180.攻守逆転!? ②
大型のチャクラムを巧みに扱うクリアが、ラーマの攻防一体となった技を邪魔しながら攻めていく。急所を狙った攻撃も何度も撃ちこんだ。
攻撃を受け止めるラーマの様子を見ながら、藍が難しい顔をしている。
「さすがは連戦連勝中で勢いに乗ったヒタンシリカさん……。バーサーカータイプのミンスコーナさんまで抑えるんですか……?これはもはやB級同士の戦いですね」
どんどん上がりつづけるスピードと源に、メリルも目を瞠った。
「負けられない気持ちはわかるけど、最初から本気でラーマさんを潰すつもりなんだヨン!何と恐ろしい子ヨン」
「ミンスコーナさんは大丈夫でしょうか?」
ちくちくするような耳の痛みにもようやく慣れてきたミナリも、戦況に戸惑いを見せた。
「あの変わった剣のお姉さんが負けるニャー?」
「ミナリちゃん、バトルの勝敗は最後までわからないよ」
「あのお姉さんに勝ってほしいニャー」
「ミンスコーナさんのこと知ってるの?」
のぞみの言葉に、ミナリは首を横に振る。
「ううん、わからにゃいけど、相手のお姉さんの方は、気配が狂ったようで怖いニャ。あの剣のお姉さんは、気配が温かくて頼もしい気分になるニャー」
「フェラーさん。ヒタンシリカさんが仕掛けた連続攻撃で、ミンスコーナさんは一本取られてしまいました。このままペースが抑えこまれると、さすがにまずいんじゃないでしょうか?」
「おそらくここまでの展開はすべて、ミンスコーナさんの思惑通りですよ?さっきから、ヒタンシリカさんがどこまで源気を上げても、ほとんど同じレベルまでつりあげていくこと、気付いていますか?」
のぞみの返事は少し鈍い。
「はい……。でもそれは、ハンデを負ってるからでは?それとも、他にも意味があるんでしょうか?」
「ミンスコーナさんが抑えられているように見えるかもしれませんが、本当にプレッシャーをかけられているのは、ヒタンシリカさんでしょう」
のぞみはティムの話を聞いて、どちらが本当に優勢なのかを少し考えた。
「それはつまり……ミンスコーナさんは実力を温存していて、いつでもアドバンテージを取ることができるということですか?」
「ミンスコーナさんは、ヒタンシリカさんのコンボ技の途中で回避した。その意味を見抜けますか?」
「他の闘士相手なら、蹴り技に耐えられず、そのままあの大きなチャクラムの連続斬撃でやられています。技が命中し、ダメージを受けていても抜け出せたのは、ミンスコーナさんの身体がより丈夫だからでしょうか?」
「そうです。それに、同じレベルの源を引き出しているのに、源の使い方、戦闘スキル、アクションスキルの応用、どれを取ってもミンスコーナさんが格段上です」
ステージの二人は、しばらく白兵戦を続けている。クリアは大型チャクラムの真ん中に空いた穴に手を通し、手首を振って高速回転させる。回転数が増えるほど、斬られる回数も増える。逃げ場もなく、ラーマはジャマダハルで打ち合った。光る武器の衝突の瞬間、二人の源が火花のように、何度も散った。
クリアは手首を大きく上げ、優雅に体を回転させながら、力を込めて斬撃を食らわせた。
ラーマは右手の光った刃を打ち出す。大型のチャクラムが粉砕し、さらに蹴り技を仕掛けられたクリアが飛ばされた。
クリアはアクションスキルを使い、衝突の前に着地する。
「くっ……。私が押し負けたの?源気のレベルは変わらないのに!」