チュートリアル?なにそれ美味しいの?
意外と作るのに時間がかかります。
難しいですね、読むのと違って、書くのって難しいですね。
5/9に修正しました。
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【Welcome to ΝeoEden】
――空があった。
それも、どこまでも高く、深い蒼。雲はゆっくりと流れ、吹き抜ける風は頬をなで、草の匂いをはっきりと鼻腔に届けてくる。空気の密度、太陽の温度、遠く鳥の鳴き声。それらすべてが現実と同等――いや、もしかすると、現実以上だった。
「……これが、フルダイブか」
思わず漏れた声に、隣から返事があった。
「こんにちは。ようこそNeoEdenへ。私はAIチュートリアル担当のヘルメスと申します」
振り返ると、白いローブに身を包んだ青年風のAIが、にこやかに立っていた。その姿は端正で、どこか神殿の神官を思わせる厳かな雰囲気さえ纏っている。
「……あー、チュートリアルか。悪いけど、それ飛ばしてくれない?」
「え? あ、あの、初回起動時にはですね、基本操作とステータスの割り振り、ジョブの説明を――」
「俺さ、そういうの嫌いなの。昔から、人にやり方教えられるのが一番嫌でね」
笑いながらこう答えた。
『“普通”ってさ、つまらないだろ』
ヘルメスは戸惑いながらも、彼の思考パターンを即座に解析し、チュートリアルの最小構成だけを実行する判断を下した。
「……では、ステータスの初期配分と、ジョブ選択をお願いします」
表示されたジョブの中で目に留まったのは3つの選択肢だった。
一つ目:三刀使い《トリマケイラ》。高火力・高機動型だが、脳に過負荷の可能性あり。
二つ目:二刀術師。魔式との複合、バランス型。だが同様に高負荷。
三つ目:転移魔式使い《アルケインテレポティスト》。圧倒的機動性と戦略性を持つが、耐久力皆無。
シュウユは、三秒ほど考えてから言った。
「この転移魔式使い……その場に転移陣残せる?」
「……ええ、魔式の熟練度によりますが、一定時間は維持可能です」
その瞬間、彼はニヤリと笑った。
「決まりだな。俺、こいつにする」
「え? あ、あの、それは推奨ジョブから外れていて――」
「推奨なんて、知らん。こっちの方が、面白そうだろ?」
再び、彼の視線が真っ直ぐに画面の向こうを射抜いた気がした。
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Name: シュウユ
LV: 1
職業: 転移魔式使い
10,000K
HP(体力): 20
MP(魔力): 60
STR(筋力): 45
VIT(耐久力): 1〈推奨:10以上にしてください〉
STM (スタミナ): 30
AGI(敏捷): 15
TEC(技量): 1〈推奨:10以上にしてください〉
DEX(器用):1〈推奨:10以上にしてください〉
LUC(幸運): 30
初期スキル
・転移魔式MP消費軽減 LV.1
・超感覚 LV.1
・空中歩行 LV.1
装備
右:初心者の片手剣
左:見習い魔式使いの杖
頭:選択してください
胴:選択してください
腰:初心者のズボン
足:選択してください
アクセサリー:選択してください
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「よし、これでいい。そんじゃ、転送よろしく」
「……わかりました。あなたの上に、■■の加護があらんことを」
AIの言葉が終わるより早く、空間が割れるように視界が暗転した
ドサッ。
重力の感触とともに、身体が地面に落ちる。森林の匂い。揺れる木漏れ日。聞こえてくる虫の声。
「……うわ、ほんとにこっちの方が現実っぽい。やば」
彼はゆっくりと立ち上がる。そこは〈始まりの樹海〉と呼ばれるマップ。だが、推奨レベルは10以上、推奨人数は5人。
「やれやれ。なにこのスタートダッシュ嫌がらせマップ」
彼はそれでも楽しげだった。
風が木々を揺らすその瞬間、どこか遠い記憶が蘇る。
――まだ幼い頃。兄にVRのヘッドセットをかぶせられたことがある。壊れかけの旧型だったけれど、それで見た仮想の風景は、彼の心を何かから解放した。
現実では味わえない自由。自分の選択だけがすべてを決める世界。
「……そうだよな。俺は、こっちで生きる方が性に合ってる」
仮想は、嘘ではなかった。むしろ現実よりも、正直な世界だった。
シュウユの足が、静かに森の奥へ踏み出す。
そこから彼の物語が、ゆっくりと動き出す。
ステータスはポイント割り振り制で最初に200ポイント与えられます。
Kはクリューソスという名前でNeoEden内の通貨になっています。
装備はパンツ一丁でたぶんNeoEden唯一の不審者です。
初期スキルは2000個の中から選べるようになっています。
ちなみにシュウユ君が選んだ職業転移魔式使いは開発陣が作ったロマン職業で今のところは誰も使っていないです。
どうか高評価とリアクションをお恵みください上位者の皆様。