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最強のSランク冒険者?…実は神の使徒です  作者: VAN
第2章 アーリジャ大陸編
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第九話 ジャーロヘガル州



僕達は今、馬車に乗っている。



昨日ギルドから遠い宿に泊まったから誰も訪れる事は無かった。



「ジャーロヘガル州って事はここ含めて3つの州を超えた所ね」


ここからジャーロヘガル州に行くまでかなり距離がある。

ただでさえ広い帝国なのに、山を越えなければならないから大変だ。


山を通る時は宿が無いらしく、野宿をしなければいけない。


僕は冒険者だから野宿は平気だけど、カリンはどうだろ?

ガドーネス王国では順調に進んだ為、宿に泊まることができた。



「ジャーロヘガル州の隣が州都よ。もしジャーロヘガル州に居なくて、居場所が分からなければ州都を探してみましょ」


「そうですね!」


隣が州都なのか。


ガドーネス王国みたいに何か前世で食べていた料理は無いだろうか?


今の所、食に関してはゴースリア王国と変わらない。

昨日宿で出た食事も、道中立ち寄ったご飯屋さんも、ゴースリア王国で食べ慣れた料理ばかりだ。


やっぱり…ガドーネス王国の食文化が進んでいただけなのか?


だが州都なら何かあるかもしれない!


もしヘルディさんがルージア神の使徒では無かったら、州都にでも寄ってみよう。


―――僕達は馬車に揺られ続けた。


――――1週間――――2週間――――3週間―――


―――1ヶ月近くかかっただろうか。


ようやくジャーロヘガル州に到着した。


(〜〜っあ〜〜〜っ……やっと着いた〜)

僕は両腕を挙げ伸びた。


(馬車だと時間かかりすぎるよ……あ〜…車があればな〜1ヶ月もかからないのに…)


カリンも馬車を降り、腰に手を当て回旋している。

流石にずっと座りっぱなしだったからね…。


道中モンスターに襲われはしたけど、それ以外は何もトラブルなくここまで来れた。

本当に良かった。


―――だが、ジャーロヘガル州には着いたが、ヘルディさんが所属するギルドにはあと3日程かかるらしい。


あともう少しの辛抱だ。


―――――――――3日後――――――――


☆ジャーロヘガル州【冒険者ギルド近く】


僕達はヘルディさんの所属する冒険者ギルドの近くに来た。


……が、もう少しで暗くなる。

今日は遅いから明日ギルドに行こう。


と、言うわけで本日の宿探しを始めた。



――――――――――――――――――――


僕達は無事、宿を確保した。


宿の人から冒険者に人気の飲食店があると聞き、そこに向かっている。


「冒険者に人気って…騒がしく暴れてるのかしら」

カリンがちょっと不安そうに呟いた。


「ははは…多分大丈夫だと思いますが、何かあったら僕が守りますよ」


「ふふっ。うん!ありがと」


そんなやり取りをしていたら、紹介されたお店に着いた。


―――――ガチャ――――


扉を開け、中に入る。


「いらっしゃい」


カウンターの奥でマスターの声がした。


「2人かい?」


横からおばさんが僕達の方に向かってきた。


「はい」


僕達はカウンターに案内された。


カリンの隣には誰も居ないが、僕の隣には立派な装備をした冒険者がいた。


(それにしても…結構な人数の冒険者がいるのに、店内がとても静かだ。立派な防具を着ている冒険者が多い。相当ランクが高いだろう。なのにこの静けさ…緊張感……もしかして、ここのマスターってとんでもない実力者!?)


「コーキは何食べるか決めた?」


考え事をしていたら、カリンはもうメニューを決めたのか僕に話しかけてきた。


「…!そうですね…では、このオーク肉定食を下さい」


僕達は注文を済ませ、料理を待っている。


―――「できたぞ。坊主」


一瞬僕の事かと思ったら違った。


「おいおい…おっちゃん…。おっちゃんだけだぜ!俺の事を坊主って言うの…」


僕の隣に座っていた冒険者の事だった。


「ははっ!わりぃな。どうしても昔から坊主って呼んでたからよ」


マスターは笑いながら誤っていた。


「ああ、おっちゃんには昔から世話になってるからな」


マスターと隣に座っている冒険者はまるで家族のように仲が良かったみたいだ。



……ん?


あれって…ドリア!?


僕が隣の料理を見ていると


「なんだ気になるか?これはな、坊主が考えたメニューだ。普段は坊主にしか出さねぇが…食いたいか?」


僕は何回も頷いた。



「おいおい、おっちゃん。俺が考えた訳じゃねぇっての。この子達にも出してやってくれ。金は俺が払う」


「すみません。ありがとうございます」


「気にすんな。美味いぞこれ!」


いい人だな。

気さくで、僕のような子どもにも笑顔で接してくれる。

冒険者には中々いないタイプの人だ。


この人ともっと話したいが…食べるの邪魔するわけにはいかない。


―――僕とカリンが注文した料理がきた。


「「美味しい」」


2人して思わず声を出してしまった。


「ありがとよ」


マスターは笑いながら答えてくれる。


流石、冒険者に人気のお店だ。

とても美味しい。


僕達はどんどん食べていく。


「おっと…いけね…時間だ。おっちゃん、ご馳走様。お代置いとくよ」


ドリアを食べ終えた隣の冒険者は席を立ち


「じゃあな!もうすぐ料理できるだろうから楽しみにしてな!うまいぞ〜」


そう言って店を後にした。


…と同時にドリアがきた。


僕達はドリアを一口……


「「美味しい!!!」」


もう、2人とも一心不乱に食べた。


完・食!!


美味しかった!!!


一心不乱に食べていて気づかなかったが、店内が騒がしくなっていた。


さっきまでが、たまたま大人しい冒険者が多かっただけなのだろう。


お腹いっぱいになった僕達はお店を出て、宿に戻る事にした。


――美味しかった!また来よう!


僕達は宿に着いて、しばらくして寝た。


―――――――――翌日―――――――


☆ジャーロヘガル州【冒険者ギルド】


僕達は冒険者ギルドの前にいる。


(なんだろう…凄い静かだ)


冒険者ギルドの前は、殆どのギルドが騒がしい。

外まで響く声で冒険者が騒いでいるからだ。


…だが、ここでは全く声がしない。


―――――ギィィィッ――――――


僕達はギルドの中に入った。


――――し〜ん――――


すごく静かだ。


僕達が受付に向かうと―――


「あれ?昨日の子達じゃん」


昨日、僕の隣に座っていた冒険者が声をかけてきた。


「あ、昨日はありがとうございました!ドリア美味しかったです!」


僕はお礼を言った。


「……ん?あれ?俺ドリアって言ったっけ?……あ〜おっちゃんか…」

隣に座っていた冒険者は独り言を呟いていた。


「依頼受けるのか?」


「いえ、人を探してまして…」


「なるほどな!案内してやるよ」

そう言って受付の所まで連れて行ってくれた。


「この子達が人を探しているらしい。協力してやってくれ」

受付のお姉さんに声をかけた。


「!!っはい!」


受付のお姉さんが大きな声で返事した。


「…で、探している人とはどんな人なんだ?名前は分かるか?あと冒険者ならギルドカードを一応提示してな」


僕はギルドカードを取り出しながら答えた。


「はい。探しているのはSランク冒険者のヘルディさん…という方です。こちらのギルドにいると――」


「「え…?」」


2人とも一瞬固まった。


僕がギルドカードを出したからじゃない。

まだ見せてないし。


「……ヘルディは俺だ。何の用だ?」


「「!!!」」

僕とカリンは驚いた。


昨日、僕の隣に座っていた冒険者こそ、ヘルディさんだったのだ。


(昨日のお店の静けさ、そして今このギルドの静けさ…そういうことか…だから、ヘルディさんが帰った後、気づいたら店が騒がしくなっていたのか)



「はい。まさかあなたがヘルディさんだったとは…僕はコーキと申します。こちらはカリン。もしよろしければ少しお話ししませんか?」


僕はそう言ってギルドカードを見せた。


「「!!!」」


ヘルディさんと受付のお姉さんは、僕のカードを見て驚いている。


「ああ、いいぞ」


―――僕達はギルドの応接室を一室借り、話をする事になった。

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