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クインレッド・ファントム  作者: コトコト
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1話神を目指す少年





時が進み、今は2040年4月5日。

高校生になるこの物語の主人公の初登校日である。

見た目は黒髪黒目、身長150センチあるかどうかで顔立ちは幼さが残り可愛さがある。


「・・・・ここかな?」


主人公である拝島リートは不安げに言う。

手には高校のバンフレットがあり、『とても綺麗な仲良く楽しい心が踊る夢のような学園生活♡』と書かれている。

しかし目の前にあるのは、柄の悪そうな先輩や2メートルはありそうな大男。

金髪のイケメン男子が女の人にキャーキャー言われていたりする。


「ほんとにだいじょぶかな?」


不安になる気持ちを抑えて校門をくぐる。

ガチガチで緊張をしているものの、道のど真ん中を歩く。

歩いて歩いて下駄箱に着く。


「はぁ・・・クラスは2組か」


ここに来るだけで疲れ果てたような顔をしている。

誰かに絡まれる的なイベントはなかったものの、精神へのダメージはバリバリと削られていた。

溜息をつきながら上履きに履き替え曲がり角を曲がると


「きゃっ!」


そんな音とともに女の子とぶつかる。

運命的な出会いなどは特になく、睨まれたあと腹パンされてその女の子はどっかに行ってしまった。

謝ろうとはしたが、それを言う暇なく腹パンされたため何も言うことが出来なかった。

だがもう会うことは無いだろう。


「・・・・・・嘘?」


俺の真後ろに腹パンしてきた女の子は座っていた。

赤い髪の色に赤い瞳、胸は意外と大きかったりする。

だが重要なのはそこではない。

さっきからずっと睨んでくるんだが・・・・。


謝っていなかったのかが問題なのか?

これをきっかけにパシリとかされたらどうしよ!?

俺貧乏だし、俺と妹の生活費稼ぐだけで精一杯だし、学費免除だったからこの学校通っただけだし・・・・。

よし!勇気を出してここは・・・・・・


「・・・えっと、さっきから見てるけど何か用かな?」

「・・・・・・別に」


会話終了。

やばい!俺何かミスったか!?

普通に受け答えしてただけなんだけど、やばいどうしよ?


「全員席座れ〜」


教師だと思われる人の号令がかかる。

意外と若めの女性の人だった。

しかし次の言葉は主人公リートに衝撃を与えた。


「あ〜、あとそこのガキンチョ!これから最終試験だがこの国の王女様だからって贔屓はしねぇから覚悟しとけよ!!」


そう言って先生は窓際に座る俺の後ろの席の人間を指さした。そして朝ぶつかった女の子はこう言った。


「贔屓なんかしなくても実力で入るから安心しなさい!」

「・・・・・・・・・!!!」


え?腹パン娘この国の王女なの?

いや、たしかに可愛いなぁと思ったけど・・・ん?

最終試験?何それ?


「んじゃあ最終試験について説明する!!」


クラスに緊張感が走る。

俺以外最終試験とやらがあるのを知ってたみたいだ。


「最終試験は実技試験だ!この学園に入学する時筆記試験を受けただろうが頭が良くてもたたかえなければ意味が無い!!」


2030年、空から声が聞こえ天罰が降りた。


『人間よ、我は神である。神々の会議によってこの世界は必要のないものとなった。よって・・・・・・』


空が漆黒に染まる。

その闇から出てくるは悪魔や竜や人とはかけはなれた空想上の生物が現れた。


『これは天罰だ!七つの罪を侵した者共へ最後に与える絶望だ!!』


人々は化け物に蹂躙され続けたが人は進化する生き物だ。

人々に異能が宿った。

反撃は開始されたかが10年たった今でも世界の3分の1は漆黒の闇に包まれている。


「実技試験・・・使えないやつは速攻で退学にする!!」


その言葉に生徒の真剣度は抜群に変わった。

俺もここを追い出される訳には行かないため、かなり真剣になっていた。


「・・・いい顔付きだ!全員着いてこい!!」


その言葉とともに行動が開始された。

そしてほとんどの生徒がが俺の顔を見た。

・・・チビだから勝てるとか思われてんだろうな。

慣れてるし、相手が油断してくれたのは心底嬉しい。


「・・・・こりゃ、貰ったかもな」



♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢



ルール説明


・相手が動けなくなるかギブアップと言ったら終了

・相手を殺す、または大怪我に繋がる技は禁止

・枠の外からでたら敗北


「りゃあ開始!!!」


他の生徒が先頭を開始する。

相手はくじ引きで決まった。

試合が開始されるまで相手が分からないのがなんとももどかしい。


先に説明しとこう。

俺の異能は『七つの大罪』


憤怒︰身体能力を抜群にあげる。

代償︰血を流せば流すほど暴走する確率up


嫉妬︰精神操作系の異能を聞きづらくする。

代償︰味覚・聴覚と順番に消えていく。


怠惰︰空間把握

代償︰体の成長が著しく下がる。



今使える力はこの3つだが、能力は十分に強い。代償は大きいが使う価値は十分にある。


「最後・・・7番と」


呼ばれた。

相手はさすがにわかっている。

俺は基本ビビりのように見えるが、こと戦闘において負けるつもりは無い。


「12番・・・王女様じゃん」


土俵に入って向かい合う。

だいたいわかってる。高熱を操ることで有名だからだ。

相手は赤意見を俺に向けるとこう言った。


「今のうちにリタイアした方がいいわよ!私子供を痛め付ける趣味は無いもの!!」


周りのやつも笑いだした。

笑われてるの離れてる。別にいい。

けどこいつ・・・・・・


「・・・今、俺に勝つって言った?」


空気が一瞬で氷った。

殺し合いで負けるのは我慢できない。

それは何故か・・・・・・。


「・・・ふぅ〜ん、手加減無用ってことね」


10年前の闇が襲ったあの日に俺は誓ったからだ。


「準備いいな?よっしレディー」


神が俺を殺すなら


「ゴー!!!」


俺が神になればいい。


爆発がリートを襲う。

王女の持っている剣には炎が纏ってある。


「・・・・・・やりすぎたかしら?」

「この程度で何言ってるの?」


リートの声が響く。

体には黒いオーラがまとわりついている。


ドンッッッ!!!


そんな音がなった瞬間、王女が走り出していた。

足に小さな爆発を起こすことでスピードを上げていた。


ドッッッゴオォォォォォン!!!!!


大爆発が起こる。

王女の最大火力であり、当たれば1発KOにする自信さえあるぐらいだ。


「・・・・そう、当たればね」


リートは後ろにいた。

王女の目が怖いほど開いている。


「これで体の成長また遅くなったな、まぁこれ以上遅くなろうと構わないけど・・・・・・」

「へ?・・・・・・何それ?」


『怠惰』

空間把握の力を使いその空間内なら瞬間移動すらも可能にした。演算能力が高くないと成功しない。


ドッッッン!!!!


爆発が起こる。

だがリートはまた王女の後ろにいた。


「・・・・・・・・・っっっふっざけるなあぁぁぁぁ!!!」


王女の口から出ていいか分からないセリフがでてきた。

王女が纏っていた炎が1点に集まり形を生み出す。


「・・・・・・イフリートねぇ」


上級精霊イフリート

伝説の精霊に数えられており、その炎はあらゆるものを溶かすという・・・・・・。


本来なら慌てるところだが、俺には落ち着ける理由がある。俺の憤怒のもうひとつの使い方は、『傷つくほどその力を増す』いわゆるカウンター技に近い。


「・・・・どうするの?降参?」


また言ったか・・・。

まぁいい。ここではっきり言わせてもらうか。

怠惰で王女の目の前に行くと右足を大きく前に出す。


「俺は七つの大罪を統べし王・・・拝島リートだ!!

イフリートごときが王に口答えをするな!!!」


静かな声で、しかし確実に恐怖を与えてそう言った。

しかしこれじゃあ足りない。


「・・・イフリートを見せてくれた例だ。特別に見せてやろう」


『憤怒』『嫉妬』『怠惰』

基本的にはこの3つしか使えないが、ある条件が揃うと『傲慢』が開放される。


右側の額に黒い太陽のマークが現れる。


傲慢︰その目で見たものの知りたいことを全て見ることが出来る。また、見たものを分析し破壊することが可能。

代償︰体の内側から徐々に破壊されていく。


「『傲慢』よ、」

「ひっ・・・・・・」


リートは王女の目を見る。

王女は心の底から恐怖しているようだった。


「我が命ずる」


傲慢を使った影響か俺ではなく我と呼ぶようになった。


「・・・・・・・・・え?」


イフリートの体にヒビが入ったかと思ったら、破壊されていた。

これが傲慢全てを知り、相手のものを有無言わさず破壊する。


「・・・教えてやるよ、小娘と我の違いを・・・・・・」


手を握り直す。

本気の一撃を王女の腹ん中に入れる。


「・・・・・・・・・っっは、は」


王女の体が思いっきり吹っ飛ぶ。

俺の勝ちが決まったのを確認すると、すぐさま『七つの大罪』を解く。


「・・・・・・ふぅ」


王女は一言も話さない。いや、話せない。

悪いとは思っているが、これは必要な事だ。

俺は神になる。

なる条件は簡単だ。

あるひとつの事において神と思わせれば良いのだから。

だから人助けよりも早く名が与えられる。

心の底から魔神とでも思わせれば、俺は神の仲間入りだ。



この物語は、決して優しい主人公が誰かを救うなどという話ではない。

ただ主人公が、目的のために力を求める話だ。



♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢



結局最終試験に合格出来たのは20人ほどだ。元々40人ほどいた。今は2日目のHRが始まるまでの間だ。


「・・・あの?何やってるのかな?」

「王を前に頭を下げるのは当然では無いですか」


やばい!

この子変な風に育っちゃってる。


「若輩者ながら、貴方様の力になれればこれより嬉しいことはございません」


参ったな・・・。

戦闘時以外は普通のビビりなんだけどな俺。


「貴方様の騎士として」


剣を自分の前に出して立てる王女。

いや・・・・・・


「それならこれからよろしくね!フィーラ」

「なぜ私ごときの名前を・・・・・・」

「頼りにしてるよ」


そう言って頭を撫でる。

神の・・・・いや、今は王だったな。

王の騎士としてはかなりの人材を手に入れた。


そろそろHRが始まる。

10年前、誓ったんだ。


「僕が王・・・・いや、神になるよ!!!」



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