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クーフェンは、 あれから何度か顔を出した。
日な日に元気になる様子を見て2人は安心する。
そんな日だった。
「カーマイン!会いたかった!!」
「アイリス………」
突然訪れたアイリスに、 2人は驚いた。
「約束はしてなかったよね?」
「ええ!でも会いたくて……ごめんね?カーマイン」
上目遣いでカーマインの袖を掴み言うアイリスに小さく息を吐き出してから中に入るように促した。
サクリファイスのオルセンも一緒についてくる。
「オルセンさん、 無事だったのですね」
「うん、 ベルも無事で良かったよ。怪我しなかった?」
「はい、 軽く死にかけたくらいです」
「死にっ………!?」
そんな会話をしていた2人に、 カーマインはハッ!と振り向く。
「そうだベル!その話詳しく聞いてなかったよね!?」
「あ………訂正です。ちょっと怪我しただけです。」
「嘘つかないの!」
帰還の喜びやサテライトの事がありカーマインの頭からすっかり抜け落ちていた。
これ幸いとベルライナは話をしなかったのだが、 今の会話で思い出したようだ。
カーマインの焦っている表情を見て言い換えるが、 カーマインはコラ!と言いながら頬を優しくつねる。
「……………ひゅいまへん」
「後でちゃぁぁぁああんと聞くからね?」
「ひゃい」
つねられたまま返事を返すベルライナをアイリスが不満そうに見ている。
「………カーマイン、 もう良いでしょ?美味しいお茶菓子用意したから!………ベルお茶を入れてくださる?」
「かしこまりました」
カーマインの手を離させて頭を下げるベルライナ。
アイリスは不満そうに見た後、 カーマインに連れられて部屋へと入っていった。
「ねえカーマイン?」
「なんだい?」
椅子に座り足を組んだカーマインは首をかしげてアイリスを見た。
少し顔を赤らめな、 軽く咳払いをしたアイリスが口を開く。
「カーマイン、 私達結婚しましょう」
「…はい?」
ガシャーーン!!
「ベル!?怪我はない!?」
丁度室内に入った時に聞いた結婚の言葉に驚きベルライナはティーセットを落とした。
割れた音に振り向いたカーマインは驚き立ち上がる。
すぐに駆け寄りベルライナを割れたティーセットから離した。
「ベル、 危ないから。破片飛んでるし火傷は?してない?」
「…………カーマイン様?」
「うん?」
「ご結婚…なさるのですか?」
服にかかったお湯を自分のハンカチで拭くカーマインが、 え?と顔を上げた。
「だって………はいって…」
「そうですわよ?結婚するの。それよりベルは片付けて新しいお茶の準備をなさったら?」
椅子に座ったまま言うアイリスにベルライナは俯くと、 カーマインは優しく頬を撫でた。
「しないよ、 結婚なんて」
「……カーマイ「だめよ、 こんなことがあってリアルドの数も減ったわ。だから……」」
「それでは子を成すためだけの結婚になるよ。アイリスはそれでいいの?」
スタンピードでカーマイン、 ベルライナのいる街の人的被害はジーヴスだけだが、 他の街や村ではリアルドも沢山無くなった。
ジーヴスと同じく減った数のリアルドを増やさないと!と言うアイリスにカーマインは冷たく突き放す。
そんな結婚なんて幸せじゃないと。
「私は!カーマインを愛しているわ!!」
「……ありがとう、 でも俺はベルを愛しているんだ」
「……………………ベル?まって、 ベルはジーヴスよ?」
「そうだね、 知っているよ」
「おかしいわよ!ジーヴスよ!?私達より劣るジーヴスなのよ!!私達に仕える存在なのよ!」
ベルライナの割ったティーセットを片付けながら当然のように言うカーマインに、 アイリスは椅子から立ち上がりカーマインのそばに来る。
腕を握り顔を上げさせたアイリスは必死につめよった。
「確かにハーフっていう存在もいるけれど!それでもおかしいわ!カーマインはそうじゃない!一時の気の迷いよ!!」
「15から一緒にいてそれでも気の迷いっていうの?なによりリアルドとジーヴスっていう種族が違うだけで恋愛対象に出来ないのはおかしいんじゃないかな」
アイリスはカーマインに何を言っても受け入れてくれないと悟り、 矛先をベルライナに向けた。
「あなた!カーマインになにかしたのでしょ!?そうでしょう!?じゃないとこんなこと!!」
「あ…アイリス様…」
「アイリス!ベルを離して!」
アイリスはベルライナに掴みかかり叫ぶ様に言う。
押され倒れ込み棚に体当たりするベルライナにカーマインは駆け寄り抱き起こすが、 アイリスがすぐにベルライナに手を伸ばす。
しかし
「ちょっとちょっと!なにやってるんだい君たちは!!」
仲裁に入ったのはクーフェンだった。
「え?クーフェン?」
「声掛けたけど珍しくベルちゃんが来ないなって思ったらなんかすごい音はするし、 君達の穏やかじゃない声もするしさ。何事!?って慌てて来たよ!……あ、 無断に入ってごめんよ」
「……いや、 いいけどさ」
クーフェンはアイリスの腕を掴んで仁王立ちしていた。
同性だとはいえ、 自分よりも大きなアイリスを片腕1本で捕まえ動かないようにしている姿に驚きやら尊敬やら、 やっぱり驚きが大きくポカンと口を開けながらカーマインは答えたのだった。




