ! 」。


ノンスタンスメンバーの一人であるローは、低姿勢でハリガネをテーブル席へ誘導した。


「おいッ!! お前等ッ!! もう少しスペース空けろやコラッ!! 救世主様が食事されるんだぞぉッ!? あと、頭が高ぁぁぁぁああああああああいッッ!! 控えぇぇぇぇええええええいッッ!! 」。


ローはハリガネに対しては平身低頭でありながらも、同じく捕らわれの身である仲間達には高圧的な態度で一喝し始めた。


「...」。


ノンスタンスのメンバー達は先程の出来事もあってか、しゃかりきになってその場を取り仕切ろうとするローに冷たい視線を向けていた。


「おい、頭に響くから至近距離でいきなり大声出すんじゃねぇよ。あと、その救世主様ってのはやめろ。恥ずかしいから」。


ハリガネは両手で耳を塞ぎ、苦悶の表情を浮かべながらローが引いた椅子に腰を下ろした。


「いやぁ~! すいやせ~んっ! 声のデカさが取り柄みたいなもんなんでっ! 」。


ローはハリガネにそう言葉を返しながら、オシイチと共に食事を運んできた。


「この状況下においては随分と迷惑な取り柄だな、そりゃ」。


ハリガネは呆れた様子で首を小さく振りながら被っていた兜を脱ぎ、乱れた自身の髪を手で軽く整えた。


「おお~! これは美味そうだっ! 」。


テーブル上に“アンデシン”のステーキとシチュー、“ツァボライト”と“ラリマー”のカルパッチョが置かれるとハリガネは目を見開いてそれらの料理を眺めた。


「いやぁ~! 隊長の手柄があったからこそですよぉ~! しかし、川を泳いでいる“ツァボライト”と“ラリマー”はどうやって捕まえたんですか? 釣具は無いからその背負ってる長剣を槍代わりにしたんですか? ...ん? あれ?? でも魔獣に剣で突き刺したような傷は無かったな...」。


「パルスさん、剣を使って魚族を川から掬い上げたんですよ。()()()()()...ね」。


ハリガネは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を見せた。


「えぇ~!? アッパースウィングであんなに捕れるんですかぁ~!? 」。


パルスは目を丸くして驚いた様子を見せた。


「まぁ、装備してる長剣は対魔獣用のハンタータイプですから刃幅が結構広いんですよ。水中にいる魔獣の動きさえ読めれば剣を水中に垂らして、そのまま一気に掬い上げた勢いで拾えるんで僕にとっては釣具や銛を使うよりもそっちの方が楽ですね~。剣術の練習にもなりますし、歩兵部隊の間では野戦訓練でちょくちょくやってましたけどね~」。


「マジっすか!? いやぁ~! さすが隊長! 戦士の中の戦士ですなぁ~! 感服しましたっ! 自分も精進しなければっ! 」。


パルスは羨望の眼差しをハリガネに向けた。


「本当に素晴らしいですねっ! さすがは幾多の戦いを乗り越えた百戦錬磨のハリガネ=ポップ勇士っ! そんな勇ましい戦士の捕虜になれるなんて、私は感激でありますっ! ささっ! 」。


ローは小さめの酒瓶をハリガネに差し出した。


「何で捕虜にされるのが誇らしい事なんだよ。てか、それ酒?」。


「はいっ! ジューンさんが持参されていたお酒ですっ! 」。


ハリガネの問いにローがそう答えると、ジューンは誇らしげに片手で酒瓶を掴んでいた。


「まだまだあるよ~ん! 」。


「...いや、いらない」。


そんなジューンを余所にハリガネは酒を拒んだ。


「えぇ~!? 勇者君飲まないの?? そういえば、昨日の晩も勇者君やゴリラさん達はグラスに一度も口をつけなかったよね~? 」。


ジューンはつまらなさそうに口を尖らせた。


「当たり前だ。ここは無法地帯の戦場だぞ? 酒なんか飲んだら神経も動きも鈍るし、潜伏してる賊人や魔獣の気配が感じ取れなくなる...つーか、コイツは一体どうしたんだ? 」。


ハリガネは向かい側でテーブルに突っ伏しているアネックスを指差した。


アネックスの近くに座っている他の女性陣は、彼女の背中を擦りながら心配そうな表情を浮かべていた。


「ゴメ~ン! あまりにも良い飲みっぷりだったから飲ませ過ぎちゃった! てへっ! 」。


ジューンは悪戯っぽく笑いながら舌を出し、拳で自身の頭を小突いた。


「何で捕虜に酒飲ませてんだよ...」。


ハリガネは呆れた表情を浮かべながら食事を掻き込んでいた時...。


「ところでハリガネ勇士っ! 」。


「...何さ? 」。


ハリガネは怪訝な面持ちで声をかけたローに視線を向けた。


「今晩はどの子に致しますか? 」。


「...は? 」。


ハリガネはローの発した言葉に眉をひそめた。


「...っっ!! 」。


そして、ローの言葉を聞いた女性陣は怯えた表情を浮かべて身構えた。



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