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最強のSランク冒険者?…実は神の使徒です  作者: VAN
第1章 Sランク冒険者編
25/63

第二十四話 黒神狼4



☆ダルパニア王国【王城・控え室】


僕はファルゴ公爵に国王様からの文書を渡し、控え室で待機していた。


(謁見、どうだろ…やっぱり急だから無理かな?)


僕は待機中、国王様からいただいた黒神狼の情報を見ていた。


生息場所はダルパニア王国の辺境の森。

村は東に1つ、南に2つある。

森を抜けた西側には特に村や町は無く、海に繋がっていた。


(なるべく国神狼から放たれた魔法は西側に弾くようにしよう…)


―――なんて思っていると、城内が慌ただしくなっていた。


(なんだろ…何かあったのか?)


そう思っていると、


――――コン、コン――――


「失礼致します」


衛兵が入ってきて敬礼し、告げた。


「これより謁見していただきます。武器は預からせていただきます。可能でしたら魔法バッグも置いていただけると」


「分かりました。魔法バッグは貴重な物が入っているので身に付けておきたいのですが…」


僕は剣を控え室の机に置きながら、聞いてみた。


「武器が入っていなければ大丈夫です」


武器は入っていない。よかった…。



―――――――――――――――――――――


☆王城【謁見の間】


僕は衛兵に案内され謁見の間にいた。


部屋には宰相様がいた。

「ギルドカードお預かりしてよろしいでしょうか?」


僕はギルドカードを渡した。

僕が直接国王に見せるのでは無く、宰相様経由で見せるのだろう。


―――数分経った――――


「まもなく国王様が入られます」


宰相様の声が響いた。


周りに居た衛兵と宰相は王座がある方を向き、跪いた。僕も合わせて跪いた。


――カッ、カッ、カッ――――


足音が聞こえる。……あ、今座った。


「面をあげよ」


僕は顔を上げ、王座の方を見た。

そこには、何処かで見たことがあるようなおっさんがいた。


……あ〜…あれだ…ベートーヴェンだ。


前世で音楽室行くたびに見たな…


ダルパニア王国の国王はギルドカードと僕の方をジッと見たままだ。


挨拶をしよう…そう思ったら、、、


「カイセル殿から既に聞いていると思うが、其方に黒神狼の討伐を依頼したい」


「はい。お受けさせて頂きます」


国王から黒神狼の討伐を依頼されたので、受けた。


まぁ…僕はその為に来たわけだからね。


――――また国王は黙ってしまった。


……今度こそ挨拶を―――――


「其方への討伐報酬だが、我が国とゴースリア王国で半分ずつ出す事になっている。その代わり、黒神狼との戦闘における我が国の領土の損害は不問とする。其方には一切責任を問わないとここに誓い、この紙はお主に渡しておく」


そう言うと、僕に紙を渡してきた。


(王印が押してある。これは大事な紙だ。国王様に渡そう)

僕は紙を魔法バッグにしまった。



「では――よろしく頼む」


僕は大きく頷いた。


ダルパニア王国の国王は退室してしまった。


――――あれ…?終わっちゃった。


僕は自己紹介する間も無く、謁見は終了してしまった。


「黒神狼の情報をお持ちします。控え室でお待ちください」


僕はギルドカードを返してもらい、再び控え室へ戻った。


――で、黒神狼の情報を貰ったんだけど、殆ど同じ情報だった。

1番の収穫は、寝床が分かったことかな。

森の中を彷徨う必要が無くなったのはありがたい。


――僕はダルパニア王国の王城を後にした。


―――――――――――――――――――――


謁見が終わり、僕は宰相様が用意してくれた最高級の宿に泊まってゆっくり休んだ。


―――翌日―――


僕は馬車に乗り、黒神狼が生息する森に向かっていった。


いくつかの村を経由して森に入るつもりだ。



―――――――


―――――


―――


5日後、最後の村に着いた。


――ここには馬車を置かせてもらいたいから交渉しないと。


(おかしいな…人が居ない…生活している痕跡はある。何故?)


僕は不思議に思いながら、僕が入った村の入り口と逆の方へ向かっていた。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


女の子の叫び声がした。


僕は馬車を降り、急いで声がする方へ向かった。


「――――っ!」


ゴブリンが約20体。

ゴブリンロードが1体。

オーガが約15体。

ウルフが約10体。


円になるように何かを囲んでいた。


―――よく見ると、、、この村の住民たちだ。


叫び声の主は、どうやらゴブリンに腕を掴まれ連れて行かれそうになっている女の子だろう。


僕は剣を抜き、女の子を助ける為に前方に向かって地面を蹴った。


まずは、直線の道を塞ぐゴブリン2体とその周りにいるオーガ3体を斬った。


道が開けた為、そのまま僕は女の子の腕を掴むゴブリンの頭を切り落とした。

もちろん、斬撃が飛んで住民に当たらないよう手加減はした。


僕以外の人達、またモンスター達にはここまでの事が一瞬で起きた事であり、突然斬られて倒れたのを見て困惑していた。



僕は驚いて座り込んでしまった女の子の前に立っていた。


すると左側にいたウルフが女の子に噛み付こうとしていた。



《身体強化》


僕は咄嗟に身体強化の魔法を使い、腕を伸ばして女の子を庇った。


ウルフは突然出てきた僕の腕に噛み付いた。

だが僕の腕は噛みちぎるどころか傷つきもしない。

ウルフは僕の腕を咥えたまま、悟ったかのようにその場に固まった。


僕はウルフを斬り、その一振りの斬撃が奥にいるモンスター達に届くよう剣を振った。


ゴブリン6体、ウルフ3体・オーガ2体が巻き添えで斬られた。


「「「……すっ、すごい………」」」


村人達は思わず口から出てしまったようだ。


自分達は助かるかもしれない。そう思ったのだろう。


あんな大量のモンスターに囲まれていたんだ。

死を覚悟しただろうし、相当恐怖で絶望していたであろう…


モンスター達は僕に警戒して、その場を動かなくなった。


(丁度いい。村人達は一か所に集まっている。壁を作って手出しできないようにしよう)


僕は、近くにいた女の子を村人達のところに行くよう促し


炎壁(ファイヤー・ウォール)


村人達の周りを炎で囲った。


この中に入るには空を飛ぶか、地面を掘るしかない。


村人達からは炎で外の様子は分からない。



モンスター達が炎の壁を見ている一瞬の隙に


炎纏矢(ファイアー・アロー)


僕は炎の矢を30程出し、モンスター達を射止めた。


僕は炎の壁を消した。



「「「……ぅ、ぅおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」」」

「「「やったーーーー!!!助かったーーーー!!!」」」

「「「もうダメかと思った!!!!!」」」



―――炎が消え、状況を察した住民達は湧いた―――

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