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『お姉ちゃんにおまかせ♪』 (その3)

【続・○○○姉さんに花束を♡】


『お姉ちゃんにおまかせ♪』

(その3)


3、


ここのつ さんには、妹さんがひとり居るのだそうだ。


「私の妹も実態はもちろん白狐なんで、いちおう私と同じくらいの強力なチカラ(能力)を持っている存在なんだけど、……でも、普段の見た目も精神構造もまんま人間で云う女子高校生みたいなのよ。もうね、まるで悲しいくらいに白狐の自覚も存在感も無いのよ」との事。


なるほど。その妹さんも(姉のここのつさん ほどでは無いけれども)姉と同じく強力な妖力を持っている『あやかしの白狐』で、……でも、何でだか判らないけど、見た目も中身も私の妹のユウキと同じくらいなのね!


…うん。何かチグハグ過ぎて、良く判らない事が、良く判ったわ!


(ちなみに、肉体的にも精神的にも老いる事無く永遠の刻を生き続ける私たち『あやかし』には人間の様な現実的な年齢差は意味が無く、どんな存在なのかが重要なのです。だから、私たちのアパートに住む女性の中では、おそらく現実的な年齢ならば一番年上になるだろう「わらしちゃん」が、私たちの中で一番末っ子の妹ポジションになるワケなのです。……そう、座敷わらしって物凄く旧い時代から存在してるのです)


おっと、話が逸れてしまいましたね。


で、その妹さんは自由奔放というか自分の想いに忠実に生きて行こうとするタイプの女性で、現在は『私は今、自分探しをしているの!』と主張して、常に人間の世界をアッチコッチとふらふら歩き回っているらしい。


ここのつさんは『まぁ、それならそれでも良い』とは、思うのだけど、ただ常に移動を続けているせいで『未だに友人らしい友人とめぐり逢えずに過ごしている妹が心配でならない』とため息をついていた。


そうよね。本当に友人の存在はとても大事よね。

親身になって語り合ったり、お互いに助け合ったりできる友人が、自分の身近に一人も居ないのは本人も辛いだろうし、そんな妹を心配するのは姉として当然だ。と私も思います。


さて、そんな ここのつさん からの願い事とは、ズバリ『私たちが妹の友人になって欲しい』という事なのでした。もちろん、そんな事は全然OKだし、むしろウェルカムな事でありましょう!


先程、彼女と私は、たぬちゃんに妖気エネルギーを分け与える作業をしたわけですが、この作業を実行するには『お互いの精神を同期・同調させる』事が必須でありまして、その際には当然ながらお互いの情報も通じ合う状態になります。


それで彼女は、私とたぬちゃんが数人の『あやかし』とひとつのアパートで仲良く暮らしている事を知りまして、「妹に(何とか連絡をとり)そのアパートに向かわせるので、一緒に暮らしてやって欲しい。そして出来るなら友人になってやって欲しい」という事なのです。


ここのつさんは、私とたぬちゃんからの快諾を受け「妹の事。よろしく頼みます」と告げ、泥田坊さんの新居(?)を探すために旅立って行きました。

(ここのつさん。何だかんだと言いながらも、妹さん大好きなんだよね♪)



という事で、私たちが偶然に遭遇してしまった泥田坊さんの一件は、これにて無事終了となりました。

いや、果たして本当に偶然だったのかな?私たちが居合わせ無ければ、ここのつさんは かけがえの無い友人を自らの手で………、という悲しい結末を迎えていた事になっていたのですよね。


もしかすると、私たちには判り得ない『何か』のチカラが私たちをここに呼んだのかも知れませんね。


そうそう。泥田坊さんが暴走して蹴散らせた工事用の重機はどうするのか?ですが、当然ながらそのまま放置しときます。泥田坊さんが受けた苦痛の代償って奴デスよ。工事関係者たちよ、甘んじて受けなさい!


…まぁしかし。そんな機械の事なんかはともかく、今日作業員さんが現場に居なかったのはホントに幸運でした。直接、人間に被害者が出てしまっていたら、こんな軽口を叩いて良い状況じゃ無くなっていたものね。



という事で、私とたぬちゃんは後方を振り返り、工事現場の近くで待機していた数人の天狗族の烏天狗さんたちに視線を移した。


実は、泥田坊さんが姿を現した直後から彼ら討伐隊は瞬間移動でその場所に来ていたのでした。

しかし、現場に私たちが居るのを視認したリーダーらしき人物が、討伐をハヤる部下たちを手で制して動かずに見守っていてくれたのです。


突然『九尾の狐』が出現した際には、予想外過ぎて一瞬動揺したみたいでしたが、結局最後まで彼らが動く事は無く、私たちに軽く一礼して消えて行きました。


今となっては、ここのつさん が彼らの存在に気付いていたかどうかは判りませんが。


……とにかくこれで、

今度こそ、本当に無事終了です。



私とたぬちゃんも、これにて本日のお出かけを終了してアパートへ帰宅する事にしました。

……さすがに、もう体力気力ともに疲労度が半端ないですものね。


たぬちゃん、お疲れさまでした!


今回の騒動で辛い想いをした ここのつさん には本当に申し訳無いけど、『超本気モードのたぬちゃん』を久々に見る事が出来て私は幸せでしたよ♪



ーーーーーー



アパートに帰宅した私たちは、取り急ぎ今回の騒動の件を、ぬら爺と大家くんの二人に報告した。


大家くんが調べてみると、例の工事現場で建設されているのは、大学の新たな研究施設らしい事が判った。

ただ、今はまだあの一帯の地面を掘り起こし整地をしている初期段階で、具体的に何の研究施設の建設なのかまでは判らなかったそうだ。


一応、私はあの大学の卒業生という事になってるワケで(もちろん、インチキ卒業生ですけどね!)どんな研究施設を造るんだとしても、何とも複雑な心境だわ。


また、泥田坊さんと九尾の狐さん(ここのつさん)は、ぬら爺の知り合い。というか、もう何10年も会ってない友人なのだという事も判明しました。


ただ、ぬら爺はこの街に40年以上住んで居るものの、泥田坊さんが同じ街の地下深くで眠っている事には全く気付いていなかったらしい。


基本的にぬら爺は、その固有の能力(認識障害で周囲を欺く)故にいつも柔和な表情を浮かべている印象の『あやかし』だけど、泥田坊さんの暴走の件について聞いた際には、さすがに哀しげな表情をしていました。伝えた私たちも辛かったです。


だから、あの場にたぬちゃんが居合わせて、無事に泥田坊さんを救う事が出来て本当に良かった!



後は、ここのつさん の妹さんが、いつやって来るのか?……だね。




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