表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウイルター 英雄列伝 戦場のガーベラと呼ばれた巫女  作者: 響太C.L.
ハイニオスに転学 編 下
57/345

56.疾風が如く蛍 ①

レイニは二人がスタートポジションに着いたのを確認すると、ルール説明を始める。


「それでは、宣言闘競のルールに則り、時間制限は15分間、先に相手に30,000のダメージポイントを与えた者が勝者となります。時間切れの際は、よりダメージの少ない者を勝ちとし、途中で戦闘不能状態、意識不明状態に陥った場合は負けとなります。また、相手を死亡させた場合は、即失格です」


           青   森島蛍 : 神崎のぞみ   青


      ダメージポイント       0 : 0


      源気数値(GhP)   4230 : 3510


      残り時間           15:00


                                    』

 ルールを聞き、のぞみは気を引き締め、戦闘態勢に入る。蛍の源気(グラムグラカ)の強度がグングンと上昇していくのを感じた。


「それでは、両者、用意!始め!!」


 闘競開始を知らせる鋭い笛の音が響いた直後、蛍はあちこちの柱の上に跳び移り、のぞみを翻弄しはじめた。


「おっと!モリジマさん、早速、得意のスピード戦法で攻めを開始!カンザキさんはどう応対するのでしょうか?!」


 柱を移りながらも、蛍は両手の指に(グラム)で創った手裏剣を挟み、タイミングを定めると、のぞみに投げ出す。のぞみは後ろの柱に退き、石板の床に着地すると、左手で直径1メートルの金色の盾を創り、手裏剣を防いだ。


 しかし、六方手裏剣は次々に投げつけられる。右から来たかと思えば今度は左上から。反応が二拍遅いのぞみでは、防ぎたくても間に合わない。


「はっ!あんた、遅すぎ!」


 パンッ!


 一瞬だけ近くに跳び寄った蛍が、素早く拳を連打した。のぞみは受け身を取ったが耐えきれず、防御は崩され、蛍の掌撃に打ち飛ばされる。


 のぞみはダメージに耐えながらバク転し、体勢を整えて砂地に着地した。さっと手の甲を見ると、2580ダメージを受けていることがわかった。


 首を上げて蛍の姿を探す。と、すぐに数枚の手裏剣が飛んできた。息つく暇も与えない攻撃に対し、のぞみは防戦ばかりで、新しい盾を創ると両手で支え、手裏剣を受け止める。乱射された手裏剣は、砂地に触れると光弾のように次々と爆発した。


 乾いた地面に砂煙が巻き上がり、のぞみの姿を隠す。


 レイニの実況だけが場内に響く。


「攻めのモリジマさんに対し、カンザキさんはなかなか反撃のチャンスを得ることができません!」


 煙の中に潜むのぞみは、数瞬、思考した。


(さすがは忍びの修行を受けた実力者……。動きだけでなく、攻撃のテンポも速い。この柔らかい砂地なら、森島さんのスピードを抑えられる?)


 押し切れば楽勝で勝てると思っていた蛍は、作戦など不要とばかりに笑った。


「もう終わり?記念にもう一丁、お見舞いしてあげる!」


 煙の中、金色の細長いものが揺れている。

 右手に脇差しをかざすと、蛍は積極的に煙に飛びこんだ。高速で駆ける蛍の軌跡は紫の閃光となり、煙を切り払う。


 蛍は目を凝らし、脇差しをさらにもう一閃させた。しかし、のぞみが左手にかざした銀色の盾が、攻撃を受け止める。次の瞬間、のぞみは金色の光を蛍に向けて放った。

 間一髪、胴体をひねって避けた蛍は飛び退き、近くの柱に身を移す。


 直撃は免れたものの、上腕に傷を残した蛍は瞳をくるくるさせる。源気をしっかり出していなければ、切り口はさらに深くなっていただろう。


 蛍は1800のダメージを受けていた。


「煙で見えませんが、カンザキさんはモリジマさんに反撃し、ダメージを与えたようです!」


 無傷でのぞみを倒せると思っていた蛍は、極めて不機嫌な表情になり、のぞみを睨んだ。


「……許さない」



つづく

読んでくれてありがとうございます。

のぞみは蛍に申し掛けた宣言闘競はついに始まりました。

もし当作に気に入ったら、ぜひ評価、感想、ブークマックをしてください。

来週の回は、戦いが更に熱くなりそうです。

これからも精進して参ります。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ