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娘の名前はリーサと決めた。
少し小さめに生まれたがリーサはスクスクと成長しあっという間に歩き出した。
好奇心旺盛で色々な物に手を伸ばすリーサに2人は慌てて追いかける毎日。
それが幸せだった。
「ベル、 大丈夫?少し休んでもいいんだよ?」
「ありがとうございます、 ベルは大丈夫です」
夜泣きがありあまり寝れないベルライナは日に日にかお色が悪くなっていた。
軽くふらつく事もあるが、 ベルライナは深呼吸をしてまた動き出す。
そんなベルライナをカーマインは心配そうに見ていた。
「カーマイン様、 リーサももう1歳になるんですね……」
「早いよね、 なんだかあっという間にだよ」
リーサの為に用意された子供用の遊び場。
玩具やふわふわの熊の置物(椅子)、 手押し車等子供が喜びそうな物を手当り次第買い与えた2人。
リーサはその中でも熊のぬいぐるみを気にいり掴んでいる事が多い。
「あ、 もーまたー」
椅子に座ってリーサを見ていたカーマインが立ちあがりリーサの持つ熊をそっと避けた。
熊の鼻を口に入れていたからだ。
リーサは手を伸ばし必死に取り返そうとするが、 カーマインは違うよ?口に入れないの!と言うと泣きながらベルライナに向かいハイハイして行った。
「あら」
「…………本当にリーサはベルが好きだなぁ」
「子供はお母さんが好きな生き物です」
ふふっ…と笑って抱き上げるとリーサは泣きやみベルライナに向かって満面の笑みを浮かべた。
「………とても、 幸せです」
「俺もだよ」
優しく抱く小さな宝に顔を擦り寄せて笑うベルライナにカーマインも幸せそうに見つめた。
リーサを抱きしめたままのベルライナをそのまま抱きしめると、 リーサは楽しそうに笑う。
「………ベル」
「…あ……ダメです、 子供が出来たら困ります…」
「大丈夫だよ……」
「んっ…………」
リーサの目の上にベルライナは手を乗せ視界を隠し、 カーマインの口付けに身を委ねた。
優しいカーマインらしい抱きしめられるようなキスにベルライナはうっとりと目を開けてカーマインを見る。
「もう……そんな顔をしないで…」
「え………?」
「可愛いくて止めれないじゃないか……」
「あ……ん………」
さっきよりも深い口付けに眉を寄せてカーマインを受け入れるベルライナ。
必死についていこうとするベルライナをカーマインはそっと目を開けて見る。
「(………可愛い)」
この心地いい生活はずっと続くと信じていた。
カーマインとベルライナ、 そしてリーサ。
この3人で穏やかな生活が続くと、 そう思っていた。
「………………………………まさか、 もう…」
寝室の姿見の前でベルライナは呆然と立ち尽くす。
自身の体の1部を見つめながら。




