スイッチが入ると人って随分と変わるよね
フフフ、また俺の出番が来たようだな...。
俺はさすらいの遊び人、ジューン!
フリーの情報屋や探偵業とか色々やりながら生活をしているよ!
好きな事は女の子と遊ぶ事!
嫌いな事は女の子に優しくしない人!
~さすらいの遊び人、ジューン~
ドガァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!!
ドッカァァァァアアアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!!
ドガァドガァァァァアアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!!
バババババババババババババ...ッッ!!
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダ...ッッ!!
バババババババババババババ...ッッ!!
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダ...ッッ!!!
ドガァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!!
ドッカァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!!
ドガァドガァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!!
「追えぇぇぇぇえええええええええええええええええええええッッッ!!! 」。
「うぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおりゃぁぁぁぁあああああああああああああああッッッ!!! 」。
「オラァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!! 逃がすなぁぁぁぁあああああああああああッッッ!!! 」。
ブルーチーズ湖の手前に位置するモッツァレラチーズ渓谷では何者かによる攻撃と爆音や怒号、そして悲鳴が飛び交っていた。
「湖方向から逃げ下ってきた女が四人、それを追ってる男が十三人...か。襲撃している男集団は兵器を使ってて、一方の女性陣は逃走しながら魔法で応戦してるって感じか...。男女共に敵対してる山賊か何かかな? 」。
ハリガネ達は川から外れた高い谷から、川沿いで戦闘している集団を見下ろす様にその動向をうかがっていた。
鎧を着用した厳つい大柄な男達は、銃火器で周囲の岩や木々を破壊しながら後退する女性陣を追い回している。
「ちょっとっ! ちょっとぉ~! 勇者く~ん! 」。
「お前っっ!! こんな状況で大声上げんなよっっ!! 」。
ハリガネは声を押し殺しつつ共に岩陰に隠れているジューンに静粛を促した。
「だってさぁ~! 『こっちに向かってくるぞッッ...!! 』って、さっき二人で身構えてたじゃ~ん!! その後、あっちの姿を見た瞬間に『岩に隠れるぞッ!! 』って...。一体、どういう事よぉ~?? 」。
「魔獣の群れが向かってきたと思ったんだよ。数的にもこっちが不利だし簡単に背を向けてまっすぐ逃げようとしても、魔獣の数やポテンシャルを考えて一方的にやられるだけだからな。だったらこの渓谷の地形を上手く利用して、かく乱気味に応戦している間に基地にいる隊にコイツで応援を...ってあれ!? 」。
ハリガネは自身の身体をまさぐってコイツと呼んでいる物を探し始めた。
「どうしたの? 」。
「い、いや...。援軍を呼ぶための警笛がちょっと...見つからない...。あれ? 何処に入れたっけ? 」。
「あらら...。あ、それで姿を現したのは人間だったわけなんだけど、そっちは関わらないでおこうって感じ? 」。
「現地にいる野生の魔獣は神経が敏感だから息づかいとかですぐ居場所がバレる。結局、人間だったからその場で上手く隠れてやり過ごせるだろうと思ったんだよ。この場合、俺がいきなり出てきて戦闘仕掛けようなんて人数的不利だし、現にあっちはあっちで戦闘中じゃないか。俺が割って入る理由もないし、そのままどっかに消えるか共倒れになってくれれば良いんだけどね~。え...と...。あ、あれ? おかしいな...。見つからないぞ?? 何処に入れたっけな?? 」。
ハリガネはジューンにそう答えつつ、困惑している様子で自身の懐の中に手を突っ込んで警笛を探していた。
「ふ~ん、利益のないリスクだけを背負う戦闘には参加せずにしっかりと身の安全確保...か。軍人としては合理的な考えだね~。てか、当然の選択か...しかし」。
ジューンは高い谷の岩陰から、川の近辺で戦闘を繰り広げている女性陣をまじまじと見つめていた。
「砂埃でよく見えなかったけど、輩共に追われている女の子達はみんな若いし発育が良い...。みんな鎧じゃなくて露出の多い軽装だな...。谷間もしっかり見えてるしオッパイがデカいッ!! 揺れているッ!! グッドッ!! 薄地のスカートから見える太股もヒジョーに健康的だっ!! 素晴らしいっ!! パーフェクトォ!! 何処の国の子達なのかな~? 」。
「おい、あんまり岩から顔出すなよ。俺の居場所が奴等にバレんだろうが。アンタは死んでもいいけど...てか、マジで見つかんねー」。
ハリガネは警笛を探しながらテンションの上がっているジューンを睨み付けた。
「あっ!! 囲まれたっ!! 」。
そんなハリガネを余所に、ジューンは夢中で戦況を見届けていた。
「くっ...!! 」。
人数が多い男性陣に押され女性陣は囲まれてしまった。
女性陣は両手を突き出し、自身達を包み込む白く輝くドーム状の防壁を発動させた。
「へっへっへ~! やっと追い込んだぜ~! 手間かけさせやがって~! オメェ等の魔法のせいで二十人くらいの仲間達がお陀仏になっちまったぜ~! 」。
「へへへ~! 」。
金属製の兜と鎧を着用した大男達は薄気味悪い笑みを浮かべ、女性陣にゆっくりと近づいてきた。
「寄るなッ!! 獣ッ!! 」。
女性陣の中では一回り小柄な女性がそう叫んで大男達を睨み付けていると、大男達は高笑いをしだした。
「グワッハッハッハ~! 獣~?? 何処をどう見れば俺達が魔獣に見えるんだぁ~?? 」。
「俺達は魔獣じゃなくて紳士だぜぇ~! 抵抗しなければ乱暴にはしないぜぇ~! ゲヘヘ~! 」。
一人の大男は下品な高笑いをしながら手に持っているライフルの銃口を舐め回した。
「オホホホ~! 近くで見れば見るほど上物じゃねぇかよぉ~! これは高く売れそうだなぁ~! グフッグフフ~!! 」。
「オラッ!! 潔く防壁を消しなッ!! 死にたくなければなッ!! フハハハハハッ!! 」。
ドガァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!!
ドッカァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!!
ドガァドガァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!!
バババババババババババババババババババ...ッッ!!
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダ...ッッ!!
ババババババババババババババババババババババ...ッッ!!
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダ...ッッ!!
ドガァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!!
ドッカァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!!
ドガァドガァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!!
大男達は再び女性陣に向かって防壁越しから兵器を用いた総攻撃を再開した。
「あ~、これはジリ貧だな~。このまま力負けして防壁剝がされるのも時間の問題...ってお前何してんのっ!? 」。
ハリガネの視線の先には、岩陰から離れて集団の下へ歩いていくジューンの姿があった。
「女の子に乱暴するのは...良くないな」。
神妙な面持ちのジューンは深緑色の眼を鋭くさせ、自身の掌を彼等にかざしながらそう呟いた。




