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空き家の冒険Ⅰ

 翌朝になると権藤刑事から連絡が入った。

 今夜、議長と接触するとのことだった。

 危険がなければいいのだが。

 なければいいのだが? いや違う。ある。函南を連れてくる可能性だって十分考えられる。なぜなら、彼らはつながっているのだから。

 権藤刑事が安全に議長から情報を引き出すには函南というリスクを除去するしかない。

 さしあたっては函南の隠れ家を突き止めることだ。

 ちょうど小雪さんが病室にやってきた。

 ぶすっとしていて明らかに不機嫌だ。

 サングラスをしていても口元でわかる。

「お疲れ様です、小雪さん」

「本当に疲れたわ」

 年のせいだとか言ったら病室がスプラッタな現場に変化すること間違いなしである。

 ため息をつくと、小雪さんは手近にあったパイプ椅子に腰を下ろした。

 言葉通りに、ぐたっと。

 その様子はまるで、暑さにへたって床でのびているネコのようである。

「結論から言うと、函南は発見できず。けどね――警察の情報からなんだけど――函南の潜伏先が掴めないの」

「掴めない?」

「そう。まるでどこにいるか分からない。匿っている人もいなさそうだしね」

「教会は調べたんですか?」

「調べたわ。でも、何も収穫なし」

 ふつう、誰か協力者が匿う。

 しかし、そうではない。誰かの家に転がり込んでいるわけではないのだ。

 だとすれば――

「そうね、普通の潜伏の仕方をしていないってことになるわね」

「探しようがないじゃないですか。まるで雲を掴むみたいな話だし……」

「本当に。誰もいないところにいるんじゃないかしらね」

「それか、誰にも見えないところ」

「ステルス性能でも完備してるのかしら、最近の犯罪者は」

 そんなわけないだろうという突っ込みを飲み込んで

「誰もいない……」

 と呟いたところで閃く。

 瞬時に個々の事実という点がつながって、一本の線が形成されるような感じだ。

「誰もいない家……空き家って、この町にどれくらいありますか?」

「調べてみようか?」

「はい」

「今度キールロワイヤルおごりなさい」

「はいはい。この件が無事片付いたらおごります」

「あ、追加で今日ライオンビールから発売のセントラルビールもね。もちろん一番大きい500ミリリットルのよ」

「わかりましたよ」

 うんうんと満面の笑顔で小雪さんはステップしながら出て行った。

 その様子はまるで、クリスマスイブの日にプレゼントを待つ子どものよう。

 躓いて、病院の床に穴をあけないか心配だ。

こんばんは、jokerです。

こちらの更新は久々です。さて、タイトルは知っておられる方もいるかもしれませんが、某有名事件から。


ではまた次回お会いできることを祈りつつ……

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