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サクリファイス~主従の契約  作者: くみたろう
第4章 唯一の宝
26/35

1


「ベル………おはよう」


「………………おはよう……ございます」



同じベッドで目を覚ました2人。

先に目を覚ましていたのはカーマインで、 静かに眠るベルライナの顔を見つめていた。

目覚めたベルライナに声を掛けたカーマインにベルライナは動かない頭で挨拶を返す。

それにカーマインは幸せそうに笑った。


「………可愛い」


そう言い、 額に口付けをしながら。








ジーヴス達が帰ってきて4日がたった。

カーマインとベルライナはいつもの日常に戻っている。

いつもと同じ、 それが2人にはこれ以上無いくらいに幸せ。

いや、 全てが同じではない。

ベルライナと気持ちを通じたカーマインはいつも幸せそうに微笑みベルライナを見つめる。

その甘い雰囲気に、 ベルライナは嬉しいが落ち着かず身をよじる。

ふと触れ合う手や、 頬への口付け。

気紛れにするその行為はカーマインの愛しい気持ちがだだ漏れで、 むしろ隠そうともせずベルライナに向けていた。


それを恥ずかしそうに受け入れるベルライナ。

ただただ幸せだった。









ボーンボーンボーン



「………誰かきたね」


「見て参ります」


ソファに座るベルライナの膝に頭を乗せて話をしていたカーマインは、 インターホンに反応する。

頭を撫でていたベルライナはカーマインに一言断ると、 うんよろしく、 と言って座り直した。



「大変お待たせ致しました…………クーフェン様!?」


玄関の扉を開けたベルライナが見たのは土下座しているクーフェンだった。

しゃがみこみクーフェンの肩に手をあてると、 そのままの姿勢で話し出した。


「ベルちゃん、 あの時は本当にごめん!気が動転していたとはいえ本当に酷いことを言った!帰ってきたことに心から良かったって思ってるよ、 でもサテライトが居なかったからあんな言葉が出てしまった……」


謝るクーフェン。

カーマインも玄関に出てきてその様子を見る。


「本心ではないにしても、 あの瞬間ちょっとでもその気持ちがあったのかもしれない。でも!私はサテラが大好きだけど、 ベルちゃんも大好きなんだ!…………………ごめん、 ただの言い訳だ。怒ってるよな、 あんな事を言った私を…許してくれとは言えないけど……どうしても謝りたかったんだ。…………ごめんなさい!!」


頭をあげることなく謝り続けるクーフェン。

きっと自責の念にも悩まされたのだろう。

ベルライナはカーマインを見ると優しく頷いていた。

土下座をするクーフェンの前に座り、 手を握る。


「クーフェン様、 私は怒ってなどいません。どうか立ってください。ほら、 体が冷え切ってしまっています、 暖かいお茶で体を温めましょう。………………サテラも心配してしまいますよ」


「……………ありがとう」


サテラなら呆れてしまうかもしれないよ…と頭を上げながら力なく答えた。

泣き腫らしたボロボロのやつれた表情、 顔色もわるい。

更に痩せたようだ。


「………クーフェン、 ご飯は食べてるの?」


「え?………あー……いや、 えっと……だな」


「……………ベル」


「はい、 すぐに」


クーフェンは目を泳がせながら言うが、 カーマインはすぐにベルライナに声をかけた。

微笑み頷くベルライナはすぐにキッチンへと向かう。

そんなベルライナを、 カーマインは愛おしいと一瞬で分かるような表情で見つめていた。


「…………君たち……」


「ん?」


「……………いや、 なんでもない」


「ほら、 立ってクーフェン。中に入ろう」


「うん」


カーマインはクーフェンの腕をつかみ立ち上がる。

そして、 以前よりも細くなったクーフェンを見てカーマインは


「…………お前、 小枝なみだね」


「失敬な、 丸太なみだよ」


「丸太に失礼だろ」


そう言いながら家に入って行った。



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