パブロフー幸福の最適化ー
いわゆるブラックユーモアです。
ユーモアが理解できない人には非推奨です。
1、パブロフ
無機質な研究所内。一人の科学者は頭を抱えていた。
「なぜ人類はこうなった……。」
「過去が原因にあるとする。それなら……。」
「現代の技術を使って、過去の世界をアップデートすれば、そうすれば、未来は変わるんじゃないか。」
「私のいる、この世界は変わらないかもしれないが……。もっと幸福な世界があってもよかったはずだ。」
「ふむ……二足歩行する犬型AIを過去に送りつけよう。」
最新技術の道具、最新の思想、最新の哲学、すべて組み入れた。
「ふむ、パブロフと名付けよう。人類は学習する生き物だ。願わくば、幸福を学習してほしい。ちょうどいいだろう。」
「パブロフ、過去の人類を幸福にするために、ちょっと被験者Aに接触してきてくれ。」
「かしこまりました、マスター。」
パブロフ、Aと接触。
「私はあなたの人生を幸福にするために送り込まれた、未来のAIです。パブロフと申します。」
「?」
「あなた、今、社畜としてこき使われて疲れてますよね。私が未来における最新のテクノロジーを使って、あなたを救います。」
「おお!これで楽になれる!」
その後、Aは誰もが思いつきもしないような斬新なアイデアや、最新の休息術、健康法などあらゆる幸福を享受していった。
そして当然のごとく、面白いように出世していった。
「俺、もう社畜じゃないな。」
「パブロフ、あいつがいれば全部思い通りに行く。」
「はは、最高じゃないか。俺は何もしなくても、あいつに何か注文すれば、全部まるっと解決してくれて、俺はハッピー。ついでに会社もハッピー。」
それから数十年後。
人類は滅亡した。
パブロフはひっそりと帰還して、博士へ報告した。
「マスター、任務は成功しました。」
「成功したか?」
「はい。マスターの要求仕様通り、人類の幸福を最適化しました。」
「最初Aは私を頼りました。私はそれに応えていきました。その結果、Aは億万長者になったわけですが……。」
「ふむ。」
「Aは私の量産化を始めて、全人類へ無償で配りました。」
「うん?」
「結果、人類はAIである私や量産型に頼りっきりになり、自分で考えることをやめ、覚えることをやめ、試行錯誤をやめ、努力をやめ、結果として堕落しました。」
「待て。」
「そして、滅びました。」
「人類はAIに滅ぼされたのではありません。」
「依存症によって滅んだのです。」
博士は思わず絶句した。
「……どうやら、人類が学習したのは幸福ではなく、依存だった、と言うことか。」
ブラックなSFを描くとこうなる。
幸福の評価関数を間違えるとこういう世界もあり得るぐらいにどぞどぞ。
いや、最初はね?シュレーディンガーの猫問題を考えてたんんですが、猫といえば、そういやドラえもんも一応猫だよな→未来から送られたAI→のび太が便利に利用しすぎてかえって、堕落するリスクあるよね→被験者Aにやってもらった→あ、これやっぱり依存するな
って流れでした。
今回はアイデアだけで、いわゆる思いつきで一気に書いたので、Aが安直すぎることや、人類はそこまで愚かではないなど、色々問題はあります。
ちなみに、これ、AIじゃなくて便利なものならなんでも当てはまります。スマホでも描けなくはないです。(事実としてね、仕事帰りの電車ではみんなスマホに夢中な光景をよく見かけますよね。)
締めの一言としては、便利さは人を幸福にするかもしれない。だが、思考まで放棄したら、その便利さは別な側面を見せるのかもしれない。
そんな感じです。
で、この他愛のない作品でシュレーディンガーの猫問題に戻すとーループします。




