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ベルライナは腰につけた2対の剣を両手で握りしめ走っている。
人型の巨体は全体的に動きゆっくりだが変則的だ。
その大きさは様々だが、 1番小さな巨人で三階建ての家を軽く超えるだろう。
そんな相手に勝てるのか?
リーダーに触発され、 走り出したがあまりの巨大な姿に足踏みする。
そんな人達を知り目にベルライナは走り続けた。
止まったら死ぬ
その言葉を呪文のように頭を支配し、 それに連動するかのようにベルライナは動き続けた。
双剣を片手に風をまとって飛び回る。
ベルライナが授かった魔法は、 風の魔法。
速度を操る魔法だった。
自身の速度を上げ、 相手の速度を下げ
そうしてベルライナは剣を両手に握りしめて高く高く舞うのだ。
動け、 腕を動かせ、 足を動かせ、
もっと早く もっと早く!!
止まれば死ぬぞ、 動き続けろ!!
動きが遅い巨人はベルライナに相性がいい。
魔法は大気中にある魔素と呼ばれるものを体内に吸収して魔法を使用する。
魔素を1回に取り込める量はそれぞれ異なり、 1回取り込めば、 その後5時間開けなくては取り込めない。
その為、 既に魔素切れになっているジーヴスは剣を、 槍を、 盾を握りしめて果敢に戦っている。
ベルライナは魔素の吸収量は平均より気持ち多いくらいである。
その吸収した魔素を使い体の中の気を動かしドーピング、 スピードアップするのだが常に発動する必要はない。
1度掛けると暫くはかかっている状態だからだ。
かなりエコな使い方だが、 この状態がいつ終わるかわからない。
戦況を見つつ動くことにした。
強力な遠距離魔法は1回での魔素の消費は多く、 魔素切れする。
それをふまえてベルライナは剣を踊らせた。
「っ減らない!」
剣は血にまみれ滑る。
剣を振り血を飛ばすこと数10回、 変わらない巨人の数に歯ぎしりした。
すぐ近くにはサテライトが居るのも確認している。
自分の半分以上ある刀身を軽々振るい、 一撃で倒していくサテライトを確認してからまた巨人の数を減らす。
ベルライナとサテライトの武器、 防具は体にあった少しお高いものだ。
それぞれの主人が命を守るものだからと、 しっかり吟味して購入した。
しかし、 そうでないジーヴス達の被ダメは多い。
既にボロボロで後方に押されるジーヴス達に、 ベルライナはこのままでは死ぬ……と確信する。
「っ…………カーマイン、 様っ!」
帰りたい、 帰りたいの!!
叫びにも似た声泣き悲鳴を上げながら走り抜けた。
「っ!!ベル!!」
「え?…………」
真っ直ぐ前を見ていたベルライナに、 サテライトの焦った声が響く。
振り向くと、 巨人の手が横から飛んできてベルライナの体を捉える。
肋骨や腕の骨がミシミシと言い、 折れたのが自分でもわかった。
巨人の攻撃の衝撃と、 内部からの鈍い衝撃が来た。
遠くに手を伸ばし叫ぶサテライトが見えるのを最後に意識が飛んだ。




