バベル
うわ、ホントになんもねぇな…
窓から見える景色は果てしない砂漠だった。
ホントにこんな所にバベルの塔なんてあるのか…?
「バベルは巨大なコロニーさ。そこには多少なりとも生命が存在するし、カインを案じてくれる人たちもいる。問題はカインが僕たちを悪とみなさないかだね。」
生命を与えるんだ。悪なんかじゃねぇ。神殺しには賛同できないけどな。
「それは僕も同意見だ。でも、なぜこのタイミングでアダム達が僕たちに種を授けたかの方が重要な気がする。とても不自然なことだとは思わないかい?」
どういうことだ?
「地球に生命が誕生してから僕たちは神の下で聞いてきた。アダム達は神の国という楽園を追われエデンという世界に送られた。そしてエデンの子孫達はミデンを与えられ、僕とカインはミデンのように善悪認知と生命を共存させているような世界ではなく、生と死の世界に分けられた。」
そこの何が不自然なんだ?
「君という存在だよ。」
俺?
「君は全ての世界を行き来できる。コレは神が創った世界の法則に反している。」
確かに、ミデン以外の2つの世界に存在しない種を植えることでミデンと同じような世界が出来上がる。
ミデンが3つあるのと同じようなものだ。
「そう。僕はアダムとエバが神に復讐する気なんじゃないかと思ってるんだ。」
そういうことか。それぞれ違う世界の技術を合わせることによって神を殺そうってか。なんとも壮大な復讐劇だな。
「あとはカイン次第ってことさ。さぁ、バベルに着くぞ。準備してくれ。」
…カイン。どんなヤツなんだ。不安で仕方ない。
目の前に高くそびえ立つ塔が見えてきた。
スカイツリーを遥かにしのぐ高さだ。
上はドコまで続いてるんだ…
すると、塔から声がした。
「アベル、久しぶりだな。大体の状況には察しがついている。ミデンの使者もいるのだろう?塔の一番上に来い。そこで待っている。」
…察しがついてるってどいうことだ。
「カインは相当頭がキレるんだよ。僕たちがこの世界に来たことは気づいていたんじゃないかな?」
気づいてたなら出迎えくらいよこせよ。
舟は上昇し続けている。
そういえば、この舟の動力ってなんなんだ?
「タロン粒子が生み出すエネルギーよ。そんなのもわからないの?」
ノアは一々からんでくる。
タロン粒子?
「君たちの世界では発見されていないエネルギーさ。質量保存の法則に反する粒子で、無限のエネルギーを生み出すんだ。実用化が難しくてね。扱えるようになるまで200年かかった。」
そんなモンで動いてんのかよ…
すると塔の頂上にたどり着いた。
ココが頂上か…
心なしか空が高い気がする。
その瞬間砂嵐が舟の中を襲った。
なんだ!?まさかワープじゃないだろうな…
だとしたらなんて雑なんだ…!!
砂嵐がおさまるとそこはバベルの内部だった。エノクとは思えないほど植物が生い茂り鮮やかな緑をしている。
「驚いたか?バベルの中は豊かなのだよ。ようこそミデンの使者よ。アベルも久しぶりだな。あの時はすまなかった。私が無知であったためにお前を…」
「もう気にしてはいないさ。」
あのー?
お取込み中すいません。
種植えてもいいっすか?
早く役目終えて帰ってゆっくりしたいんだけど。
「お、おう。もちろんだ。しかし、種を植えたら君はミデンに帰ってしまうだろ?その前にバベルで得た情報をノアに乗せさせてくれ。情報はミデンで話す。すまないが君はまだ休めないと思ってくれ。」
マジかよ…
そろそろ休みたい。
カインは情報をノアに乗せた。
「カイト、種を頼んだぞ。」
そう言ってカインとアベルは舟に乗った。
あとは他人任せかよ。
俺をなんだと思ってるんだ。
俺は小さくなった舟をポケットに入れて種を植えた。
その時だった。
バベルが崩れていく。
え、ヤバイ落ちる!?
うわ、マジかよ。
ヤバイ。うわ、落ちる落ちる落ちる!!
最悪だ!バベルが崩れるなんて聞いてねぇ!
なんでこの世界で死ななきゃいけないんだ!
これじゃあ帰るもクソもねぇじゃねぇか!!!
すると砂嵐が体をつつんだ。
なんだよ帰れんじゃんかよ!
先に行っておけよな!
後であったら一発殴ってやる!
目をさますと病院のベットの上だった。
「カイト!良かった!死んじゃったかと思ったよ!」
ユイ…
大丈夫だ。
もう少し休ませてくれないか?
「わかった。ゆっくり休んでね?」
おお。