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天下は中華鍋でとるもの  作者: 左脇
6/6

天中6話

「あれだよヒロシの村。」


森を抜けた直ぐ先にアダチ村はあった。

その村はどうやら森で囲まれているようだ。


「では我はここで別れる、我が子を頼むぞヒロシ、ユイ。」


「「お任せ下さい。」」


とりあえず今後の旅の為にも1度アダチ村に寄って身の回りのもの整えなければいけないな。


――――――――――――――――――――――――


「ユイに言わなければいけないことがあるんだ。」


俺はユイに正直に話す決心がついた。


「急にどうしたの?」


「実は俺、この村の出身じゃないんだ。もっともっと遠いところから来たんだ。」


ユイなら異世界から転送されてやってきたと言っても信じてくれるだろう。でも、俺自身がこんな荒唐無稽な話を信じてもらえるかとユイを疑ってしまった。


「だからヒロシは森がわからなかったんだね?」


どういうことだろう?


「だってヒロシ最初に森を見た時、もっとジャングルみたいなのを予想してたって言ったよね?この村に住んでてこの森を知らない訳ないんだもん。」


どうやらとっくにバレていたらしい俺の嘘は。


「ごめん、嘘ついて。それでユイに頼みたいことがあるんだけど、俺も旅に付いて行かせてくれないか?」


「いいよ、私もちょっとヒロシのこと気になってたし……あ!そういう意味じゃないよ?」


少しびっくりして苦笑した。


「そうか、ありがとう。いざとなったら用心棒にもなれるし頼りにして。」


「うん。」


「じゃあまず、この村で装備を整えようか、ユイも全部盗られて何も無いし俺も何も持ってないし。」


「でもヒロシ、私もヒロシもお金持ってないよ?どうするの?」


「あー、そこはどうしようか村のこと手伝ったらお金貰えるかな?とりあえず行ってみよう。」


――――――――――――――――――――――――


村に行ってみると村人か集まっていた。


「おい聞いたか昨晩の咆哮、またクマが出たらしいぞ。」


「聞いた聞いた、この村に来たらどうするか。」


「どうするもこうするもねえ、逃げるしかねぇだろ。」


どうやら村人が昨日のクマの叫びを聞いて話し合っているようだった。


「すみません、皆さんが先程から噂されている熊とはこの熊のことでしょうか?」


俺は昨日の熊の頭を1人の婆さんに見せて言った。


「コイツはデカいクマだね。どうなんだい!爺さんや!」


1人の筋骨隆々とした爺さんが出てきた。


「間違いねぇ、こいつが前に出会ったクマだ。」


「本当かい!?あんちゃん、あんた大したもんだよ。」


「いえ、そんな……」


「あんた達!全員集めな!今日は宴だよ!」


どうやらこの婆さんは相当に強い立場なようだ。


――――――――――――――――――――――――


「お前達どうやってこのクマを倒したんだ?」


「それが凄いんだよ!ヒロシが中華鍋を持ってね、クマの攻撃を防いだかと思ったら吹き飛ばして首をスパッと落としたんだよ!」


ユイが筋骨隆々の爺さんにクマとの戦いを興奮気味に語っていた。こう言われると少しくすぐったい。


「でもそんな大したことじゃないんですよ、この中華鍋を持ったら勝手に魔法が使えるようになって……」


「中華鍋を持ったら勝手に魔法が?待てよその中華鍋、もしかして伝説の中華調理器具か?」


「なんだそれ?ユイは知ってるのか?」


「私も知らない。おじさんその伝説の中華調理器具って何?」


「俺もよくは知らないんだが、昔な魔法が使えない者でも魔法が使えるようになるという中華調理魔道器具という話を王宮の中でたまたま聞いてな。俺はその時たまたま用事があって王宮に行っていたんだ。」


「爺さんは偉い役職だったのか?」


「いや、本当にただ宮廷兵の同僚に会いに行っただけだ。そうだ、王都に行けば何かわかるかもしれない。旅のお2人、目的地がないのなら一先ず王都に向かったらどうだ?」


中華鍋のことも知りたいしこの国のことも知りたいしいいかもしれない。


「そうですね、ありがとうございます。ユイそれでいいか?」


「うん、ヒロシが良いならいいよ。元々王都には行くつもりだったし。」


よし、これからの目的地は定まったし後は俺たちの装備だ。俺は中華鍋があるからいいとしてユイは……


「お嬢ちゃん、手ぶらで王都に行くのかい?」


「いえ、ここに来る前に盗賊に盗まれて……。」


「それは災難な。そうだ、これを持っていきなさい護身用には役に立つよ。」


そう言って爺さんはユイに短剣を渡していた。きっぷがいいなぁ爺さん。


「おじいさんありがとう!」


――――――――――――――――――――――――


「お前さん達この道に沿っていけばちゃんと森を抜けれるからね。あとこれがあれば王都まで行けるかね。」


婆さんがそう言って俺たちに王都までの地図をくれた。


「ありがとう婆さん。」


「またいつでもいらっしゃいな。」


「うん、みんな元気でねー!」


ユイと俺はそう言って王都に向かって森に入って行った。


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