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虚ろなる死王の試練8

5/10に修正

死王が黒い霧を放つ中、デスレギオンが次々と湧き上がり、周囲の空間を埋め尽くしていく。それぞれが鋭い剣と盾を構え、整然とした陣形を組むその様子はまるで暗黒の軍団だった。


「湧きすぎだろ、これじゃ本体に近づけない!」


俺は剣を握り締め、周囲を見渡す。デスレギオンの数は30体を超えている。


カイが冷静な口調で指示を出す。


「落ち着くんだ、シュウユ。ここは私の出番だよ。分身を活用して奴らの動きを封じるね。その間にお前が死王の本体を叩いてくれ」


「頼んだぞ!俺もレギオンの数を減らしながら奴に近づく!」


カイが虚幻射手のスキルを発動すると、彼の周囲に11人の分身が次々と現れた。それぞれが実体感のある動きを見せながらデスレギオンに向かっていく。


「さて、お前たちの軍団は私一人で足りるよ!」


分身たちがデスレギオンの周囲に展開し、次々と幻覚を繰り出す。レギオンは混乱し、その動きが明らかに鈍った。


「バインディングショット!」


カイの本体が矢を放つと、特殊なエネルギーが込められた矢がレギオンの前衛に命中。地面に固定され、動きを止めた数体が身動きできなくなる。


「クイックスワップショット!」

さらにスキルでクールタイムをリセットし、矢を続けざまに放つ。その間、分身たちが幻覚を巧みに操り、デスレギオンを撹乱していく。


「いいぞ、カイ!そのまま動きを封じてくれ!」


俺はカイが作り出した混乱の中を突き進み、ファントムクラッチでレギオンの盾を強引に掴む。


「邪魔だ、どけ!」


全力で引き剥がし、剣を振り下ろして粉砕する。


だが、レギオンは数の暴力を活かして次々と攻撃を仕掛けてくる。彼らの陣形は一瞬で崩れることなく、俺を取り囲もうとする。


「なら――疾翔!」


疾翔を発動し、敵陣の中央から高速移動で一気に脱出。そのまま死王の近くまで距離を詰める。


「カイ、レギオンの後衛を頼む!」


「了解!」


カイが分身に指示を送り、後衛に矢を放つ。その矢にはエレメンタルインフューズが発動しており、氷属性の効果で次々とレギオンを凍らせていく。


俺が死王の懐に飛び込もうとしたその瞬間、死王が剣を振り回してきた。凄まじい速度の攻撃が空気を裂き、黒い霧が後を追うように広がる。


「――短距離転移!」


寸前で攻撃を回避し、死王の背後に移動する。しかし、次の瞬間、死王が大盾を振り返し、強烈な衝撃で俺を弾き飛ばす。


「ぐっ…!」


地面に叩きつけられながらも身体強化を発動し、体勢を立て直す。


「動きが重いようで、意外と素早いな」


カイがフェイントステップを発動し、死王の目の前に現れる。だが、それは残像だった。残像を攻撃した死王が一瞬の隙を見せる。


「今だ!」


俺はファントムクラッチを再び発動し、死王の片脚を掴む。


「シュウユ、チャンスを作ったぞ!」


俺は全力で死王の胸部に向かって突進し、剣を振り上げる。


「これでも喰らえ――サヴェージ・スティング!」


渾身の一撃が胸部の黒い結晶を直撃。その瞬間、黒い霧が激しく揺れ、死王が苦しそうに後退する。


「効いてるぞ!もう一発だ!」


だが、死王はすぐに剣を掲げ、巨大な魔法陣を発動する。周囲の空間が歪み、デスレギオンが再び湧き出してくる。


「こいつ、また湧かせるのか!」


カイが即座にエレメンタルインフューズを発動。今度は雷属性を矢に纏わせ、レギオンの動きを麻痺させていく。


「アーケインエナジーショット!」


魔力を込めた矢を放ち、レギオンの中心で爆発を引き起こす。爆風で数体が消滅し、戦場が一瞬静かになる。


死王が新たなレギオンを生み出し続ける中、カイが再び分身を展開し、全力で攪乱を仕掛ける。俺はその隙に短距離転移を使い、死王の懐に飛び込む準備を整える。


「シュウユ、次が最後のチャンスだよ!死王が結晶を守るために動きを集中している!」


「分かった――ここで決める!」


ファントムクラッチで死王の動きを封じつつ、再び結晶を狙うべく、剣を構える。死王が放つ最後の攻撃をかわし、渾身の力で結晶に剣を叩き込んだ。


「これで終わりだ――!」


結晶が激しく砕け散り、黒い霧が一気に消え始める。死王の動きが止まり、静寂が訪れた――。

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