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破離刃離☆勇者ハリガネⅢ~俺達は“炎の守護神”と恐れられている魔獣を討伐しないと王国へ帰れま1000!! ~  作者: 田宮 謙二


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手刀で石を斬るヤバい人


え?? 何で魔法が使えるのかって?


うーん、魔力の適性があるからじゃないかな~?


ウチの家系はもともと魔法陣使いこなす魔術師だったからね~!


その血を受け継いでいるという事なんだろうね~!



~討伐部隊“勇者”パルス=イン八世隊員~




「その場を動くなッ!! ヤマナカッ!! こっちを手伝ってくれッ!! 」。


「了解っ!! 」。


チェダーチーズ山にある洞穴の中は、石が転がっている程度で何もなかったが百人は優に入る規模の広さであった。


「実際入ってみると結構広くて奥行きも深い洞穴ですね~。荷車も余裕で入りますし、外部からの敵もこれなら分かりませんね~。それに場所的にもブルーチーズ湖から近いはずだし、一時的とは言わずにしばらくはここを利用するのも良いかもしれないですね~。山脈付近はハンターや賊人がいて危ないでしょうし」。


「呑気な事ばっか言ってんじゃねぇぞ。俺達の任務を忘れるな。この地域にいる以上は常に生死との狭間にいるのだからな」。


「まぁ、そうっすね~」。


ハリガネとゴリラ隊員は洞穴を見渡しながら会話を交わしていた。


「隊長ぉ~! せっかくですからこのアジト内も明るくしちゃいましょうよ~! 」。


「いや、パルスさん...。あまり明るくするとアジトがバレて逆に危険ですよ? 」。


「それなら大丈夫ですよ~! ほらっ! 」。


「あらっ!? 入口が塞がってるぞ!? 」。


ハリガネがパルスの指差した先を見ると、洞穴の入口が大きな岩で塞がっていた。


「いやぁ~! パルスさぁ~ん! 凄いですねぇ~! 歩兵部隊の兵士でも通路魔法陣を使いこなせるんですね~! 」。


岩からチャールズとフユカワが姿を現した。


「いやぁ~! 魔術はちょこっとかじってただけですよ~! 歩兵部隊出身のオイラの強みは魔法よりも剣術に射撃、そして武術ですよ~!! ハッハッハ~! 」。


(アンタは歩兵部隊じゃなくて防衛部隊でしょうが...)。


ゴリラ隊員は心の中でそうツッコミながら、高笑いするパルスに冷たい視線を送った。


「なるほど! 岩で穴を塞げば外からだとアジトだと分からないし、魔獣や賊人に襲われる危険性も低くなりますね! 」。


ハリガネは岩で青白く光っている魔法陣を見て感心した様に小さく頷いた。


「でしょ~? それに大型魔獣は穴の大きさの関係で岩を通り抜ける事ができませんからセキュリティもそれなりに整ってますね~! あと魔力や気配も遮断できるっす! もちろん、実際には穴を岩で塞いでいる状態なんで、岩を通り抜けるためには身体に適用された魔法陣を刻印する必要がありますけどね~! 」。


「隠れ家としては最適だな~。感服しました」。


ゴリラ隊員も何度も頷いて感心していた。


「それに岩はヤマナカさんに外から運んでもらいましたからね~! いやぁ~! さすが武道の達人っすね~! 」。


「このくらいは朝飯前ですよっ! でやぁぁぁぁあああああああああああああああッッッ!! 」。


ガコンッッ!! ガキンッッ!!


ヤマナカはパルスにそう答えながら、手刀や肘撃ちで彫刻を施す様に石を削り始めた。


「...ヤマナカ、お前何してんだ? 」。


ハリガネが怪訝な面持ちでヤマナカに問いかけた。


「パルスさんに頼まれてテーブルや椅子を作ってますっ! 」。


「て、テーブル...? 」。


「やっぱり基地は快適な方が良いっすよ~! 」。


「は、はぁ...」。


「おい、それより...。こいつ等どうすんだ? 」。


ゴリラ隊員はハリガネに声をかけ、隅で固まって座っているホワイト含めたノンスタンスのメンバー達に視線を向けた。


ノンスタンスのメンバーはお互い寄り添い、怯えた様子でハリガネ達を見つめていた。


「ここにいるメンバーは十一人。その内大人の男が四人、残りは十歳ちょいくらいのガキだ」。


ゴリラ隊員がそう言うと、ハリガネも捕虜となったノンスタンスのメンバーに視線を送った。


「隊長はお前だ。こいつ等はどうするつもりだ? 」。


「そうっすね~。戦力にはあまりならなさそうだし、身の回りの世話役でもしてもらいますか」。


ハリガネが両腕を組んでそう答えると、ゴリラ隊員は一層険しい表情を浮かべた。


「おい、正気か? いくらガキでもノンスタンスの一員なんだぞ? ここにいるホワイトも含めて頭領のデイに情報を漏らされるかもしれんのだぞ? 闇討ちされるかもしれん」。


「だったら好都合ですよ。向かい打ってデイの首も狩っちゃいましょうよ。そもそも、ノンスタンスも滅ぼせずに奴等から闇討ちを許してしまうようでは“アルマンダイト”討伐なんて夢のまた夢ですよ」。


「ふむ...。確かにそうだな」。


ハリガネがそう答えると、ゴリラ隊員は神妙な面持ちで小さく頷いた。


「ア、“アルマンダイト”だって...っっ!? 」。


捕虜となっている男の一人が怯えた様子でそう言葉を発した。


「ああ、そうだッ! 俺達はポンズ王国から派遣された討伐部隊だッ! “アルマンダイト”を討伐するという大義のためになッ! 」。


(嘘つけ、何が大義だ。つーか、俺達はその王国から追放された立場じゃねーか。何が派遣された討伐部隊だよ)。


ハリガネは胸を張ってそう言い切ったゴリラ隊員に冷たい視線を向けていた。


「デ、デイ様も同じ事を言ってました...」。


「え? 何だって? 」。


「デイ様も“アルマンダイト”を...狩る...と」。


「はぁ~?? 」。


ハリガネ達は捕虜の男の言葉に自身の耳を疑った。





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