作ぎょ、ン”ン”ン”初めての戦闘
頑張って毎日投稿したい。
5/9に修正しました。
ドサッ――。
重力に引かれる感触と、土のざらりとした手触り。
身体が仮想地面に叩きつけられたとき、シュウユは反射的に受け身を取っていた。肩口で回転し、着地の衝撃を分散させると、起き上がりながら辺りを見回す。
「うわ……ほんとに“落ちる”のな。初回ログインでこの演出、さすがにやりすぎじゃね?」
だが次の瞬間、言葉とは裏腹に、彼の目が見開かれた。
草の香り。湿った空気。微細に振動する地面の温度。遠くで小動物が走る音。すべてが“現実”を超えている。まるで現実を手本にして作ったのではなく、現実という制約を解き放った上位互換のようだった。
〈始まりの樹海〉。この地は、第二の町シェルファに通じる一本道の先にあるが、同時に初期レベル帯の者にとっては“罠”として機能している。推奨レベル10以上、推奨行動人数5人以上。それを一人で踏破しようというのだから、常識的に見れば無謀だ。
だが、シュウユは常識で動く人間ではなかった。
「んー。じゃあ、まずは動作確認とレベリング兼ねて、蛇でも狩りますか」
腰を落とし、姿勢を低くして森を進む。その一挙手一投足が、驚くほど自然だった。まるで、森そのものの一部に溶け込んだように。
「シャァアッ!」
青緑の鱗が滑るように跳ね、蛇が飛び出してくる。
種名:森林小蛇。LV6、毒属性を持ち、素早く、視覚よりも嗅覚と振動感知に優れた感覚型モンスター。初心者にとっては脅威だが、観察すれば単調な動き。
「…よっ」
シュウユは一歩踏み出すと同時に、手を前に突き出した。超感覚が周囲を包み込む。
空気の歪みを視覚化し、蛇の進行軌道と顎の開き具合から着弾位置を先読み。
「捕まえた」
喉元を一瞬で握り潰し、反対の手で剣を突き立てた。ポリゴンが閃きとともに崩れる。
「首の筋肉と神経の間、そこが“弱点”。ちゃんとあるんだな」
感触が指先に残る。現実以上の手応えに、むしろ快感すら覚える。
「やば、これマジで他ゲー戻れねぇって」
10分後。
複数の蛇を倒した彼は、出現率の計算を始めていた。森に存在するモンスターの出現傾向を検証し、体感での遭遇率を記録する。
森林小蛇:約70%
森林大蛇:約20%
木宿借:約9%
鉄宿借:約1%
「蛇かヤドカリしかいないってどういう生態系だよ…。まぁ、わかりやすくて助かるけどな」
特に大蛇種は厄介だ。体長4m、毒属性が強化され、素早さも倍増。だが、彼には狙いがあった。
「…こいつら、嗅覚が過敏すぎんだよな」
自分の服の裾をちぎり、汗を染み込ませると、それを足元に置いて囮にする。
草むらが揺れる。嗅覚に誘導された蛇が頭を近づけた瞬間、痙攣を起こし、悶絶。
「鼻に汗くっつけるとか…バカかって思うけど、実際効くなら正義だよな」
その隙を突き、転移→ジャンプ→空中歩行→急落下のコンボで、蛇の頭部を踏み潰す。
〈スキル獲得〉
『疾翔』Lv1:加速ジャンプ移動スキル
『ファントムクラッチ』Lv1:任意対象を瞬時に拘束する仮想物理スキル
「順調順調。」
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戦いの合間、木漏れ日を見上げてふと立ち止まる。
「……あ、あいつが言ってたな。こういう風に“遊び”を本気で楽しめるのが、お前の強みだって」
少しだけ懐かしい声が耳に浮かぶ。
兄。歳は五つ上。かつて一緒にVRゲームをやってくれた。
彼が最初にフルダイブを触れさせてくれた。まだβ版だった頃、「リアルより楽しいぞ」って笑いながら、ゴーグルを押し当ててくれた。
「……お前の言ったとおりだよ。俺、今すげー楽しい」
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Name: シュウユ
LV: 15
職業: 転移魔式使い
14,340K
HP(体力): 20
MP(魔力): 80
STR(筋力): 65
VIT(耐久力): 1〈推奨:10以上にしてください〉
STM (スタミナ): 30
AGI(敏捷): 25
TEC(技量): 1〈推奨:10以上にしてください〉
DEX(器用):1〈推奨:10以上にしてください〉
LUC(幸運): 60
初期スキル
・転移魔式MP消費軽減 LV.1
・超感覚 LV.1
・空中歩行 LV.1
スキル
・ファントムクラッチ LV.3
・疾翔 LV.4
・サヴェージ・スティング LV.2
魔式
・短距離転移 LV.2(2/10)
・身体強化 LV.1 (1/10)
・熱源消失 LV.1(1/5)
装備
右:初心者の片手剣
左:見習い魔式使いの杖
頭:選択してください
胴:選択してください
腰:初心者のズボン
足:選択してください
アクセサリー:選択してください
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よし、これで行こう。ある程度思い浮かべるとAIの思考補助で魔式を覚えることができる機能があるから擬似小八岐大蛇対策で熱源消失覚えた。また、このゲームはある一定の特殊行動をするとスキルが手に入る。他にも特異行動で特別なスキルが手に入るという噂もある。
素早く森林蛇と宿借たちを掴まえて倒してきたからファントムクラッチというスキルを入手できた。これを使うと今のところ半径3メートルのものを掴むことができる。これは悪用し放題だ。フッ、フッ、フッ、フッー
「ここまでの成果、全部ぶつけてやる。さて、どこまで通じるかな」
にやりと笑い、彼は森の霧の奥へ歩み出した。
それは、ただのボス戦ではない。
未知と対峙し、自分を試す最高の“遊び”。
そして――物語の始まりだった。
腹いせで落とされたのは第一の街を飛ばして、始まりの樹海でした。
これ結構致命的です。のちのちわかります。
ちなみに一回上がるごとに5pスキルポイントがもらえて、10レベルごとに10pもらえます。
どうか高評価とリアクションをお恵みください上位者の皆様。